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そして球技大会当日。

試合はリーグ戦ではなくトーナメント戦で行われ、A・Bの2ブロックの1位同士で優勝を決める。

当然ながら俺と美穂、結衣と悠人のチームは違うブロックになり、決勝では当たらないだろうと思っていた……いや、そうなるはずだった


しかし俺達は練習の成果が恐ろしい程発揮され、準決勝の相手でさえストレート勝ちと圧倒した。

結衣のチームも初戦から1セットも取られること無くそのブロックを制覇。


――こうしてAブロックを制した“龍美チーム”と、Bブロックを制した“結悠チーム”は決勝戦まで進み、ネットを挟んで対峙している。

こんな時になんだが“龍美”って名前カッコイイよな。それと“結悠”って何て読むんだろ。


「ついに決勝ね」


「ああ、まさか俺達で優勝を争うとはな」


「ねえ。普通に試合しても面白くないから……賭けしない?」


「別に構わんが」


結衣の考えることだから、どうせジュース1本奢れ――とかだろう。快く引き受けてやらねば。


「そうだな。俺らが勝ったら今後一切お前のパシリやめるからな」


「ふーん。じゃあ私達が勝ったら龍也は一生私の奴隷ね」


えぇ!?……ここでまさかの奴隷宣告ですか。最早俺の関係は主従じゃなくて服従になってしまうではないか。誰だよジュース1本とか言った奴。代償が半端ないぞ。



一方、寺岡姉弟は


「私が勝ったらこれからも悠くん弁当作ってよ」


「はいはい。こっちが勝ったら朝自分で起きて弁当作れよ」


ここに来てまで家庭内のことを条件にしてるのか……。

どっちにしろ俺と美穂は絶対に負けられないようだ。



そしていよいよ決勝の火蓋が切られる時が来た。


「それでは……試合開始!」


「そーれーっと」


とりあえずは様子見と行きたい所だったが……俺は結衣を抜かっていた。

奴は他のチームがやってこなかったことを平気でやってきやがる。


「必殺!ライジングショット!」


ラリーすることなくいきなりのスマッシュ。勿論狙いはこの俺。

だが、俺達だって伊達に決勝まで勝ち進んできたわけではない。

それに結衣対策だってちゃんとしてあるさ。


「美穂っ!」


「ほいほいっと」


練習では結衣の高速スマッシュを打ち返すことが出来なかったが、そもそも俺が無理に返さなくてもいいことに気が付いた。

美穂には予め此方側に寄って貰い、取れそうに無いのは任せる――そう、これが俺達の作戦。

まさかの返球に動揺した結衣がシャトルをネットに引っ掛けてしまい、とりあえず俺達が先取。


「っしゃー!」


「ま、まだまだこれからよ!絶対に当ててやるんだから!」


当てるて……お前は既に目的が違うぞ。

ここまでの対戦相手はさぞかし戦い難かったことだろうに。



この後も懲りずに俺を狙ってきたが――結局、第1ゲームは美穂の活躍により何とか勝つことが出来た。

結衣の学習能力の低さがここで仇となるとはな……まあ、次はそうも行かないだろうけど。



その後も熱戦は続き、第2ゲームは悠人の頭脳プレーで結悠チームの勝ち。

まさか俺達の隙を的確に打ってくるとは……あいつはいつの間にそんな技を習得したんだ。

しかしこれでとうとう1-1。次がいよいよラストゲームなのだが、


「あれ?龍也、あんたふらついてない?」


「そう言うお前こそ。膝が震えてるから限界でも来たんじゃないか?」


「はっ。その威勢、いつまで続くかしらね?」


疲れているのにも拘わらず口だけは達者……が、どうやらお互いの体力は限界に近いようだ。

そういえば準決勝で現役バド部と対戦したのだが、明らかに結衣と悠人のチームの方が強い。

だから簡単に終わってはつまらないし、ここまで来たからには今更手を抜くことは出来ない。


そうだ。俺は絶対に勝って、自由を掴み取ってやるんだ――!


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