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もろもろの谷は高く
俺の名前は兒島一郎。
家には母親と妹がいる。
父は偉大な科学者だったらしいが父親のことは全く知らない。
18年前に起きた第3次世界大戦。その影響で世界は火星人に支配されている。火星人を見た者はいないけど。
最近はここ、ニンフルザクは、復興を目指して火星人対策をしているらしい。何をやってるか知らないけど。
母親も父と同じように科学者だ。
だからと言って誇る訳じゃない。
どうでもいい。
この世の中。
つまんねえ人生。
火星人に怯えながら暮らす運命。
残念過ぎる。
「お帰りなさい。一郎。」仕事から帰ってくると家には母親がいた。
「………なんでいるの」
「今日は早く終わったんだ、仕事。」母親は笑っているが、俺にとって笑える要素はなにもない。
「…。」
「…ねえ一郎?明日研究所に来てくれない?」
「…は?なんでだよ」
「お父さんの研究について、知ってもらいたいの」