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「弥生~!逃げないで!ハグさせて!」

「嫌です!来ないでください!」


なんで皐月ねえに追われているのだろう。

それは最悪のことに食堂で会ってしまったことが原因。

しかもたくさんの生徒達が見ているところで・・・

日頃地味生活を心がけてる私には、いい迷惑。

皐月ねえが入ってきた瞬間に視線は全部皐月ねえのものと変わった。

皐月ねえはクールだからものともしない感じでいた。

なのにいきなり私を見た途端、目がハートにかわり私の方へダッシュしてきた。

そして来た途端、さっきまでのクールな感じはどこに行ったのって聞きたくなるほどに抱きついて甘え始めた。


『弥生ちゃ~ん!こんな所にいたのね!なんで可愛い顔を隠してるのかな?・・・そうか葉月や卯月姉さんがこうするように言ったのかな?まぁとにかくそのメガネ外して』

『ちょっとやめて。私は学園では目立ちたくないから。そのメガネを外したら嫌いになるからね』

『そんな!?せめてハグ~!』

『やめてよ虎谷先輩!』

『なんで他人ぽく言うのよ~。いつも見たく皐月ね『わあぁああぁぁ』』

『ここでは「にいやねえ」はつけないから』

『なんでよ!私は弥生にそう読んでもらう為に生きてきたのに!』

『おうげさ。もう私行くから。』

『どこに行くの?まさか文月の所?ダメよ!今日は私が独占するのぉ!』

『ちょっと来ないでよ~!』


こんなことがあり今にいたったの。

今のこの状況で最優先なことは、皐月ねえをまくこと。

入学して三ヶ月の私には、学園のことを知ることができる期間。

既に一日に四人に追いかけられるという経験をしている私に死角はない!

確かこの先の角の所にロッカーがあり、からだから中に入れるはず。

そう思い、走る速さを早くして角を曲がった瞬間、私は危険を察知した。

だって葉月にいがいるんですもん。


「おや弥生。奇遇だね。どうだい食堂でも行ってお茶でも飲まないかい?」

「虎谷先輩!嫌です。それに食堂から逃げて「あぁ!葉月!先に弥生を見つけたのは私よ!」

「でも逃げられたんだろ。なら俺が一緒にいるのは弥生から来たからセーフだ。」

「それは逃げた先に葉月が居たってだけでセーフじゃない!」

「なんだと!」

「なによ!」


喧嘩が始まった。

こうなると前しか見れなくなるから逃げれる。

そう思ったら行動せねば!

私はダッシュで教室に向かった。




「大変だったね。」


こんな風に優しく声をかけてくれるのは、美華だけ。


本名は東雲美華。

東雲コウポレーションの社長令嬢。

なのに高飛車でもないし、庶民の私と話もよく合う。


「また虎谷先輩達に追われるってすごい事だよ」

「でもいい迷惑。地味に過ごしたいのに目立って仕方がない」

「普通の生徒からしたらなんて贅沢な願いとか言われてイジメられるよ~」

「うん、そうだね・・・」


美華やにいやねえには、言えない。

自分がイジメられていることを。


小中学校は、仲の良い兄妹で有名だった。

でもさすがに高校からは、知っている人がいない為、私と四人はかけ離れた存在なのだ。

正直死にたいとも思った。

屋上に行って柵をこえた途端、四人の顔が浮かんできた。

そして残ったのは、寂しさと虚しさ。

四人の泣いている姿だけは見たくない。

だから耐える道を選んだ。

ファンクラブの呼び出しは、痛いが行かなきゃイジメがエスカレートするしでもう大変。

そんなこんなで今日も呼び出しをくらっている。

ため息しかでてこない。

今日は何をされるんだろう。

前は、荷物持ちやパシリで済んだけど段々水をかけられたりされている。

トイレならありそうだが中庭で生徒達の前でくらった時もある。

皆それを見て見ぬふりをしてどっかに行ってしまう。

先生には見つからないので問題にもならないからと向こうも安心しているのだ。

それに気づかれても理由が四人にまとわりついていたからと言ったら私が馬鹿にされて終わる。

だからいうことを聞いて地味に暮らすしかないのだ。


「やっぱり元気ないね。帰りにどっかよっていかない?」

「・・・ゴメン。用事があるの。」

「そうなの?わかった。また今度行こ。」


はぁ~行きたいな。

でも放課後すぐにこいって言われてるし。

憂鬱な気分のまま、私は放課後まですごした。


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