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「――以上!明日からの授業の予習忘れるなよー」
今日は始業の日ということもあって学校は午前のみ。
美穂と悠人は家の用事があるらしく、これで俺は解放……されるわけないよな。
「龍也ー。昼から暇だよね?遊びに行っていい?」
「あー悪い。今、家に姉ちゃんいるから」
「じゃあ挨拶がてらに……てか、私は全然気にしないよ」
俺は気にするんだがな。
まあ、言った所でどうなるかは目に見えているからやめておこう。
「そうだな……まあ、春休みは珍しく家に来なかったし」
「よ、用事があったの!悪い?」
「誰も悪いとは……あと、別に無理してまで来なくてもいいんだぞ?
それか明日提出の宿題終わってないんだったら写させてやるよ。いつもの事だしな」
結衣は長期休暇の課題をやらない……と言うか終わらないらしい。
サボるわけでもなくコツコツやってるのに、期限に間に合わないとか。
「う……覚えておきなさい!あとで痛い目に合わせてやるんだから!」
キッと俺を睨み家へと入って行く結衣。
そうやって別れたのだが何故だろう。さっきから悪寒が……。
「ただいまーっと」
「あ、龍也じゃん。おかー」
リビングにはテレビを見ながらゴロゴロしている姉が居た。
俺の両親は仕事の関係上、一緒の家に住んでいない。
在り来たりな理由ではあるが、もう慣れたから特に気にしていない。
そんな中姉は大学へ通いながら、文句も言わずに一人で俺を養ってくれている。
料理や洗濯は当番制にしようと提案したが、花嫁修業とか言ってほとんど自分でやっている。
俺もそろそろ自立出来るようにならないといけないんだがな。
だから大学が休みの内は楽させてあげようと思ったが……あれは断れないか。
今日はそんな予感がしていたから、特に嫌だというわけではないのだが。
「あのさ。今日結衣が家に来るけど」
「え、結衣ちゃん来るの!?何か久しぶりだね~」
「あいつ馬鹿だから宿題終わってないんだってさ」
「そっか。いいよー、結衣ちゃん妹――義妹みたいで可愛いし。それにいつもの事でしょ?」
しかしさすがは姉ちゃん。毎度のこと結衣に関しては何でもお見通しか。
可愛い妹も分からんことはないが……って、待てぃ!何で言い直した?てか義妹って何?
そりゃまあ、結衣にとっては本当の姉みたいな存在だけど……義妹?