最強の能力
「成功者は誰でも持っているチート能力があるんだけど……いる?」
夢の中で急に現れた女神にそう言われた僕はこれが夢であることも相まってすぐに頷いた。
「おめでとう。君はもう人生の半分は成功したようなもんだ」
「そうなの?」
「あぁ。君はきっと目覚めたら驚くよ。全てが変わっているのだから」
さて。
僕は夢から目覚めたが何かが変わっているなんてこともなし。
「夢は夢か」
そう呟きながら僕は日常を生きるのだった。
*
「ねえ。こないだのチート能力を与えた人間、どうなった?」
同僚にそう問われて私は答えた。
「ん-。まぁ、それなりに上手くいっているんじゃないかな?」
「そなの?」
「うん。うじうじ悩んでいたけど能力を貰った翌日には気になっていた女の子にアタックして成功していたし」
「おお。流石はチート能力」
「だよね。んで、次はそのままの勢いで『どうせ、レギュラーは取れないから……』って言い訳していた運動部に入ってね」
「おおー、かっこいい」
「その後はずっと我武者羅に努力してレギュラーとってさ。こないだ彼女さんとお祝いしていたよ」
「やっぱ、チート能力はすっごいねぇ」
「そうだねえ」
そう言いながら私はちらっと下界を除く。
先日、チート能力を与えた少年は今日も毎日を生きている。
「やっぱりシンプルな能力ほどこそ強いよね」
「そうね。それは言えているよ」
彼は今日も与えられた『考えるよりまず動く』というチート能力を十全に使いながら、細やかながらも幸せな人生を歩んでいた。




