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次の日……天気は恨めしいほどの快晴。
結衣は半ば強引に葵ちゃんを連れ出し、俺達は近くの公園へやってきた。
ロープで簡単なコートを作った所で早速試合を!……と思ったのだが、何しろ俺達はほぼ素人集団。
今もこうして葵ちゃんにコーチをして貰っている――と言うのも、葵ちゃんはバド部の部長を任されるほどの強者だからである。
「スマッシュはこう――――スパンッ!って」
『おぉ』
話しながらでも見事なスマッシュ……いやはや、さすがは部長さん。
それにしても中学生にバドミントンを教わっている高校生とは……何と恥ずかしいことか。
こうなるなら俺達の中に誰か経験者が居ればよかったのだが。
「ごめんね葵ちゃん。せっかくの休みなのに」
「ううん!私、お兄ちゃんがお姉ちゃんに勝てるように頑張って指導するね!」
あぁ……誰かと違ってやっぱりいい子だな。さすが性格が真逆なことはある。
是非とも誰かさんには見習って欲し
「あんた今、失礼な事考えてなかった?」
「そ、そんな滅相もない」
……いつの間に結衣は読心術を使えるようになったんだ。
こうして昼前は葵ちゃんの指導のおかげでラリーが続くまで進歩し、午後からは練習試合をするらしい。
が、その前に寺岡姉弟が作ってきた昼食を食べねば。
「じゃーん!どうかな?」
「ほう。さすが美穂だな」
並べられたのはまるで料理人が作ったような数々の料理。
果たして俺達だけで食べきれるかどうか……。
「まあ俺が作ったんだがな」
ここでまさかのネタばらし。そんな気は何となくしてたんだが、本当にそうだったとは……すまん悠人。
「……そうか」
「ちょ、ちょっと悠くん!私だって手伝ったじゃん!」
「手伝いって……最後の5分だけだろ?俺が起こしても起きないし」
「しーっ!それは内緒だって!」
……どうやら美穂は、今日も時間ギリギリまで寝ていたらしい。
美穂の料理は格段と美味しいという事は家庭科の時間に分かったが、あいつは朝に弱くて一人じゃ起きれない。
ちなみに普段の美穂の弁当も、ほとんど悠人か寺岡母が作っているとか。