キスが出来ない呪い
長文タイトルでどのくらいの人に読んで貰えるかを検証する為に書いてみました。
総合ポイント次第で2話以降を書くので続きが読みたい方は是非ブックマークなり評価なりお願いします。
「異世界転生おめでとう!」
目の前に居る美しい女性が目が覚めたばかりで唖然としている俺に向かって、大声で祝福する。
隣に居る幼馴染の姫宮桜は美女の大声で目が覚めたらしく耳を抑えてゆっくりと起き上がる。
真っ白な空間。回りには何もない。
「なんなの……ここ」
姫宮桜、通称姫は辺りを見渡しながら呟く。
「ハイハイ。ここは世界と世界の狭間ですよ! あなた方には転生してもらって、世界を救って欲しいんです!!」
「なにそれ……」
姫は不安そうな表情で自然と俺の手を握る。
「異世界転生って本当にあったんだな……」
「はい! 宝生蓮さんには賢者としての能力を。姫宮桜さんには剣聖としての能力を授けます。この能力で世界を救ってください!」
「え? 普通男の俺が剣使うんじゃないのか? 俺だって剣は素人だけど、姫に剣が扱えるなんて思えねえって」
「ふふふ。私は女神ですよ。当然、世界を救う事が可能なくらい強い能力をあげれちゃうんですよ」
「強い能力?」
「まあまあ。とりあえず転生してから手探りで頑張ってみてください。最悪死んでしまっても別の転生者を用意しますから! それじゃあ行ってらっしゃいませ!!」
「は?」
今さらっと俺達が死んでも構わないって宣言しなかったかこいつ。
女神と名乗る女性にもう少しだけ話を聞きたかったが、突然の眠気に抗えず視界がブラックアウトする。
抵抗も出来ない俺には、最後まで姫の手の感触だけが残っていた。
目が覚めるとそこは何もない草原だった。
自身の着ている服は厚手の黒いローブ。しかし不思議と来ていて涼しい。
どうやらこのローブ自体になにか特別な力が宿っているのだろう。
ふと隣を見ると、今まで見たこともない美女が倒れていた。
「やべえ……めっちゃタイプだわ……」
「ん」
「ふぁっ」
突然の美女の目覚めに変な声が出る。
その美女は起きたと同時に俺の方をじっと見つめてから口を開く。
「ここはどこ?」
聞き覚えがある声に俺は安心しながら念のために聞く。
「もしかして姫か?」
「その声って、まさか蓮? ……ところでこれなんなの?」
「……多分だけど異世界転生ってやつだな。運がいいのか悪いのか分からねえけど、これからここで過ごさないといけねえっぽいな」
「異世界転生……?」
「ほら、前に漫画貸したろ。あれみたいなもんだよ」
「じゃあ死んじゃったって事?」
「……まあ多分な」
女神に起こされる前までの記憶が曖昧だ。何があったのかを全く思い出せない。
「パパとママにはもう会えないの……?」
その言葉に俺は何も言えなくなってしまう。
俺の無言を二度と会えないと捉えた姫は泣きだしてしまった。
「いや、大丈夫だ!!大体こういうのは魔王を倒したり、世界に存在する伝説のアイテムだったりで元の世界に戻れるさ!!」
そんな証拠はどこにもない。しかし俺は幼馴染の姫を悲しませる訳にはいかないと明るく振る舞った。
「蓮が……そう言うなら……信じる……」
──俺が何とかしねえと。絶対に姫を危険な目にはあわせられねえ。
そうだ。ステータスとかは見れるのだろうか。現実のラノベ知識が役に立つかは分からないが試せることは全て試しておかないとな。
まず、念じてみるが自身のステータスを見ることはできない。しかし、たまたま視界に入っていた着ているローブの情報が脳裏に浮かぶ。
どうやらそこそこ多機能で温度調節や魔法耐性などの能力が備わっているらしい。
次に音声認識でステータスが見れる可能性を信じてラノベでよく聞くフレーズを詠唱する。
「ステータス。ステータス画面。ステータス表示。ステータスオープン」
ステータスオープンの言葉に反応して、所有している能力が表示される。
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仮所有能力
《賢者の所有能力code宝生蓮》
《敵意を判別するスキル》
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「よし、開いた!」
「どうしたの?」
姫は頭がおかしい人を見るように心配そうな表情で俺を見つめる。
「ステータスオープンって言ってみてくれ。自分の持ってる能力がわかる」
「わかった……。ステータスオープン」
「こっちはこっちで確認しねえとな」
どうやらステータスと言ってもHPやMP等のゲームで良く目にするパラメーターは確認出来ず、あくまでも所有している能力と使える魔法くらいしか見れないようだ。
《敵意を判別するスキル》に関しては読む必要もないくらいシンプルに便利な能力だ。
問題は《賢者の所有能力code宝生蓮》とかいう俺の名前が刻まれた謎の能力。
ステータスを開いてからは自分の意思で能力を確認出来るようで、しっかりと謎の能力の効果を読む。
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《賢者の所有能力code宝生蓮》
この能力は所有者と共に成長する
賢者の習得魔法を使用可能
魔法の才能開花
魔道具をこの能力に収納可能
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思ったよりはシンプルな内容だ。結局使用出来る魔法次第って感じだな。
「姫はどうだ? ステータス見れたか?」
「えっとね……剣聖の所有能力って言うのとね……」
少女は言うのを躊躇いながら 、言葉を続ける。
「キスをすると自分が死んじゃう呪いがかかってるみたい……」
「え……?」
「キス……まだ一度もした事ないのにね……もう……キスも出来ないから言うけど……私、蓮君の事ずっと前から好きだったよ……」
姫は悲しそうな表情で涙を浮かべながら俺に向かって笑いかける。
「……俺もお前が好きだ。だから絶対に呪いを解こう。何か方法があるはずだから」
俺は姫をそっと抱き締めながら頭を撫でて安心させるように言った。
これは、異世界転生した事によってカップルとなった俺達が、世界を救う為、そして呪いを解く為に大きな困難に立ち向かうストーリーである。
数ある作品からこの作品を選んでいただきありがとうございます。
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