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TS少女の異世界のんびりクラフト日記  作者: 月夜るな
2章:水路の時代~

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011『水路を作ろうぜ』

 異世界にやってきてから、どれくらいの時間が経過しただろうか。

 カレンダーも時計もないこの世界で、何度目の日の出と日の入りを見たかはもう分からない。だが、俺の異世界サバイバル生活は、控えめに言ってもかなり安定し始めていた。


「ふう……我ながら、中々いい出来じゃないか」


 拠点である『豆腐ハウス』は、今や立派なログハウス風の建物へと進化を遂げていた。

 万能ノコギリくんのおかげで木材は無尽蔵にあったため、1階のスペースを広く拡張し、さらに三角屋根を被せて屋根裏部屋(寝室)まで作ったのだ。見た目は完全に森の別荘である。


 家の前に作った畑では、植えていた綿コットンや小麦が少しずつ実り始めていた。まだまだ規模は小さいが、俺一人の胃袋を支えるくらいなら十分だ。

 収穫した小麦はクラフトテーブルに乗せれば自動で『小麦粉』になり、それに水を混ぜて焚き火の石鍋で焼けば、香ばしい無発酵パン(チャパティのようなもの)が出来上がる。極貧サバイバルから、ついに炭水化物のある生活へとランクアップしたわけだ。


「生活基盤は、最初と比べたら雲泥の差だな。……まあ、謎な部分もあるけど」


 例えば、トイレ問題。

 不思議なことに、この白銀髪の美少女ボディになってからというもの、強烈な尿意や便意といった生理現象をほとんど感じないのだ。人間というか、ファンタジーの妖精か何かにでもなってしまったのだろうか。


「まあでも、一応念のため……ね」


 家の裏手に、小さな個室のトイレ(仮)は作ってある。

 最初は原始的なボットン便所にするしかないかと思ったのだが、排泄物をそのまま土に垂れ流すのは衛生的に嫌だったし、森の生態系に悪影響を与えそうだった。

 ファンタジー世界なら『スライム』みたいな魔物を便槽に飼って汚物を浄化してもらう、という定番ネタもあるが、残念ながらこの森でスライムは一度も見ていない。


 どうしたものかと悩んでいた俺を救ってくれたのは、やはり万能ツールこと『クラフトテーブルくん』だった。

 レシピ一覧の奥深くに【コンポスト(堆肥化)トイレ】という項目があったのだ。


『排泄物と落ち葉を混ぜ合わせ、自動で衛生的な農業用肥料に変換します』


 ……ナニソレ? って思っただろう。俺も同じだ。

 木材と石材をテーブルに乗せるだけで、そんな高度なバイオトイレがポンッと出来上がったのだ。もはやクラフトテーブルくん自体が、超高度な物質変換器かオーバーテクノロジーの産物だとしか思えない。

 もう何も驚くまい。俺はただ「クラフトテーブルくん最強」と崇めていればいいのだ。


 閑話休題。


 食料、住居、そして衛生面。色々と安定してきたところで、俺は前々から計画していた大型プロジェクトを始めることにした。


「いよいよ、『水路』の開拓だ」


 四次元ポケットのような万能ポーチくんがあるとはいえ、生活用水を確保するたびに、歩いて数分の川辺まで水を汲みに行くのは流石に面倒になってきた。

 それならば、川から拠点まで水路を引いてしまうのが一番手っ取り早い。


 計画としてはこうだ。

 万能スコップくんで川から拠点までの地面を掘り、万能ポーチで作った『石材』を敷き詰めて舗装された水路を作る。拠点の前には、石レンガで大きな『貯水槽プール』を作り、そこに水が溜まるようにする。


「ただ、問題は引いた水をどう制御するか、だな」


 川から物理的に水路を繋ぐだけだと、拠点の貯水槽に永遠に水が流れ込み続けることになる。

 それでは貯水槽から水が溢れ出し、家の周りがドロドロの沼地になってしまう。畑の植物も、水をやりすぎれば根腐れを起こして全滅だ。


「ゲームなら、大体水流というか水って一定距離で止まるから楽なんだけど……ここはリアル物理演算の世界だからな」


 俺は腕を組み、ゲーマーとしての脳髄をフル回転させた。

 溢れさせず、必要な分だけを確保するにはどうするか。


「……そうか、2つ作ればいいんだ」


 ポンッ、と手を打つ。

 一つは、水路の途中にクラフトテーブルで作れる『水門バルブ』を設置すること。これで、水を引き込みたい時だけゲートを開けられるようにする。

 そしてもう一つは、貯水槽に『オーバーフロー(余水吐き)』の構造を作ることだ。


「貯水槽の水位が一定の高さに達したら、溢れた水が自動的に別の『排水路』を通って、森の奥(川の下流)へ排出されるように溝を掘っておくんだ」


 これなら、水門を開けっぱなしにしてしまっても、拠点が水没する危険はなくなる。

 引き込み用の水路と、排出用の水路。掘る労力と必要な石材は2倍になるが、万能スコップくんがある今の俺なら不可能ではない。


「よし、方針は決まった。やると決めたら即行動だ!」


 これを作れば、生活水準は劇的に跳ね上がるはずだ。

 俺は万能スコップくんと大量の石材をポーチに詰め込み、鼻歌交じりに川辺へと向けて歩き出した。

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