68 いくらでもやってやるよ
ガン!という鈍い音がして、俺の剣とバカの木刀は切り結んだ。
「あ、やっちゃった」
見ると、木刀に浅くとはいえ剣が食い込んでいた。
「お前、何やってんだよ……」
チンピラが溜息をつく。俺もこのままだと剣が使えず格好の的なので剣を切り離し、いったん距離を取る。
「とりあえず、木刀はまだ使えるみたいだね……」
「そうか、それならよかった。それなら――」
「「次はお前から攻撃しろ!」」
……
「な、なんで僕から攻撃するのさ!さっきは僕が防御したんだからそっちから行くべきでしょ!」
「まだ木刀は使えるしお前のほうが動きが素早いんだからお前が行くべきだろ!」
……
「あー……来ないならこっちから行くぞ」
俺はまた距離を詰める。こんどは馬鹿正直に剣で突っ込まず、フェイントでバカを斬ると見せかけてから……チンピラのほうを斬る!
「させないっ!!」
ガン――!!とまた木刀に剣が食い込む。
(……バカな、読まれていた!?)
俺はバカにはフェイントをかけたはずなのに。いや、違う。読まれたんじゃない。俺の攻撃方向を確認してから防御したんだ。
とんでもないスピードだ。早すぎる。いや、今はそれどころじゃない。なぜなら――
剣が完全に木刀に食い込んでいる。抜けないぞ。まずい、攻撃が来る。
俺は剣を離してしゃがみ込む。その次の瞬間、俺の胴があった位置にチンピラのメリケンがあった。
(足払いっ……!)
チンピラの足を手で払いにかかるが、それもジャンプして躱される。
――やっぱり、武器がないとだめか……どうする? 剣を取り返すのは厳しそうだし、そうなると……
「激しい音と共に空間を切り裂き――」
武器を呼び出す!
「一瞬の閃光と一筋の銃弾は――」
チンピラは明らかに何かを唱えている俺を攻撃するか悩んでいた様だが――
「やらせないよっ!」
バカの方は剣が刺さったままの木刀を振りかざしてこっちに突撃して来た。
「……こいつを待っていた!!」
俺は突き刺しに来た木刀を左に避けた後、素早く剣を強引に抜き取り、その体の勢いを利用して――蹴りをぶち込む!
左足を大きく振り、バカの顔に命中……と思ったが、ギリギリで躱され、蹴りは木刀に当たった。
だが、剣を食い込んでボロボロだった木刀は真っ二つに割れた。これだけでも良しとしよう。
「おまえなあ!剣が木刀に食い込んだ状態で攻撃する奴がいるか!?」
「何言ってんのさ!攻撃しなかったら絶対何かやられてたよ!」
「だが結局剣を取り戻されてるじゃねえか!」
「……お前ら、仲いいよな。楽しそうだよ」
「「どこが!」」
「そういうとこだよ」
俺は苦笑いをする。だが、それだけあいつらの相性はいい。さて、どう攻める?
まず、こちらの攻撃は大体バカに防御される。あいつのスピードは段違いだ。それにいくらフェイントをいれても合わせてくる。しかも木刀を折られたのにその二つを二刀流のように使おうとしてる根性も持ってるみたいだ。勘弁してほしいねこいつは。
そして、向こうの攻撃は大体はあのチンピラが決めに来る。素早いバカが牽制し、隙が出来たらチンピラのデカい攻撃で――って所か。こっちは何とか防げるかもしれないが……やっぱり攻撃の方法がないな。
(あるとしたら、防御ごと吹っ飛ばすか?)
でも、そんな事――出来るな。さっきもやろうとしたしな。
だが、それをやる隙がないな。俺が武器を呼び出そうとしたらすぐさま攻撃に来るかもしれないし……どうしたものか……
そんな俺に、一つのアイデアが浮かんだ。うーん。これはちょっと出来るか微妙だけど……やってみなきゃわかんないよな。




