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〃
「おはー」
「おはよう!」
翌日もいつもと変わらない朝がやってくる。
宿題を写させてやった上、俺自ら手伝ったんだ。今日こそは――
「はいこれ」
渡された物は四角くて…………いや、今日も同じ物だった。昨日のお礼を少しでも期待した俺が馬鹿だった。
やはり逃げることは出来ないか。
「んー……今日からは教科書があって重いんだが」
「力仕事はー?」
「男の仕事ー……ほら、持ってやるよ」
「あ、じゃあ……今日はちょっと持つね」
ちょっと?と疑問に思っていると、結衣は自分の鞄に付いているキーホルダーを持った。
まあ期待はしてなかったけど、強いて言うなら全く必要無い。
てか、こっちの方が周りからの目が気になるのだが……今更か。何故か結衣も嬉しそうにしてるし、まあいっか。
「ほら、さっさと行くわよ!」
「お、おい!そんな強く引っ張ったら」
次の瞬間――。
ブチッという音と共にキーホルダーが真っ二つに破損。
俺は本能的に走り出そうとしたが左腕を物凄い力で握られていた為、失敗。そしてそのまま脛へと蹴りが入る。
今のは確実に俺は悪くないはずなのに……それでも俺の所為なのか……?