第8章:ティーパーティーと巨人族でしてよ〜
ガーランド領の領主館は、華やかなティーパーティーの準備で沸いていた。アリス=ガーランドが、カナン王国のヴィネ女王とエデン王国の第二王子ルカ・エデンシアを招いたのだ。戦争を終えた楽園は、絆の新たな一歩を刻もうとしていた。庭園には白いテーブルクロスが敷かれ、村人たちが焼いたクッキーや紅茶の香りが漂う。アリスの白いドレスは慈愛の炎に輝き、20歳の黒髪ロングの美貌は社交の女神を思わせた。
リナがティーポットを手に、目を輝かせる。
「アリス様、楽園のクッキー、ヴィネ女王も絶対気に入るよ! 私たち、最高のおもてなしで支える!」
トムがトレイを運び、笑う。
「アリス様のティーパーティー、戦争よりスゴいぜ! カナンもエデンもノックアウトだ!」
子供たちが花飾りを持ち、叫ぶ。
「アリス様、テーブルめっちゃキレイ!」「ヴィネ様、ルカ様、早く来てー!」
アリスは村人たちの熱意に微笑み、高笑いした。
「ふふ、皆様の心、マダムとして誇りですわ! 戦場よりティーテーブルがわたくしの舞台! ヴィネ女王、ルカ殿下を、極上の社交で魅了しますわ! おーっほっほ!」
心の中で、フェニックスがすれた口調で呟く。
「やれやれ、アリス、戦争終わったと思ったら今度はティーパーティーか。ヴィネのやつ、どんな顔で来るかな?」
「ふふ、フェニックス、貴方の皮肉、愛らしいですわ! ティーテーブルは、マダムの戦場です!」
ヴィネ女王が到着した。銀色の毛並みと金色の瞳、壮麗な鎧を脱ぎ、深い青のドレスで現れた。威厳ある狼の獣人だが、柔らかな微笑みが垣間見える。そばには水の精霊ウンディーネ、青い髪が優雅に揺れる。ルカは扇子を手に、キザな笑みで出迎えた。
「ヴィネ女王、アリス様のティーパーティーへようこそ! 私の心、貴女の気品に焦がれます!」
ヴィネが静かに応じる。
「ルカ殿下、ガーランド領の歓迎、感謝する。アリス=ガーランド、貴女の拳と志、忘れぬ」
アリスはドレスを翻し、優雅に一礼した。
「ふふ、ヴィネ女王、ルカ殿下、ようこそですわ! 紅茶とクッキーで、わたくしたちの絆を深めましょう! おーっほっほ!」
ティーパーティーが始まった。村人たちのクッキーは素朴だが心温まる味で、ヴィネもウンディーネも杯を傾ける。シルフが風で花びらを舞わせ、場を華やかに。だが、ヴィネの表情が一瞬曇った。
「アリス、ルカ、話がある。東に新たな勢力が現れた。魔族と名乗る集団だ」
ルカが扇子を止める。
「魔族? ヴィネ女王、その名、初めて聞きます。どのような者たちです?」
ヴィネが重々しく続ける。
「闇の精霊ベヒモスとその契約者モルドに率いられ、各地で略奪と侵略を繰り返す。彼らの闇の加護は、獣人や人間を飲み込む。カナンもエデンも、脅威に晒されている」
ウンディーネが静かに補足した。
「ベヒモスの力は、フェニックスや私の水とも異なる。破壊と混沌を好む。モルドは狡猾で、配下を闇で強化する」
アリスはティーカップを置き、目を輝かせた。
「ふふ、魔族、ベヒモス、モルド! なんとも不作法な方々ですわ! ガーランド領の楽園を脅かすなら、マダムの拳でご挨拶しますわ!」
フェニックスが心の中で笑う。
「やれやれ、アリス、ティーパーティー中に次の戦争の話か。モルドってやつ、どんな面してるんだろうな」
ヴィネが提案した。
「アリス、ルカ、四精霊の力を結集すべきだ。フェニックス、シルフ、ウンディーネ、そして土の精霊タイタン。タイタンの協力を得るため、巨人族の集落タイタニアへ向かう」
ルカが扇子を振って頷く。
「ヴィネ女王、賢明な策です! アリス様、私の剣がタイタニアへの道を切り開く!」
アリスは高笑いした。
「ふふ、ヴィネ女王、ルカ殿下、タイタニアへの旅、わたくしの社交術で巨人族を味方にしますわ! 魔族に、マダムの正義を示しましょう! おーっほっほ!」
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翌日、アリス、ルカ、ヴィネ、シルフ、ウンディーネはタイタニアへ旅立った。タイタニアはガーランド領から北西、岩山と広大な平原に囲まれた集落だ。巨人族は体高約5メートル、筋骨隆々の戦闘民族で、土を崇める文化を持つ。集落の入口には巨大な石柱が立ち、戦士の誇りを示す彫刻が刻まれる。家屋は岩と土で築かれ、市場では巨大な斧や鎧が並ぶ。
村長の館で、アリスたちはダダルと対面した。ダダルは赤い髪を豪快に結い、自信満々の笑みを浮かべる巨人族の女性。タイタンの契約者として、土の魔力を帯びた槍を手に持つ。
「ガーランドの領主、アリス=ガーランドか! タイタンの力、見せてやるぜ! 魔族? ダダル様がブッ潰す!」
ヴィネが冷静に言う。
「ダダル、魔族はベヒモスの闇の加護を持つ。タイタンの力を結集し、共に戦うのだ」
アリスは微笑み、応じた。
「ふふ、ダダル殿、貴女の豪快さ、マダムとして気に入りましたわ! タイタンの力を借り、魔族をティーテーブルに招待しますわ! おーっほっほ!」
会談は進み、ダダルは魔族との共闘を快諾。だが、アリスの鋭い目は、ダダルの背後に控える内気な女性――双子の妹ドドルに気づいた。ドドルはダダルと同じ赤い髪だが、目を伏せ、静かに立っている。アリスは心の中でフェニックスに呟く。
「フェニックス、ドドル殿、何か秘めた力を感じますわ」
「やれやれ、アリス、さすがの観察力だな。ダダルの豪気もいいが、ドドルの雰囲気、なんか気になるぜ」
ルカが扇子を振ってダダルに言う。
「ダダル殿、タイタンの力、拝見するのを楽しみにしております! 私の剣、貴女の槍と共に魔族を討ちましょう!」
会談後、巨人族は歓迎の儀式を開催。戦士の誇りを示す腕相撲大会だ。アリスは5メートルの巨人相手に慈愛の炎を纏った拳で挑み、圧倒的勝利。ヴィネも獣人の膂力で勝利し、ルカは風の魔術で巧みに勝つ。巨人族はアリスたちの力を認め、土の祭壇で共闘の誓いを立てた。
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その夜、タイタニアに闇が迫った。魔族の尖兵――闇の魔獣(巨大な黒い狼や蜘蛛)と、ベヒモスの加護を受けた戦士たちが集落を襲撃。闇の霧が平原を覆い、魔獣の咆哮が響く。巨人族の戦士たちが巨大な斧で応戦するが、闇の加護で魔獣は傷を再生し、戦士たちを圧倒。
アリスは慈愛の炎を纏い、丘陵の頂に立つ。
「ふふ、魔族の尖兵、なんとも無礼な夜遊びですわ! マダムの拳で、闇を払いますわ! おーっほっほ!」
ルカが剣を構え、扇子を振る。
「アリス様、私の風が貴女の拳を導く! 魔族にエデンの正義を見せつけましょう!」
ヴィネが水の槍を手に、咆哮する。
「ベヒモスの闇、ウンディーネの水で浄化する! アリス、ルカ、共に突撃だ!」
戦闘が始まった。魔獣の黒狼がアリスに襲いかかるが、彼女は合気道で狼の首を捻り、炎の拳で地面に叩きつける。衝撃波で周囲の魔獣が吹き飛び、地面が焦げる。シルフが竜巻で闇の霧を払い、ウンディーネが水の奔流で戦士たちを押し流す。ルカは風のバリアで巨人族を守り、剣で魔獣の脚を斬る。
ダダルが土の魔力を帯びた槍で魔獣を突く。
「タイタンの力、くらえ! 魔族の雑魚、ダダル様が粉砕だ!」
だが、ベヒモスの加護を受けた戦士が闇の刃を放ち、ダダルを包囲。彼女の槍技は鋭いが、闇の再生力に押され、膝をつく。巨人族の戦士たちも魔獣の猛攻に苦戦し、集落の石柱が倒れる。
アリスがダダルを援護し、炎のキックで戦士を吹き飛ばす。
「ダダル殿、マダムの拳が貴女を護りますわ! 共に立ち上がりましょう!」
フェニックスが心の中で叫ぶ。
「やれやれ、アリス、ダダルも頑張ってるが、なんか物足りねえな。ドドル、どこ行ったんだ?」
その時、ドドルが集落の祭壇から走り出てきた。彼女の目は恐怖と決意に揺れ、土の魔力が体から溢れる。ダダルが叫ぶ。
「ドドル! お前、来るな! タイタンは私が――」
ドドルが震える声で叫んだ。
「姉貴、私、怖いけど……タイタニアを守りたい! タイタンの力、私が引き継いでる!」
ドドルは祭壇の土に手を置き、土の精霊タイタンの力を全開にした。大地が轟き、平原が隆起。巨大な岩の嵐が魔獣と戦士を飲み込み、闇の霧を吹き飛ばす。土の柱が空を突き、魔族の尖兵は一瞬で壊滅。巨人族が「ドドル! ドドル!」と歓声を上げる。
アリスはドドルの勇気に目を輝かせた。
「ふふ、ドドル殿、貴女の力、マダムとして敬服ですわ! タイタンの輝き、素晴らしい! おーっほっほ!」
ルカが扇子を振って微笑む。
「ドドル殿、貴女の覚醒、私の心を焦がした! タイタンの力、魔族を討つ鍵です!」
ヴィネが静かに頷く。
「ドドル、タイタンの真の契約者だ。貴女の勇気、カナンも認めよう」
ダダルがドドルを抱きしめ、笑う。
「ドドル、お前、最高だ! 私がタイタン気取ってたけど、お前が本物だぜ!」
ドドルは照れながら呟く。
「姉貴、アリス様、みんな……ありがとう。私、怖いけど、魔族と戦うよ」
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夜明け、タイタニアの集落は再び平穏を取り戻した。ドドルはアリス、ルカ、ヴィネと共に、魔族の領地へ向かうことを決意した。アリスはドドルに微笑む。
「ドドル殿、貴女の勇気、マダムのティーパーティーに匹敵しますわ! 魔族のモルド、わたくしたちの拳でティーテーブルにお招きします! おーっほっほ!」
フェニックスが心の中で笑う。
「やれやれ、アリス、ティーパーティーから巨人族、魔族まで、忙しいぜ。モルドのやつ、どんなティーカップ持ってくるかな?」
ルカが扇子を振って言う。
「アリス様、ドドル殿、私の剣が魔族の闇を切り裂く! 四精霊の力、歴史に刻みましょう!」
ヴィネが槍を握り、宣言する。
「モルドとベヒモス、カナンの誇りで討つ。アリス、ドドル、共に進もう」
だが、斥候が新たな情報を届けた。エデン貴族が魔族の動きに不穏な関与を示し、さらなる脅威が潜んでいる。アリスのマダムライフは、ティーテーブルを超えた新たな戦場を予感させていた。
(第9章へ続く)