表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
TS少女の異世界のんびりクラフト日記  作者: 月夜るな
1章:目覚めと森とTS少女と~

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

4/12

004『目覚めて翌日』

「ふぁ……」


 小鳥のさえずりで目を覚ます。

 出来立ての木の香りがする『豆腐ハウス』の中で迎えた、異世界での初めての朝。とりあえず、木の床の上にポーチに入っていた寝袋を敷いて寝たのだが、思いのほかぐっすりと眠ることができた。


「ふむ」


 背伸びをして、改めて部屋を見回す。中々いい感じの拠点になったと思う。

 だが、満足して立ち止まっている暇はない。俺はクラフトテーブルの前に立ち、空中に浮かぶブルーペーパーの画面と直面していた。


「次に優先すべきは『水』と『食料』か」


 衣食住の『衣』も大事だが、今着ている麻のチュニックがあるので今すぐ必要ではない。

 となれば次は『食』だ。ポーチの中に飲料水が入った水筒はあるが、持ってあと数日だろう。最悪、食べ物は数日我慢できても、水が切れたらゲームオーバーだ。


「となると、森を探索して水場を探すしかないよなぁ」


 サバイバルゲームにおける定番のファーストミッションだ。

 しかし、何が潜んでいるかわからない未開の森へ、丸腰で行くのは危険すぎる。せめて自衛が出来る遠距離武器が欲しいのだが。


「何か使えそうな道具はないかな」


 ポーチのインベントリを探ってみる。サバイバルナイフはあるが、素人が獣相手に近接戦闘を挑むのは自殺行為だ。

 うーむ、と画面をスクロールさせながらしかめっ面をしていると、ふと見慣れない名前のアイテムを発見した。


「……『小型拳銃』?」


 思わず声が出た。ポーチの中から実体化させて取り出してみると、マットブラックの鈍い光を放つ、妙に手に馴染むハンドガンだった。


「本物……か?」


 チャカッ、とスライドを引いてみる。マガジンの中には弾がフルで装填されているようだ。

 華奢で真っ白な幼女の手と、無骨な殺傷兵器。あまりにもアンバランスな光景だが、重さはそれほど感じない。これなら俺でも扱えそうだ。


「予備マガジンが2つか」


 ポーチの中には他にもマガジンが2つ入っていた。装弾数は分からないが、確実な有限武器だ。弾を使い切ったらただの鉄の塊になってしまう。


「一応、クラフトテーブルに弾のレシピはあるが……」


 画面を確認すると、『9mm弾』の作成には『火薬』や『銅』など、明らかに今の手持ちにない素材が要求されていた。つまり、今すぐ弾を補充することは不可能だ。


「ってかよく見たら、アサルトライフルとかスコープとかのアタッチメントまで作れんのな……」


 どの世界観だこのゲーム。真面目にゾンビが徘徊しているようなポストアポカリプス系だったりするのだろうか? ……いや、考えても仕方がないか。


「今すぐ手が届きそうな遠距離武器は……『木のクロスボウ』か」


 レシピを確認する。他の武器と比べれば、あと一歩で作れそうな状態だった。『木の矢』は万能ノコギリで集めた木材からすぐ作れるし、本体も木材でいける。

 足りないのは、弦にするための『糸』だ。


「そもそも、その『糸』をどうやって手に入れるべきか……」


 ゲームなら蜘蛛型のモンスターからドロップしたりするが、出来ればそんなキモい奴とは戦いたくない。

 となると、植物の『綿コットン』から作るのが現実的か。ただそうするには、綿から種を取り除く『綿繰り機』と、糸を紡ぐための『紡錘車スピンハンドル』が必要になる。


「……あるな。両方とも木材だけで作れるみたいだ」


 マジでこのクラフトテーブル万能だなぁ。もはや産業革命を起こせるレベルの技術ツリーだ。便利なのでありがたく使わせてもらうけど。


「問題は、肝心の綿があるかどうか……ん?」


 再びポーチのインベントリを漁っていると、『綿コットンの種』らしきものを発見した。


「……ポーチくん、有能すぎない?」


 心の中で、このチート装備をくれたであろう謎の存在(神様?)に感謝する。種があるなら話は早い。これを育てて綿を収穫し、糸を紡げばクロスボウが完成する。

 俺は意気揚々とクラフトテーブルを操作し、畑を耕すための『木の鍬』を作成した。


「よしよし。早速拠点の前に畑を作って、種を蒔いて……」


 そこまで考えたところで、俺はピタッと動きを止めた。


「…………ああ、でも、結局育てるための『水』が必要じゃんか」


 木材(拠点)→武器が欲しい→クロスボウ→糸が必要→綿が必要→種を植える→水が必要。

 見事な堂々巡りである。サバイバルゲーム特有の「あれをやるにはこれが必要」のループに、俺は一人で盛大なツッコミを入れた。


「……はぁ。やっぱり、水を探しに行くしかないようだ」


 俺は木の鍬をポーチにしまい、代わりにサバイバルナイフと、切り札である小型拳銃を腰に帯びて、意を決して扉を開けた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ