39 小休止
「蘭次様!朗報です!」
俺の部屋の扉がバタンと勢いよく開け放たれる。
「……ここ数日しつこいぞ魔崎」
「なんと、今度の異世界には!」
「聞いてねーし……」
『異世界戦』の準決勝が終わってから数日、決勝が一か月後と知らされた俺は唖然としたが、中谷さんの説明を聞いて納得した。
なんでも、今回は新しい取り組みを多く行ってきたため、色々なところに不具合が生じているらしい。椎名が違う所に飛ばされたのもそのうちの一つで、準決勝を区切りとしてしかるべき決勝戦までに調整を行うということだ。
そんな事を言われて、それまでどうしよーかと思っていたが、凜や椎名と相談して『ここから一週間は休みを取ろう。そしてそれから決勝戦に向けた準備や探索を行おう』という事になった。
……なのだが、休んでる間にも魔崎ときたら、異世界に新しくできたシステムか何かをじゃんじゃん耳元で紹介してくる。これじゃ休めるわけがない。
「今回は素晴らしいシステムが誕生しました!その名も、『ミッション!』です!」
「あのさぁ……なんか日を追うごとに新しいシステムが出来てるけど、『異世界戦』の不具合とかはいいの?」
「ああ、『異世界戦』と普段の異世界では管理するチームが分けられてるんです。だから異世界戦に関係なく新しいシステムを作れるんですよ」
「そうなんだ……」
しっかし、こんなに新しいシステムを作ってるがいいのだろうか?そもそも天界には、人間の願いを完全に叶えてはならないという掟があったはずだ。それなのにバンバン人間が食いつきそうなシステムを作って、何か目的があるのかな……?
「蘭次様?どうかしましたか?」
「え?あ、何でもないぞ。続けてくれ」
「はい、ミッションについてですが――」
そもそも、あの世界は一体何のためにあるんだ。それこそ天界が作った物なら、天界にいる人が住めばいいじゃないか。いや待て、あの世界は確か人間の魔力によって創られた物だったはず。それを引き出せるのは天界人のみだ。でも、だからといってわざわざ人間の魔力を引き出してそれを管理するだなんて……お人好しにも程があるってもんじゃないのか?
「ということでこのシステムは――って蘭次様!聞いてます!?」
「ふぃえ!?あ、お、おう!バッチリデスヨ!」
「嘘をつかないでください!ええと……つまり他の人間、または天界から依頼を受け、それを遂行し天界に報告することで報酬がもらえます」
「報酬?それってどういうのがあるんだ?」
「えっと……あれ?なんでしたっけ?ちょ、ちょっと下さい」
何かの書類を探そうと天界に戻ったのか、魔崎はドロンと消えた。
やれやれ……聞かせる気があるのかないのか。どちらにせよ一週間後にはちゃんと異世界に行くんだ。そう急かさなくてもいいだろ。
(そういえば……俺、天界に疑心を抱いたことはあっても、魔崎にそういう感情は持ったことないな)
まあ、ただ単にあいつがドジだからか。そう思い俺は家を出る。どうせ魔崎が説明しに戻ってくるなら、菓子の一つでも買ってやろうとコンビニに向かうために。
今回は少々短い話となりました。これから新しい展開に入ります




