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「とりあえず何処かで茶でも飲むか?」
「……う、うん」
「あ、いや、今回は俺の奢りでいいからな?」
さすがに歩きながら話すわけにはいかないので、休憩がてら静かに話が出来る所へ寄ることにした。
勿論一日に二度も奢って貰うわけもなく、妥当な判断として俺が支払いを受け持つ。
「べっ、別にそんなの気にしてないわよ。それより早くあの店に行きましょ?」
「“あの”店?」
「こ、細かいことはいいの。行けば分かるから、ね?」
――何だこの展開は。
最初は拒まれるかと思っていたのに案外すんなりと事が運び、更には行き先が既に決めてあるらしい。
そしていつの間にか結衣によって主導権が握られているではないか。
「――ここよ」
「ここは確か……」
歩くこと数分、見たことがある建物が俺の目に入ってきた。
そこはかつて皆で雑誌を読んでいた時にふと目に止まったパフェ専門店。
これはもしや俺の財布の中身がどうなろうと関係なく、許してもらえるまで食べまくるということか?
それとも雑誌に載るほど有名であの一葉さんが消え去る程の値段である、キングサイズのパフェでも食するというのか……?
一先ず本日何度目かの覚悟を決め店内に入ると、意外にも空いていたらしく見晴らしがいい窓際の席へ案内された。
「まあ、お前茶に誘ったのには訳があってだな」
「私も龍也に用があったからここに呼んだのよ」
「は?」