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その後、悠人と他愛のない話をしながら時間を潰すこと数十分が過ぎた頃。突然奥の扉が開いたかと思えば、



『じゃーん!』



そう言いつつこの上ないほどの笑顔で現れたのは、ようやく着付けが終わった二人。

つい先ほどまで白粉を塗るなんて馬鹿らしいと思っていたが、簪との相性もバッチリでそんな考えをも払拭させる程の外見だった。


それにしても和服着るだけでこんなにも印象が変わるのか……最初見た時はこの二人が誰なのかが分からなかったな。



「どう……かな?」


「やっぱり……変、だよね?」



あまりにも俺達が凝視をしていた所為か、結衣と美穂は登場時のテンションとは裏腹に謙虚な雰囲気を醸し出し始めた。

勿論“変だ”とは微塵も思う訳も無く、とてもお似合いに――とは恥ずかしくて言えないから、



「えっと、はい。良いと思います」


「右に同じく、です」



とまあ、簡潔な感想を述べるに止まってしまった……しかも敬語で。

そんな俺達の感想に不服なのか、二人は頬を膨らましながら文句を言い始める。

「何の為に今日、私達は此処へ来たのか」とか「このお金は一体誰が払うと思っているのか」とか……前者はともかく後者は全く関係ないと思うのだが。


だが、このまま放っておいたらここでの料金を払わざるを得なくなりそうだったので、すかさず抑えに入る。



「あー、はいはい。二人とも可愛いですし綺麗ですよ!せっかくだから写真でも撮ってもらえ畜生!」


「……お前、褒めるのか勧めるのか怒るのか滅茶苦茶な奴だな。もっと素直になれよ」



こ、この野郎……俺がどれだけの羞恥心を犠牲にしたと思って――



「ね、ねぇ龍也。その“写真”ってどういう意味?」


「ん?ああ、そこの壁に写真が飾ってあるだろ?だから二人もどうかなー、と思ったわけ」



ちなみに待ち時間中に偶然見付けたわけだが結衣達のコースは一番安いやつなので、着付け代とは別に英世2枚の生贄が必要となる。

するとどうだろうか。仮に撮ることになったら諭吉の力無くしてはこの場を乗り越えることが出来ない。

当然綿密に見積もった予算では確実に足りないだろう……だが、俺には秘策がある。



「でもお金はどうするの?私と美穂は余分になんか持ってないわよ」


「そのことなら俺と悠人が払うから心配すんなって。だからほれ、さっさと店員の所へ行って申し込んでこい」


「お、おい!俺は払うなんて一言も」



文句を言う悠人には悪いが、これも我侭なお嬢様達の機嫌を取り持つ為だ。

そして俺はここぞとばかりに、先程入手した弱点を武器にする。



「美穂さーん!実は悠人君、ロ」


「あーあー!払います、払いますとも!……ったく、法外な値段の口止め料だな」


「へへっ、毎度ありー」



まるで悪巧みが得意な商人張りに悠人からお金を受取るが、これも全て――計画通り。

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