生まれ変わっても必ず見つける。
僕は夢で前世を思い出した。
僕の前世は身分制度の厳しい時代に生きたアメリカ人の男性奴隷であった。
ある貴族の屋敷で荷物運びや雑用係として雇われていた。
そして夢にはある女性が現れる。
屋敷の主人の一人娘。
僕とは身分の違う貴族である。
彼女はとても美しく聡明であった。
身分で差別をせず、優しさにあふれていた。
僕はそんな彼女に惹かれ、
彼女も僕と同じ想いでいてくれた。
主人の目を盗み
二人で過ごした日々はとても幸せだった。
しかし、彼女は他の貴族の男との結婚が決まった。
彼女は僕に縋りついて泣き叫んだ
「見知らぬ男の妻となって
’’貴方と結ばれないのであれば死を選びます。」
自分の人生に絶望していた。
そんな彼女を救いたくて、ある決心をした。
「二人で屋敷を逃げ出そう、
そして共に外の世界で生きよう。」
しかし、努力は虚しく…僕たちはあと一歩のところで捕まった。
そして僕は彼女の目の前で主人に
銃で撃ち殺された。
死の直前に見えた、彼女の悲痛な顔が忘れられない。
今でも鮮明に思い出してしまう…
僕は今、日本人として生きている。
彼女も生まれ変わったのだろうか。
彼女が今、誰であれ、どこに住んでいても、誰と結ばれていても…
幸せならそれでいい。
今日もまた彼女を想いながら生きていく。
ー
街を歩いていると、誰かが僕の前世の名を呼んだ。
名前のなかった奴隷の僕に、、、彼女がくれた名前。
振り返ると、あの時と変わらない美しい女性がいた。
彼女は、目を見張り涙を浮かべる。
そして僕の瞳を見据えて言った。
「たとえ、姿が変わっていても
私はあなたを忘れない
世界のどこにいても必ず見つける」
僕は前世とは違う人種、姿も違う、声も違う。
それでも彼女は僕を見つけた。
彼女の強い愛が僕たちをまた引き合わせた。
もう二度と離さないと強く抱きしめた。
誰にも邪魔させない、今度こそ君を最後まで守るよ。