表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
嘘つき女神と0点英雄  作者: 海蛇
16章.歴史となった英雄
275/303

#1.広がりつつある人助けの輪

「それじゃ、行ってくるからな、サララ」

「ええ、お気をつけて」


 一年が経過した。

サララは無事出産し、カオルは五児に恵まれ一気に父親としての自覚に目覚め。

そして同時に、ギルド運営も軌道に乗り、さらに忙しない日々が続いた。

順風満帆の人生。

ただ、今日からは他の地域にできた支部の視察の為、カルナスから旅立つことになっていた。


「あー、あーっ」

「ぱぁーっ、ぱーっ」

「えぇーんっ、びえぇぇぇんっ!!」

「……」

「きゃっきゃっ♪ あぅーっ」

「カオル様、子供たちにも」

「ああ、行ってくるぜ」


 まだ言葉も話せぬ子供たちに笑顔で手を振りながら、離れがたい気持ちを抑え、妻子に別れを告げ。

そうして、傍に控えていた執事に目配せする。


「んじゃ、行くかクラウン」

「はい。それでは、失礼します奥様がた」

「ええ、カオル様の事をお願いしますよ、クラウン」


 銀髪に青い目、細身ながらにびしりと整ったいでたちの執事が会釈するや、サララもにこりと微笑み返す。




「あっ、旦那様、クラウンさん、ご出立だそうで……準備は整っていますよ」

「ああ、ありがとうミラー」

「手配サンキュー、では旦那様、こちらへ」


 カオルより背の高いピンクのロングヘアーのメイドの手配の元、既に屋敷の前まで馬車が用意されていた。

二人してそれに乗り込む。


「戻りは三日後の予定だ。それまでよろしく頼むとリリナに伝えておいてくれ」

「畏まりました。よい旅路を」

「後を頼んだぞミラー」

「はいっ」


 ぶんぶんと元気よく手を振って送ってくれるメイドに、カオルもクラウンも軽く手を振り返し、御者に出発を支持する。


「ハイヤーッ」


 威勢のいい御者の声と共にポチが歩き出し、やがて加速。

馬車は高速で疾走し、ほどなく風景が高速で流れるようになる。

屋敷の外側に作られた専用の城塞門を抜け、専用の街道を通りカルナスから離れてゆく。

全て、カオルの投資によってできたものである。




「相変わらず速いですね、軍馬車は」

「まあな。ポチも御者に慣れてくれたし、随分と楽な旅になったもんだ」

「ああ……最初はすごかったですもんね」


 今でこそ主人ならぬ御者に操られても気にもしなくなったポチだったが、最初は何が気に入らないのか、御者の操馬に抵抗し、馬車を走らせるのも難しいほどだった。

合間合間でカオルがなだめてようやく言う事を聞くようになるほどで、雇った御者がお手上げとばかりに泣きが入りやめようとしてしまうなど、カオルとしてもため息モノの状態だったのだが。

その後に御者は御者で頑張ってポチをなだめ、透かし、馬相手に酒と人参で腹を割って話すという努力を繰り返し、今ではカオルが扱うのとそう大差ない状態にまで関係を築けたらしい。


「ポチは頭がいいからな。最初から自分が上位だと思い込んでる相手だと、バカにしちゃってよくないのかもな」


 その辺り最初から問題なく操れていたゴートさんはすごかったんだな、と、思い返したりもするが。

それはそうとして、進む窓の外を眺めながら小さく息をつく。

自分たちの座る客席は広々としていて、そして荷物が整然と積まれた隅っこ以外は綺麗になっていた。


「馬車の手入れも行き届いてるし、俺たちが旅してた頃より、随分馬車の中が快適になったなあ」

「そうなのですか? 長旅をしていたというお話ですもんね」

「ああ、カルナスを中心に、色んな所に行ったり来たりしてた……でも、この世界に来てから一年ちょっとの間だぜ? 十年も二十年も居た訳じゃないんだ」


 沢山の旅をしたように思えるが、距離こそ長くとも期間はそんなでもなかったな、と、思い返してしまえる。

それは元居た世界の自分と比べて遥かに長い時間の旅だったはずなのに、この世界では、ごくごく短い期間にしか思えなかったのだ。

それだけ、楽しく、そして目新しいことだらけの旅だったのだろうと、今ならば統括できた。


「でも、カルナスにいた時間も結構長くなっちゃったな。クラウンとミラーが最初にうちに来た時は、屋敷じゃなく家だったしな」

「……今でもあの時の私はどうかしていたと……ええ、反省しています」

「ははは、今じゃいい思い出さ。仕事がないとか言ってたからどうかと思ったが」


 クラウンとミラーは、かつてカルナスで最初にハウスキーパーを募集した時に最初に揃って訪れ、二人ともが迷惑承知でうるさかったのを理由に速攻でサララによって不採用が言い渡された経緯があった。

その後、屋敷が完成し、出産後を見越してサララがリリナに指示して再度使用人を募集した際にまた応募してきたため、その熱意を買われてめでたく二人そろって採用となった。

今ではクラウンはカオル専属の執事として、ミラーはリリナ配下のメイドとしてそれぞれ屋敷の運営を担う主力の一人となっている。


「私は掃除夫として工場(こうば)や風呂屋の煙突掃除をしてしのげましたし、ミラーはミラーで奇妙なアルバイトをしてしのいでいたとか」

「奇妙なって……何やってたんだ? 踊り子とかか?」

「いえ……それが、『旅の占い師さんに触媒用の血液を売ってくれと頼まれた』とか『白衣の人の実験に協力したら恵んでもらえた』とかなんとか」

「……占い師ってのはなんとなく想像できたが、白衣のってのはなんなんだろうな? ラターじゃないんだろ?」

「ええ、錬金術師の方ではないと思いますが……まあ、生きてますし健康だから、そんな危険な実験などではなかったのでは?」


 最初の登場が二人同時だったのもあり、カオルはてっきり友人か何かなのかと思ったのだが、二人はライバル関係のようなもので、行く先々で競い合ったり、二人同時に首を切られたりと奇妙なめぐりあわせでちょくちょく顔を合わせる間柄だったのだとか。

おかげでクラウンもミラーについて語るときはどこか他人事のような、距離を置いたように語る。


「ま……今はこうして同じ屋敷で勤めて、部署は違えど仲間同士だから、仲良くやってくれ」

「ええ。互いに競い合いこそすれ、邪魔しあう事のないようにやっていきたいと思います」


 こうして殊勝な心掛けを口にできるあたり、素の部分では真面目な男なのだろう、というのがカオルの評だが、こうして連れてきているのは、執事としてだけでなく護衛としても信頼がおけるのが解っているからである。


「うぉっ、ポチっ、止まれぇっ!!」

『ひひひぃーっん!!!』

「うぉぁっと!?」

「むぐっ……旦那様っ」

「大丈夫だ。それよりも」


 何事か、と、御者席を見る。

御者は周りを見渡していて目を合わせられなかったが、何事かあったのは間違いなかった。


「――旦那様、魔物です。魔物の群れが行く先にいるようで」

「それが見えたのか」

「ええ。あのように」


 ようやく振り返ってきた御者が降りてきて、客席のカオルたちに行く先を指さしながら説明する。

カオルもまた、席を下りて指さす方向を見て……小高くなっている丘の上に、人ならぬ異形の集団がうろうろしているのが見えた。


「オーガか?」

「いえ、あのずんぐりむっくりは……トロルですね。トロルが2、自爆人参が10……どこかから収穫してきたんでしょうか?」

「あれが噂の自爆人参か……爆発するっていう」

「自爆人参の爆発は喰らっても痛いだけで済みますが、トロルは腕力が生半可ではありません。旦那様、どうかこちらに」

「いや、俺もいくよ」

「あのう……迂回するルートも一応想定にはあるのですが……あるいは、突っ切ることも不可能ではありません。ご指示をいただければと思ったのですが」

「放っておいてこの街道利用する他の人が被害に遭うのはバカらしいからな。被害が少ないうちに倒すんだ」


 客席から棒切れカリバーを手に取り歩き出す。

クラウンもどこかから取り出したのか、ショートソードを手にカオルに追随した。


「悪いがバトン、ポチと連携して、一瞬だけ魔物の群れに近づいてくれ。そんで……西側に走ってまたここに戻れるか?」

「は、はい、やってみます……ですが旦那様がた、無理をなさらずにっ」

「大丈夫さ。いけるなクラウン?」

「はいっ、相手の意識が馬車に向いてる間に、隙をついて懐に踏み込んで叩くのですね?」

「そういうことだ」


 馬車を使っての陽動作戦。

相手は単純な魔物の群れとくれば、そう難しいことはない。


「いくぞっ」

「はいっ」


 この作戦は、実にうまく成功した。

トロルは人間と比べてもかなり足が速く、剛腕をぶらつかせながら馬車を追いかけようとしたが、流石にスレイプニル種の後を追うには遅すぎ、簡単に距離を離せる。

すぐに追うのを諦めぽかんとその場に立ち尽くしていたが、丁度そのポイントはカオルたちが隠れていたポイントだったので、不意打ちを仕掛けてそのまま二体同時に撃破。

自爆人参は馬車を追いかけずそのまま浮いているだけだったので一体に向けてクラウンがナイフを投擲しダメージを与え、その一体が自爆したことで他の人参も巻き込まれ全滅した。


 この連携ができる部下の存在が、カオルには実に気分がよかった。

信頼して任せられる仲間は、今までだっていないわけではなかった。

だが、今では天使となったベラドンナの手を戦いで血に染めたくなかったし、母親になったサララには子供の面倒を見てもらっているので連れ出せない中で、クラウンが部下としてついてきてくれるのは大変ありがたかった。

勿論、このくらいの相手はカオル一人でもどうにでもできたが。

ただ最近のカオルは、なんとなく自分が死んでまで戦うのに抵抗を覚え始めていたのだ。


(仲間が居れば、俺は死ななくても済むんだよな……今まで、仲間が少なすぎたんだな、きっと)


 一人で無茶をしていた自分が、どれだけ無謀で、そして死なない自分という土台に乗っかって無意味に苦しんだのかがよくわかる。

死ねば死ぬほど自分は人間性を失っていく、そういう風に感じ始め、途端に、それまでの自分がとても愚かだったように思えてしまったのだ。

そして、また死ぬのが怖くなってもいた。


「お怪我はありませんか?」

「大丈夫だ。そっちは?」

「全く。この程度の敵ならなんてことはありませんよ」

「ははは、心強いな」


 クラウンは、元々各地を旅している間に冒険者まがいの事もしていたらしく、腕っぷしもなかなか頼りになる執事だった。

執事としても必要なことはきちんとこなしてくれるし、話していても重苦しさもなく気軽に話せる。

カオルとも年が近いのもよかった。おかげでカオルも気遣いが要らないのがいい。


「そんじゃ、馬車に戻るか」

「はい。しかし、国内の魔物は最近増え始めているようですね」

「困ったもんだぜ……ラナニアの時みたいに、どっかにオーガの集団が湧いてなきゃいいんだが」

「自伝のお話にあったオーガの話ですか……その時は謎のスライムに助けられたと書かれていましたが……」

「まあ、俺はそのスライムにも追い回されてたけどな」


 あれは中々の恐怖だった、と今を以ってカオルは振り返りながら思う。

幾度となく死んだが、死ぬ恐怖そのものよりも、食われる恐怖の方が遥かに心にクるものがあったのだ。

それは、被捕食者として遺伝子に刻まれた記憶か、あるいはあり得ない光景を目の当たりにした事による魂の震えか。

いずれにしても、「二度とあんなのはごめんだぜ」と苦笑いを浮かべながら歩く。


「オーガは流石にまだ対峙したことはありませんが……ですがご安心を。何が相手であろうと、私は旦那様のお傍を離れませんから」

「頼んだぜ。とはいえ、死にそうになったらさっさと逃げてほしいけどな」


 頼りになる部下。

だが、死んでまでそばにいてほしいとは思っていなかった。

彼からの忠誠心は、カオルにとってとてもむずがゆい、だが嬉しいものだった。

だからこそ、そんな彼には死んでほしくないと、常々願っているのだ。

自分は、死んでも生き返られるのだから。そんな自分に命までは賭けてほしくないのだ。

クラウンもまた、笑顔になって「はい」とさわやかに返すが。


(……こんなにいい旦那様なんだ。命にかけてもお守りしなくては)


 だが、内心では全く異なる気持ちを抱いてもいた。

自分を拾ってくれた恩義。

そして、信用してそばに置いていてくれるこの主に、クラウンは忠義を抱いていた。

街の英雄なのだ。

そんな人に仕えている以上、自分もまた、常人に仕える執事のようでいてはならないと思っていた。

素晴らしき主には、素晴らしき執事が仕えるべきなのだ。

だからこそ、自分はその主に見合う、どんなことでもこなせる執事足らんと、そう在ろうとしていた。




「カオルさんっ、お久しぶりです」

「やあアリーチェ。久しぶり。旦那さんも」

「ええ、お久しぶりで……」


 最初にカオルたちの向かった先は、南の港町ニーニャである。

ここには町長をはじめ、カオルが町の多くの人と良好な関係を築けたのもあって、ギルドの支部を建てる前提条件となる住民への事前説明と地域の許可も問題無くクリアし、最初の支部が建った町でもある。

そして、その支部のギルドマスターとなったのが、以前カオルを頼りカルナスに訪れた異世界人アリーチェだった。


「アリーチェ、君の考えたセット、カルナスですごく流行ってるぜ? 『今までになかった』って若い女の子が競うように買い求めてたよ」

「噂程度には聞いていましたがそれほどとは……実は、先日リリーナからいらっしゃった旅人の方も、夫の経営しているショップに訪れてくれたらしくて」

「アリーチェのファッションセンスはこの世界では抜群ってこと、ちゃんとこの国の女の子は分かるんですな。ははは、夫としても誇らしいですよ」


 アリーチェ自身がこの世界に訪れた理由。

そのファッションセンスは、間違いなくこの世界において非凡な輝きを放っていた。

今では、アリーチェの考案したファッションが都会の若い娘を中心に広まっている。

彼女のセンスは、大国の街の風景を変えたのだ。


「ここまで歩いてきても、若い人の服装がちょっと変わってるもんな。前見た時はちょっと芋かったけど、今では洗練されてきてるっていうか」

「色んな場所を旅してきたカオルさんにそう言ってもらえるなら、少しは自信が持てそうですね……」

「僕は妻には常々自信を持っていいって言ってるんですが、ようやくですよ。ほんと、異世界の女性は謙虚というか」


 夫婦ともどもニーニャでの暮らしも上手くいっているようで、少なくとも私生活において苦労している様子は見られなかった。

まずはそれが安心と言ったところだろうか。

カオルは少し安堵し……そして気持ちと意識を切り替え、きり、と頬を引き締める。


「……そんで、アリーチェ、ギルドマスターとしてはどうだい? 問題は?」

「特に大きな問題は起きていませんが……小さな問題が」

「問題って?」

「一つは、この町のギルドで請け負う仕事は多く、人手不足になりがちな漁の手伝いや海の魔物の討伐など、海にまつわるものが多いのですが……泳げないと成り立たないものばかりなので、登録者が伸び悩んでいる点です」

「そんなに泳げない人が多いのか?」

「いえ、この町で育った方は多く泳げるのですが……後から登録しようとする方が、どうも町の外から来た方が多いようで、泳げない方が多いのです」


 多く、内陸部で育った者を中心に、泳ぐことができず仕事を回しにくい、という状況が発生している。

仕事が回せないのに登録させても結局干からびるだけなので、現状ではそうした者には確認を取った上で登録しているようだが、アリーチェとしては解決したい問題らしい。


「現状、人手は足りてるのかい?」

「今のところは。ですが大きな漁や魔物討伐の際には人手が多く離れてしまうので、町の治安を考える意味でも、もう少しいてもいいかな、とは思うのです」

「そうすれば緊急時に対応しやすい、という意味では今の人数ではちょっと心もとないってアリーチェは考えてるんですよ」

「なるほどな……平時には問題なくとも、緊急時には備えたい訳か」


 水上、ともすれば水中戦にもなりうる海の魔物との戦いは、泳げない者にとっては非常に危険なものである。

古来、水兵や漁師ならば泳げて当たり前であるが、一般市民ともなると流石にそうとばかりもいかず、まして水上戦・水中戦のできる者は限られる。

その限られた中でもニーニャ出身の登録者は戦える貴重な存在らしいが、同様に訓練された人材をすぐに用意するのは、少し難しいように思えたのだ。


「とりあえずそれはすぐに解決とはいかない問題だな。俺の方でも考えとこう。急ぎって訳でもないんだろ?」

「はい。緊急性は少ないです。ただ、せっかく登録に来てくれたのに手放しで迎えられないのは心苦しくもありますから……」

「その気持ちは解るぜ。まあ、少し待っててくれ。んで、他の問題は?」

「後は、こちらも人材面の問題なのですが、最近船で来る観光客から町の案内を頼まれることが多いのですが、安心して観光案内を任せられる人材が不足していて……」

「案内できる人が居ないのかい?」

「いえ、案内はできるのですが、こうしたものはどちらかといえば身綺麗な女性や若い男性の方がいいでしょうから。ただ、こちらの支部にはあまり女性がいませんし、男性も、筋力には自信ありの方は多いのですが、案内にはちょっと……不向きと言いますか」


 詳しく聞けば、そのような案内の依頼があった際には町で生まれ育った登録者を向けているらしいのだが、いかんせん観光案内などしたこともない者ばかりだった為に微妙な反応をされることが多いのだとか。

今現在、ニーニャはステラ王女かねてよりの提言に従い観光地としても発展しつつあるが、まだまだ住民は漁師町という意識が強いらしく、すぐに順応とはいかないのもアリーチェの悩みの種らしかった。


「ま、確かに観光都市って感じじゃないもんな。漁師町だから、皆気はいいけど観光客に愛想がいいってほどでもないだろうし」

「そうなのです。ですが、せっかく観光に来てくれている方に不愛想なのも……できれば、改善したい点です」

「それに関しては心当たりがあるから、人材をいくらかここに回せると思うよ。勿論、住む場所とある程度この町に関しての教育は必要だろうけど」

「まあ! ありがとうございます。とりあえずの問題はこれだけです」

「そうか。んじゃまあ、さっきの問題についても考えとくから、一人で悩まずにな」

「はい……夫ともども、今後も上手くまとめていけたらと思います」


 アリーチェをここのマスターにしたのはカオルだが、それは間違っていなかったように思えた。

彼女はとても誠実だし、愛する夫という支えが居て、自分に自信がないものの安定しているように思えたのだ。

実際、それは当たりだったように思える。


「んじゃ、次に行くか……と、ちょっと知り合いのところに顔出してくるぜ」

「はい」


 後ろで控え、じっと話を聞くにとどめていたクラウンに声をかけ。

カオルはアリーチェらが見送る中、港へと向かっていった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ