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1話 働かせてください

俺は兵藤魁斗24歳、フリーター。3年前までは新卒で会社に入って働いていたが給料も安く、ひどい先輩もいたりでやる気を無くして4か月前に辞めてしまった。

そこからは貯めていた少ない給料でその日その日を生きていたがとうとう金にも限界が来た。


『そろそろ仕事を探さなきゃなぁ〜でも前みたいにひどい先輩とか嫌だぁ!』


そう呟きながら求人サイトを見ていた。だが前みたいにひどい先輩と一緒になってまたすぐ辞めるのは嫌だし給料も安い所は嫌だしと色々な求人情報を見ていく。


『正社員じゃなくてバイトなら理由付けて簡単に辞められるしそれで良いじゃないか!』


そう思いついた俺はもう止まらない。給料の良い求人を探しまくっていた。そんな時ふと目に止まった求人があった。


『日給1万5000円……なかなか良いじゃないか。警備員の仕事かでも夜勤ねぇ……』


俺が見つけた求人は警備員で夜勤。正直めんどくさそうだったが給料が良い。早速その求人に応募をしていた。


正直に言うと俺は多趣味だ。だから今すぐにでも金が欲しかった。プラモデルやゲーム、読書、様々だ。


そこからは早かった。求人募集していた場所は立派なマンションの警備員でそこであらかたの説明を受け、次の日から警備員としての研修をしてそれも終え


『今日から俺もここの警備員だ!』


そんな事を言ったが特に反応は無く俺はマンションの巡回を始めた。特に異常は無しで担当していた巡回場所は終わり警備員室に戻った。

そこには日村登志雄さんという先輩の警備員が先に巡回を終えて戻ってきていた。


『どうだい兵藤くん、夜の巡回はなかなか怖かったかい?』


俺は日村さんのいる方を向いて


『多少は怖かったですけど自分は幽霊とかそういうの気にしませんからww』


俺からすれば幽霊なんかより生身の人の方が断然怖かった。前の職場でそれは嫌と言うほどわかっていたからだ。

そんな他愛ない話をしていると上の方からコツ…コツ…ガリ…ガリ…と何か物音がした。俺は隣にいた日村さんに


『こんな時間に誰かいるんですかね?』


そう言うと隣にいた日村さんは座っていた椅子から立ち上がり


『ちょっと確認してくるよ、君はここにいてくれ』


そう言い残し警備員室を出て音のする方へ向かった。俺は日村さんの事は気になりつつやる事も無いのでスマホでゲームをやろうかとスマホに手を伸ばそうとしたその時


『そいつを止めてくれぇ!!!!!』


日村さんのでかい声を聞き俺はすぐ警備員室を飛び出した。そこには全身を黒い服とズボンで身を包んだ人がこちらに走ってくるのが見えた。


体格からして男だろうどうやらこのマンシャンに盗みに入った空き巣のようだ。俺は咄嗟に飛び出し


『そこのお前!止まれ!』


そう言って男に飛び掛かろうとしたその時



グシャ!



そんな音が俺の体を通して聞こえてきた。


『は?え?』


俺はマヌケな声を出していた。どうやら刺されたらしい。理解するのにそう時間はかからなかった。倒れる俺を横目に男は走り去っていく。


『し…り…しろ!お…だいじ…ぶか!おい!しっ…』


(なんか日村さんが叫んでる。でもだんだん眠くなってきた。声も出ねぇ)


そんな事を考えながら俺は眠りについた



かに思えたがここはどこだ?草原?どうやら俺はあの空き巣に刺されて別の所に来てしまったようだ。


『俺はあいつに刺されて死んだよな?てことはここは天国か!いやいやwwそんな事ある訳ないこんなに意識がはっきりしてて死んでないとかないだろ』


そんな事を言っていたら


キュララ〜


『うわっ!なんだあれ?!鳥か?!』


見たこともない鳥が空を飛んでいる。あんなの日本にはまずいなかった。


『あれ?もしかしてこれ…異世界転生ってやつ?!』


俺は信じられないながらも前に読んだマンガの中で主人公が異世界転生する話を思い出した。


『マジでかぁぁぁ!俺のバイト代はどうなるんだぁ!』


なんてこんな状況でも金の事を考えてしまった。俺はその場に座り込んで色々考えた。


『異世界に来ちゃったらもうあっちにも戻れないんだよな…てか普通マンガやアニメだと死んだら神様とかが「そなたは死んでしまったこのチートのスキルや装備をやろう」とかなるんじゃねぇぇのかよぉ!』


俺はそんな都合の良いこと考えていたがなかったみたい。


『まぁうだうだ考えても仕方なねぇ、異世界と言っても人はいるだろ。まずは人のいる村や街を探そう』


俺はその足で近くに村か街がないか探すことにした。草原を出るとどうやら道らしい物が見えてきた。その道をしばらく太陽がある方に歩いていると


『おーいここは危ないぞー』


声のする方を見ると若い男が声を掛けてきた。


『この辺は魔物が出るから危ないですよ。これから街に行くので?』


話を聞くとどうやらこの男は商人らしい。魔物が出るのかよなんてとこだ!俺は少々警戒しつつその男の荷車に乗せてもらった。


『俺はクローツって言います商人です。旦那はどこから来たんで?』


どうやら男の名前はクローツというらしい。どこから来たと言われても日本という訳にはいかないしここは


『俺はずっと東にあるニホン村ってところから旅をしてきたんだ』


誤魔化したにしてはなかなかではないだろうか


『ニホン村…聞かない名前ですねぇ』


そりゃそうだ今さっき思いついたんだから


『それより気になっていたんだが背後にいる連中は誰なんだ?』


そう。その荷車にはクローツと俺の他に3人の人が乗っていた。


『あ〜彼らは冒険者ですよ。商人なんで盗賊や魔物に出くわすと大変なんで護衛の依頼をしたんです』


なるほどこの世界には冒険者がいるのか。これは少し話を聴いてみたい。


『すまない、あんたら冒険者なんだろ?俺は魁斗と言う。少し興味があって話を聴いてみたいんだが良いか?』


そう尋ねると冒険者の1人の男が


『あぁ構わないぜ!俺はジェスパ』

なかなかのイケメンで羨ましい限りだ。


『私はシーラよよろしく』

こちらの女性は結構なお胸をしてらっしゃる。革製の鎧を着ているがそれでも分かるくらいだ。


『わしはオーランドよろしく頼むぞい』

最後にこっちのおっさんはムキムキでまさにゴリマッチョという言葉が似合う


彼ら3人は心よく話を聞かせてくれた。


『俺は片手剣と小盾で前衛、シーラは弓と短剣で中距離と援護、オーランドは両手剣で最前衛をしている』


どうやらバランスの取れたパーティーのようだ。聞くところによるとこの世界は魔力という物があるらしい。なかなか良いじゃないか!そう思っていたがどうやら魔法で火を出したり風を操ったりなベタな物は話を聞く限り無いようだ。


魔力は誰しも持っている物でその魔力を身体強化や武器に纏わせて攻撃力を上げたりするのだそうだ。


『お前さん、魔力の使い方を知らないのか?今まではどうしてたんだ?』


オーランドがそう尋ねてくる


『俺のいたニホン村は本格的に魔力を使わなくても大体なんとかなってたからな』


『結構田舎の方に住んでいたの?』


シーラがそう言うと


『おい、失礼だろ。うちの仲間がすまない!』


ジェスパがシーラの言葉を謝罪してきた。


色々な話をしながら荷車に揺られていると街が近づいて来たようだ。


『皆さん、そろそろ街に着きますよ〜』


クローツがそう言いながら門を通り過ぎていく。しばらく進むと荷車が止まった。どうやら先程の冒険者達はここで降りて冒険者ギルドに報告に行くようだ。正直、俺もここで降りて冒険者になろうか迷ったが今はまだ早い。他にも働ける所はあるだろう。


『じゃあ俺たちはここでお別れだ。ギルドに来ることがあったらまた会えるかもな』


『私達はしばらくはこの街に居ますから』


『おう、色々話を聞かせてくれてありがとう!また会えたらその時は話を聞かせてくれ!』


それこらクローツはまた荷車を走らせ荷物の卸し先の店に着いた。


『荷車に乗せてくれて助かったよ、ありがとう』


『いえいえなんの!これも何かの縁です!これからどうするんで?』


『うーん、とりあえずこの街で宿屋と働ける所を探すよ』


『ならここからまっすぐ行って左手に宿屋がありますので』


『ありがとうクローツ、それじゃ俺はこれで』


クローツに宿屋を教えてもらった俺は早速向かう事にした。しかし宿屋を教えてもらったがここで問題がある。………金が無い


『これからどうしたもんか。金が無いんじゃ宿屋にも泊まれない』


俺はまず宿屋より先に働ける場所を探すことにした。ここにはスマホもパソコンも無い、自分の足で仕事を探すしかないのだ。


『まずは俺が今、何を仕事にしたいかだな……やはり冒険者しかないのか?いやいや、いきなり冒険者になって即死亡なんて冗談じゃない前世の二の舞だ』


そうは言っても思いつく仕事が無い。この俺の多趣味な部分を何か活かせないか?そう考えていると


『鍛冶屋なんてどうだろうか?あそこならある程度俺のこの手先の器用さも活かせるのではなかろうか』


こうして俺は金を稼ぐために鍛冶屋を探して回った。そしてやっと見つけた鍛冶屋で


『お願いします!俺を雇ってください!』


そこには50代くらいのおっさんが肩に金槌を乗せ立っていた。


『おめぇには無理だ、帰りな!』


『そこをなんとかお願いします!手先の器用さには自身があるんです』


深々と90度のお辞儀をして頼み込む。


『お前、剣を打った事があるのか?それに金属を溶かしたりして熱いし大変だぞ。素人には任せられん!それに耐えられるのか?』


俺は前世でも趣味の1つでプラモデルをよく作っていたし、料理もよくしていたので包丁も研いでいた。そんな考えで鍛冶屋に仕事を貰いに来たが考えが甘かった。


『なら3日だけ置いてみてダメだったら雇わないってのはどうだい?』


店の奥から声がする。声のする方に目をやるとなんとノースリーブの褐色肌で筋肉質の女性が立っていた。正直俺の好みだ。健康的で膨らんだ胸!そして肩から腕にかけて程よく着いた筋肉!俺は目を奪われた。


『アリアス、そうは言うがな…』


『良いだろ、3日くらいの面倒は』


アリアスさんと鍛冶屋のおっさんは少し言い合いをしている。俺はそんなアリアスさんに見惚れていると


『分かった…なら3日だ!それで判断してやる!俺はこの店の店主でガインだ。こっちは娘のアリアスだ』


こうして俺はこの鍛冶屋でとりあえず3日働ける事になった。追い出されない様にして金稼いでやる!


『はい!ありがとうございます!俺はカイトと言います!よろしくお願いします』




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