５７ ということで、
ということで、翔を捕まえました。
「なぁ……元は俺から話そうとしたのに、今から吐けっておかしくないかぁ？」
椎名に銃を突き付けられている翔が普段の訛った声で呆れたように言う。うん、もうその話はやめよう。
「終わったことはぐちぐち言わないの。ほら、さっさと吐きなさい。なんであの子を攫ったの、嘘ついたら焼きゴテにするわよ」
焼きゴテって……もうツッコミ所しかないな。
「ん……蘭次さん……」
そんな尋問の前に、大山が目を覚ました。
「大山！大丈夫か？痛い所はないか？」
「え……あ、あれれ？私、えええ？」
「お、落ち着け。お前はしばらく眠ってたみたいだし、無理するな。もう問題は解決した。ゆっくり休め」
「は、はい……」
良かった。大丈夫みたいだな。
と、一安心したところで……
「ほら吐きなさいっての、いい加減にしないと怒るわよ？」
凜に目を移すと、翔の襟首をつかんで尋問していた。何やってんすか凜さん……。
「だから話すって言ってるだろぉ」
「だったらとっとと話しなさいよ」
「だから――」
「あーお前ら堂々巡りしてんじゃねえよ。凜は一回黙れ」
なんか小学生の言い合いみたいなことをしていたので止めに入る。
「うるさいわね。私は――」
「いいからいいから、とりあえず話すって言ってるんだから」
凜を言葉を遮り、翔の言葉に耳を傾ける。
「……はぁ、いいか、俺確かにあいつを攫った。だがそれは大義によるものだからだ」
真剣に話す時に翔はいつも訛りを直す。今回も、本気で話すつもりなんだろう」
「俺があいつを攫った。その理由は――」
「魔物だー！！でかいやつが来たぞー！！」
……
…………
「……タイミング悪すぎないか？」
「……最悪のタイミングだったわね」
「……むしろ珍しくていいんじゃないかな？」
完璧なタイミングで近くの人の叫び声があったせいで、大山が攫われた理由を完全に聞き逃した。
「なんだ……！？あれ……！？」
つい溜息をついたとき、翔が目を見開いた。俺達の後ろを見て、有り得ない。という顔をしている。
「どうした、ＵＦＯでも――」
――飛んでいたか。そう言おうとして、振り返った俺は言葉を失う。
なんだ、あれ。
振り返ったそこには、火に包まれた町、そして――
町の建物をゆうに超える、ドラゴンが仁王立ちしていたのだ。
