夏に出る奴じゃない方ですね
「えとさ、魔族ってどんななの?こっちの世界にはいない存在だから、いまいちピンとこないんだよね。」まずは情報収集から。
話を聞いて何か知恵を授けられればいいけれど。
スマホを片手に検索キーワードを拾うために相手の話に集中した。
「奴らは夜の間襲ってくる、なぜか朝から夕方までは姿を現さないんだ。」
ふむふむ、まずは『夜行性』と。
「そして、対抗しようにもこちらの武器は全く通用しないんだ。攻撃したくてもこちらは防ぐことしか出来なくて、それでも防ぎきれず…」
よっぽど打つ手がなくて悔しいんだろうな、涙目になっている。
それにしても武器が効かないって、よほどでかいのか固いんだろうか。
まだイメージ掴めないな。
「姿とか色とか見た目はどんななの?」
「あ、それは人の姿にほとんど似ている。肌がかなり青白くて、歯が発達しているくらいが違いかな。」
青白い出っ歯のマッチョか?
緑色のマッチョならアメコミにいたけど、正義の味方だったよな確か。
「他に特徴は?苦手な物とか。」
「それなら数年前発見されたんだ!奴らはある特殊な野菜が苦手でな、それがあるところには近寄らないんだ!」
近づけないくらい野菜嫌いって、子供以下か。
強いのか弱いのか分からない魔物だな。
「もう一つ、ある特定のデザインも嫌いらしくてそれを見ると逃げていくんだ。」
特定のデザイン?
もう訳が分からない…。
スマホで検索してみてもそれらしいものは見つからない。
やっぱり異世界の魔物はこっちの知識じゃ理解できないぐらいかけ離れているのかな。
やばい、アドバイス出来る気がしない。
今まで聞いた話だと、守りきれないから攻撃方法か退治方法が欲しいってことだよね。
武器を渡せばいいのかな。
でも私が用意できる武器なんて包丁とか鎌とかホームセンターで買える物ぐらいだし、薬品はドラッグストアでも売ってくれないはず。
あ、もしかしたら武器が発達してない国とかいうオチじゃ。
マヤ文明は武器が全くなかったからスペインに簡単に侵略されたとかなんとか聞くし。
さっき、この王子様は武器が効かないって言ってたけど、木の棒やこんぼうレベルなのかも。
身に着けている物を見たら中世ヨーロッパ風の服装だし、剣とか発達してないのかな。
あれやこれやぐるぐる頭を回転させている私に、さらに王子は言葉を続けた。
「なんと言っても厄介なのは、奴に血を吸われると奴らの仲間になってしまうことなんだ!今までどれだけの仲間が奴の手下になったことか…。」
ん、血を吸う?夜行性で?青白くて歯が発達?
ちっ、箱入りのボンボンの王子じゃしょうがないのか!
意図的なの!天然なの!国語力の無さなの!懇切丁寧に分かりにくくしたな、おのれ~。




