街路樹の木の実
街路樹の木の実はなんて儚いのだろう
落ちる先は硬い硬いコンクリート
びちゃっと潰れて、血を流す
未来には何も残せない
何のために生まれたのか
許された時間は落ちるまでの数秒
死ぬ寸前で母を見るだろう
恨むか、それでも感謝か
わからない
兄弟の死体があたり一面を埋め尽くす
兄さんたち、もうすぐ僕もいくから
自分も同じように一つの模様になる
母から生まれ落ちたその刹那
僕の命は奪われる
凶器は重力、犯人は地球、いや…
母をバックに見上げた空は、星一つない暗闇だった