86 めんどくさい俺と、見たくない俺と
神に勝つ作戦なんてどこにもない。それなのに、皆は抗おうとしてる。
――バスッ――!
この銃声は、魔崎の銃声か?あいつは、神を絶対に許さない。と言った。俺達を守るために。
――なら、俺はどうして動き出さない?
「エアロ――!ブリザド――!はぁぁ……ファイヤ――!!」
凜が魔法を使うが、どれも神には当たってない。神は瞬間移動あるいは謎の能力で魔法を打ち消している。
凜は六歳から異世界にいて――きっと神には勝てないという事をわかってるはずだ、それなのに、どうして戦ってるんだよ。
――何をやってるんだ、俺は……
――パァン――!!
何十回も、何百回も聞いた、椎名の銃声も響いてる。椎名、お前はもう、諦めないって誓ったんだよな。俺に言われた言葉なんかを守って。
――それなら『もう、諦めるな』そう言った俺は何をしているんだよ!諦めないんだろ!?最後まで抗うんだろ!?俺は……何がしたいんだ。俺は、俺は……。
「ちげぇんだよ!全部全部ちげぇんだよ!俺は何もできやしない、ただ綺麗ごとを吐いてるだけで――こうして絶望の淵に落とされた時に!肝心な時に動けない!俺は……クズなんだ……」
心の奥から、気持ち悪くてドロドロしたものが溢れてくる。ならば諦めなければいいじゃないか、最後までやってみればいいじゃないか。皆そう言ってきた。でも俺は……できないんだよ。
吐き気がする、頭が痛い。気持ちが落ち着かない。なんだよこれ、どうしてこんなタイミングでバカみたいなことになってるんだ。俺は、一体……
「—―蘭次さん」
ふと、呼ばれた気がして前を向きなおす。そこには――
「魔……崎……」
「蘭次さんに、言っておきたいことがあります」




