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友達だと思っていたαのイケメンにお嫁さん認定されて一生愛の巣に閉じ込められる。  作者: 詩季


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2/2

無理矢理番にさせられて監禁されている僕は、アルファ夫が僕しか愛せず子供に興味がないようなので我が子を連れて彼から逃げます!

オメガの由良は友達だったアルファの誠に無理矢理番にさせられて理人という子供を授かった。無理矢理でも自分の子供。大切に愛して育てたい由良と、由良のことを愛すあまり子供に愛をもてない誠。

由良は誠に恐怖を抱いており反抗ができず、理人と引き離されてしまいそうになるが…


ハッピーエンドです。

妊娠、監禁の要素あり。


「ただいま、由良」

「おかえり、誠」

7時ぴったりに帰ってきた誠をドアの前で出迎えると、小さく僕の唇にキスをする。

あの日から、誠が僕を閉じ込めてから、彼は毎日家に帰ってきて、僕が作ったご飯を食べたり、まるで夫婦のような生活をしている。僕は、彼に無理矢理番にさせられて、正直まだ恐れや恐怖が大きい。あの日、無理矢理番われた日以降もしばらくは手錠をつけられてあの部屋で監禁されていた。だが、それでも僕は彼に大きく反抗できない。ぜなら、僕には誠との間にできた可愛い息子がいるから。2人で理人と名付けた。たとえ、レイプで生まれた子としても、大切な僕の子供なのだ。この子のために、今日も誠に体を差し出そう、と、そう決めたのだ。



「ゆーら、また子供作らない?」

最近彼はこう言う類のことをよく言う。だけど僕は…

「でも…また流産しちゃうの怖い…」

「そうだよね。俺も辛かったよ。だけど、理人も1人じゃ寂しいだろうし、弟や妹がいたほうが楽しいんじゃないかな。」

彼はこう言っているけど、僕は知っている。彼は狂ってる。子供のこと、本当は愛してないんじゃないの?僕のことを大好きなのは知ってる。そうじゃなきゃ僕をこんな部屋に閉じ込めるようなことはしないだろう。だけど、子供のことは大好きって感じじゃない。僕と、あなたとの子供なのに、どうして流産しても涙一つ流さないの?

あの子が流産した時、世界が真っ暗になった気がした。たとえ愛し合って生まれた子供じゃなくても、僕の子供だ。生まれるべき大切な命が奪われた。僕も後を追おうとさえ思ったけど、誠が許すはずもなかった。

きっと、彼は僕との愛の証が欲しいだけで子供が欲しいわけじゃないんじゃないかと、そう思う。


正直、もう体も心も限界だった。

そんな時だった。誠が理人を保育園に預けようとしていると聞いたのは。

「え…なんで?」

「由良が俺がいない間、理人のことずっとお世話するの大変でしょ?それに俺はもっと由良のこと可愛がりたいから。」

僕が大変なのは誠が毎回酷く抱くからじゃないか。僕のことを労わりたいのか、自分が僕を独占したいとか、そう言う類の欲望故なのか、それとも両方なのか、わからない。何にせよ、唯一の心の支えである理人を奪われてしまったら…

それに、小さい時に親の愛を受けられないと、子供によくない。ただでさえ理人は誠から興味をもたれていないのに、僕からも離れて仕舞えばきっと寂しい思いをする。それだけは避けたかった。

ここから、僕は理人と2人で誠から逃げる計画を立て始めた。


彼がいないのは月曜から金曜の8時から19時。彼は僕を監禁してすぐ、日本でも有数の大企業、有村コーポの社長に就任したため、仕事は多いが自分である程度調整できるため、毎日19時には帰ってくる。

足枷は理人が生まれた時に外してもらえた。きっと子供がいれば逃げないだろうという算段だろう。二重の扉で家と外の世界は隔離されており、こじ開けるのは不可能。監視カメラは全部屋にあり、トイレにまであるとなればもう隠れる場所はない。

僕はまず鍵の複製を作ることにした。二重の扉の鍵二つを、理人が遊ぶように硬い紙粘土が欲しいと言えばすぐに買ってくれた。元から手先が器用だった僕ならきっとこれで作れるはず。バレないように、監視カメラの死角、布団の中で、寝ているふりをしながら作り上げた。あとは僕の所持品は全てGPSがついていると予測して、必要最低限のお金だけ持って理人を抱き抱え、外の世界へ出た。出産も医者を呼んでこの家でやったから外の世界に出たのは約3年ぶりだ。久しぶりに見た生の青空に目頭が熱くなったが、それは今することじゃない。すぐに、彼がわからないほど遠くへ。逃げなければ。


それから3ヶ月。僕は誠の家から遠く離れたところで、人当たりの良さそうなおばあさんに助けてもらい、家に住まわせてもらっている。彼女には、夫が亡くなり、借金で住む家がなくて困っていた。と説明した。もし本当のことを言えば警察に行けと言われるだろう。だが、警察や役所には絶対に行けなかった。誠の会社である有村コーポは、政府との関係もあるという噂もある。公的機関に行けば、彼のことだ。すぐに見つかってしまうだろう。それだけは避けたかった。

近所に理人と同じくらいの歳の子どものいる親御さんもいて、子育てにおいてまだまだ初心者で、助けになってくれるお母さんとしての先輩も近くにいなかったため、いろいろと子育てについて教えてもらっている。ありがたいことだ。ただ、やはり理人には親2人分の愛が必要だと、そう感じることも多い。理人が両親と楽しげに遊んでいる子供を不思議そうに見ているのも知っている。まだまだ小さいのに聡い子だと思う。誠がもう少し子供を愛してくれたら…なんて思ってしまうと同時に、彼との生活に恐怖も感じる。


ある日、いつも通り理人と近所のお母さん友達の家に行った帰り道。急に懐かしい匂いがした気がした。と思うと同時に背後から音もなくやってきた影に抱きしめられた。そして香る、爽やかでいて、甘ったるい匂い。理人が影に気づき、嬉しそうにきゃっきゃっと笑っている。


「やっと見つけた。見つけるの苦労したんだよ?由良♡♡おうちに帰ろうか。」

なんで?どうしてバレたんだ?困惑して固まっている僕は、首に小さな痛みが走るのと同時に意識を失った。


ガタンッ

「っっ!!」

音にびっくりして目を開け、飛びあがろうとすると、爽やかで整った顔が僕を見つめていた。彼に膝枕をされていたようだ。そこは車の中だった。明らかに高級そうなその車は、誠のものだ。まだ友達だった頃、この車によく乗せてくれて、海まで遊びに行っていた。あの時は、こんな高級そうな車持ってるなんてさすが社長の息子!なんておちょくっていたなあ。

「起きた?おはよお、由良」

彼の、誠の人当たりの良い笑顔は、きっと100人に聞けば100人がいい人、というであろう爽やかで裏表のなさそうなものだ。しかし、僕にとっては、僕を地獄に突き落とした張本人の悪魔の笑みなのであった。そっと彼の膝の上から脱出し、恐る恐る彼に聞く。

「何で場所わかったの?」

「由良が家から出てくのは見てたから、何してるのかな、とは思ったよ。でもまあすぐ見つけられるし。少しぐらい遊んであげようかな、って思って。どう、楽しかった?三ヶ月間の追いかけっこは。」

「…場所知ってたの?」

背筋が凍る。

「うん、由良の体にGPS埋め込んでるから。あ、警察にも役所にも行ってなかったみたいだから余計な手を加えなくて済んで良かったよ。そこまで考えてくれてたのかな?いい子だね、由良は。」

「…え?」

僕がここまで必死に画策したのも、頑張ったのも、全部彼の中ではお遊びの一環だったってこと?それに、体にGPS埋め込んでるって…。あまりの恐ろしさにガクガク震え始めた由良を見て、誠はねっとりとした笑みを浮かべる。

「ふふ、ガクガク震えてる。かわいーね♡外怖かったね。早く家に帰ろ?」

前からふわりと抱きしめられる。

怖い、この人はやっぱり感覚が普通じゃないんだ。

「…理人は?理人は無事なの?」

「もちろん。由良との大切な子供だからね。今は保育園に預けてるよ。しばらくの期間預かってもらおう。まだ1歳半だから不安かもしれないけど、ちゃんと俺の子会社の元で管理してるとこで、保育士さん専属でつけてもらってるから。安心して。」

もっとちゃんと2人で育てたかったのに。こうなるのを防ごうと思って逃げたのに。最終的に全部誠の手のひらの上なんだ…。目元が熱くなり視界が歪む。

「あれ、泣いちゃった。寂しいの?大丈夫だよ。由良がいい子にしてくれたらまたすぐ会えるし、保育園も辞めさせてあげられるかもしれないから。ね?」

抱きしめられながら、よしよしと頭を撫でられる。今のままでは、理人はずっと保育園、保育士の方に預けられて僕の元に戻ってこないだろう。理人のことだけは守ってあげたいし、親の愛をちゃんと受けて育って欲しいと願う。そのためには、誠に理人のことをちゃんと見てあげて、と言わないといけない…

「…はい」

消え入りそうな声で返事をすると、彼は恐ろしいほど優しさに満ちた笑顔で僕のことを見つめるのだった。


「着いたよ。」

「あ…」

いつの間にか家の前まで到着していた。僕は誠に手を引かれながらあの家に戻る。僕を三年間閉じ込めてきたあの家に。ドアが開かれれると、そこは3ヶ月嗅ぐことのなかった愛すべきアルファの匂いで満たされていた。心とは裏腹に、オメガの本能が数ヶ月ぶりの番の匂いに歓喜しているのが分かる。そのまままっすぐ寝室へ導かれる。その部屋は、僕がかつて無理矢理彼に番にさせられた部屋。つい足がすくんでしまうが、彼が少しでも僕を「いい子」じゃないと判断すればもう2度と理人は帰ってこないかもしれない。なんとか足を動かして寝室に入ると、彼が僕をベッドに押し倒す。

「いくらどこにいるか分かるとはいえ、由良が俺から逃げようとしたのは傷ついたなあ。こんなことしたくないけど、お仕置きしないとね。」

「ひっ!!」

これまで、何度も彼のことを拒んだり、逃げようとしたりした後にされた「お仕置き」の記憶が鮮明に甦り、体が震える。

「っお願い!それはやめて…」

彼の服の袖を掴んで必死にお願いする。

お仕置きなんてされたら理人のこと、それこそ守れなくなってしまう。

「そっか。嫌だよね、お仕置きなんて。じゃあ、お仕置きなんてしなくても大丈夫って分かるように、『ごめんなさい、僕は誠から逃げません』って、俺にに誓える?」 

理人のため。理人が親の愛情を受けられない、なんてことにならないように、育ててあげたい。そのためなら、僕は…

「…はい。でも、ちゃんと子供のこと、愛してあげてください。僕と、あなたの子供です。」

怖い…これを言ってまた何かされるかもしれないと怯えながら震える声で発した言葉は、思いの外、芯の通った音になって2人の間に溢れた。

誠は面食らったような様子で少し固まったのち、手を額に当てて苦い顔をした。

「…そうだね。頑張るよ。」

彼はいつもより格段と優しかった。




「由良、気分はどう?辛くない?何かあったら言ってね。」

「うん、ありがとう」

僕は少し大きくなったお腹をさする。

ここにいるのは、2人目、いや、3人目の誠との子供。女の子らしい。

誠は仕事をリモートワークに切り替えた。そのため家にいることが多くなった。僕の体調が悪くなったりした時にすぐ駆けつけられるのと、僕がまた変なことをしないように見張る、というのもあるだろう。僕はもうそんな気はないのにね。

あの脱出騒動以降、誠は少しだけど理人のことを気にかけるようになった。そうしないと僕がつれない態度を取るからって言うのもあるだろうけど、ちゃんと彼なりに向き合おうとしてくれてると思う。あの時、怖くても勇気を出して言ってよかった。

僕はというと、彼の仕事中は隣や同じ部屋で本を読んだり、漫画を描いたりしている。絵を描くのが好きだったから、誠が色々と用意してくれたのだ。僕にもできることがあると思うと嬉しい限りだ。

頑張ってる誠を見て、僕も彼に可愛いな、好きだな、と思えるようになってきて、友達じゃなくて、夫として、そして僕は彼の妻として生きることを受け入れた。

僕が理人も、新しくまた生まれる命も、僕が守りたいから。

R18版はpixivの方で公開しております。

そちらはメリーバッドエンドのような感じです。


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