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瞳に終焉をうつして(2)

 そのころ、知らせをうけた憲兵と魔導士の一団が広場を駆けていた。

 彼らの見ている前で、礼拝堂の屋根から光が噴きあがる。誰もが恐怖に口をつぐみ、しかし確かな使命を抱いてその場所を目指した。

 一方コレットは、行政庁のバルコニーから北方をのぞみ、やるせない思いで首を振っていた。

 ランドレンは力を手に入れた。滅びの光は、朝日より早くこの都を照らすだろう……



 アニスは手に触れる壁だけを頼りに走った。光と風に身をゆるがせ、飛びかう切片から顔をかばいながら。

 剣をたずさえたゼルガーが後を追う。腕にしがみついた竜が頭の向きを細かに変え、光にかすむ先導者の道を伝える。

 鞍に上がったジャンシールは、疾風号の首を撫でて心を落ちつけた。

 竜とともに後方へ戻り、対面の壁ぎわに渡る。振動が伝わるたび足の傷が爆発するように脈打って、苦痛に顔を歪めた。

 しかし今だけは耐えなくてはいけない。二人を送り出したが、このまま後ろに徹する気はなかった。

 そうとも、ここで戦わなくてどうする。ブルネリアンにも戦士の心があるんだ!

 ナイフを握って前を見据えたその時、何かの影が目の端にちらついた。

「あれは……!?」

 一瞬で光に埋もれてしまったが、確かに人の姿だった。彼は胸騒ぎとともに急いで手綱を引いた。


 白い光は増すばかりだったが、巨大な女神像の翼が影を作り、少しのあいだアニスの目を助けた。

 ランドレンは幾重もの光のベールに取り巻かれていた。ぼやけた影を必死に見透かすと、両手を広げ空を見上げているらしい。すでに自我が遠くなっているのか身動きひとつせず……

 隙ができている!

 彼女は台座を伝って素早く忍び寄り、火かき棒を構えて一気に伸び上がった。


 その瞬間、繭の中のランドレンの目が異常な速度で彼女をとらえた。空中に暴れ回っていた光が揺れ、彼に呼応した。

「アニス!!」

 ジャンシールは竜を走らせ絶叫する。

 アニスの横からゼルガーが手を伸ばすが、間に合わない。切っ先を尖らせた白い腕が雷のごとく降り、突き刺さる……!



 しかし。

 音もなく現れたもうひとつの手が、彼女を押し逃した。

 代わっておどり出た小さな身体に、滅びの光が深々と喰らいついた。

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