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さて。さすがに俺達男が撮影シーンを覗くことには気が引けたのと、写真はあとからのお楽しみと釘を刺されたので、俺達はまたもや待ち時間を潰す羽目に合ってしまった。
その間に先程の事について深く考えることにしよう。
「うーむ…………ああダメだ、さっぱり分からん」
「はぁ。お前は女心が全然分かってねーな」
早くも考えることを諦めた俺を見兼ねた悠人がそう言葉を投げかける。
そりゃ同い年の姉が居るから分かっていそうだけど、俺にだって歳は離れているが同じように姉が居る。
だからそんなに難しい問題では無いはずだが……むむ。
「女心も何も結衣はただ単に、えと……は、肌を見られたから俺は嫌われたんじゃ?」
「肌て……仮にそうだとしたら、結衣の中の龍也像は“ただの変態”ってことになるぞ?」
「そ、それはそれで嫌だな」
もし悠人の言う通り「私の肌を見て興奮してんじゃないわよ、この変態っ!」とか思われていたら――ああ、死にたい。今すぐ死にたい。
いや、もしかしたら結衣はただ単に恥ずかしかったからとか……これは有り得なさそうで有り得るかも。
しかしこうなった以上は結衣に許してもらえるまで、プライドを捨てる覚悟で誠心誠意謝り続けるしかないか。
せっかくの旅行なんだからこんな所で意気阻喪しててもあれだしな。
「――で、どうするんだ?」
「他に思い付かないからとりあえずは謝ってみることにする」
「そっか。一応お前達は幼馴染なわけだし、そんなことで嫌い合うような仲じゃないと思うけどな」
「否定は出来ないが……悠人のおかげで少し気が楽になったよ」
それにしても悠人ってこんなに頼り甲斐のある奴だったとは――いやはや、さすがは俺の親友。
これだったら今後も、
「あ、相談に乗ってやったんだから何か奢ってくれよな!」
……相談してもよいのだろうか。