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99.黒い襲撃

ドノバンが去ってから、俺は手分けしてリスケッタの花を探すため、ミズクとともに森の奥、北東の方へと来ていた。


「全然見つからないな」


「(そもそも情報が少なすぎるのぅ)」


もう探し始めて、3日目。今日で見つからなければ、一度ダンジョンへ戻る予定だ。ティナ達かゴブタロウ達が見つけてればいいんだが……。


「ちょっと一休みするか」


少し開けた場所で、俺は倒れた木に腰掛け、ミズクも隣に降り立つ。

あたりは静かでなんの気配もない。野良魔獣もいなそうだ。

……リスケッタの花もなさそうだ。


「(そういえば、主よ。ドノバンにはどんな魔道具を作ってもらうつもりなんじゃ?)」


「そうだなぁ。ティナの強化用の魔道具はもちろんだけど、ゴブタロウ達にもなんかあるといいんだけどな」


「(ゴブリンはあまり魔力に扱いに長けてるとも思えんが……)」


ゴブタロウは魔力を感じ取ることもできなかったからな。


「それはそうなんだけど、魔石があれば、人間が使えてるくらいなんだから、ゴブリンに使えたっていいんじゃないかと思ってな」


ゴブタロウを筆頭に、ゴブリン達は独自に訓練して相当強くなった。レベルが高いだけでなく、野良魔獣と違って、戦術も理解し、それはもうとてもEランクとは思えないほどだ。

……だが、一方で、やはり所詮はEランクなのだ。この間の人間達の襲撃の際には冒険者にいいようにやられてしまったように、この先、強者を相手にしていくにはやはり力不足と言わざるを得ない。


それを魔道具で補えれば、と思ったのだ。

あいつらはこのダンジョンのために頑張っている。まだまだお払い箱になるにはもったいない。

ぜひともまだ戦力になって欲しい。


「(ふ~む。しかし……主は優しいのぅ)」


「……ダンジョンできて初期に加わった仲間だからな」


甘いと言われたら、否定もしにくいが。

魔道具で強化するなら、同じくある程度数がいる、シルフやロックリザードを対象にした方が効率はいいかもしれないし。


「ま、ドノバンも協力的な感じだったし、順次作ってもらうさ……ん?」


そこで、俺は野良魔獣の群れと思しき魔力を感じ取る。

珍しいな。この感じ、Cランクくらいあるんじゃないか?


ダンジョンコアの魔力にはかなり余裕が出てきたから、無理に野良魔獣をスカウトする必要性の小さくなってはきたが、仲間になってくれるものなら、それに越したことはない。


「よし、ちょいと行ってみるか」


「(ん?主よ、どうかしたか?)」


「この先にCランク程度の野良魔獣の群れがいるようだ。ちょっとスカウトに行こう」


「(……気軽に言ってくれるのぅ)」


なんだ、ミズクはびびってるのか?

まぁ、Dランクのミズクからしたら、Cランクの野良魔獣の群れなんて恐怖以外のなにものでもないか。


俺達は魔力がある方へと歩いて向かう。


「……向こうも気づいたな」


群れは動くのをやめ、こちらに向かって、体制を整えているようだ。


しばらくすると、野良魔獣の群れが見えてきた。


「(ダークウルフ、じゃな)」


真っ黒の毛並みに赤い瞳。ウルフ系統の中では特に好戦的で知られる魔族だ。

それが10頭ほどいる。


う~ん、ぜひとも仲間に加えたいが、気性の荒いダークウルフを説得するのはちょっと難しそうだな……。


「ちょっと話があるんだ。別におまえらと戦おうってんじゃない」


先頭にいる特に体の大きいやつがリーダーなのだろう。

そいつがこっちをじっと見ている。

いつでも襲いかかれる体勢って感じで、まったくもって友好的な素振りが見えないが、一旦話は聞いてくれる感じか?


あ~なんか懐かしいな。ゴブタロウ達と会ったスノーウルフもこんな感じだったなぁ。レオンって言ったか。でも、あいつの方がまだ親しみを感じられたな。

おっと、そんな懐かしんでる場合じゃないな。


「俺はカイン。この森のダンジョンマスターを……」


ワオォォーーーン!


「「!?」」」


リーダーらしきダークウルフが吠えたかと思ったら、一斉にやつらが走り出してきた!


「ミズク、上空へ!」


「(主よ、応援呼ぶか!?)」


「いい。ひとまず、離れて見てろ!」


正直、このダークウルフをミズクが相手にするのは無謀でしかない。

まずはミズクを逃がす。


ダークウルフ達はその数を活かし、前後左右に分かれて俺に噛みつこうと襲いかかってくる。


「《ファイアウォール》」


俺は全方位に炎の壁を放つ。

《ファイアウォール》は当てるというよりは壁を作る魔法だ。引けば避けるのは容易な魔法。これで、やつらは一旦ひくかと思ったが……


「なにっ!?」


ダークウルフ達は自身の体を焦がしながら、俺に向かって突進してきた。


「このっ!」


俺は襲いかかってくるダークウルフを素手で殴り飛ばす!


「キャインッ」


殴れば、吹き飛ぶ。当たり前だ。デーモンの膂力を嘗めてもらっちゃ困る。

だが、1頭を吹き飛ばしても、次から次へとやってくる。


「ったく、別にやられやしないが、面倒だ」


「(おぉ!)」


俺は()()()()()()()()()

ダークウルフ達はここまで届かず、見ているしかない。


「《トルネード》」


足元のダークウルフ達が集まっているところへ竜巻が発生する。

竜巻は次第に大きくなり、その風の刃でダークウルフ達を切り刻む。


さすがにダークウルフ達は散り散りになって逃げ始める。


「逃さん。《フレイムピ……」


「ガウッ!」


油断した。俺が宙で眼下のダークウルフに集中しているところで、このリーダー格のダークウルフは木に登って、ジャンプしてきやがった。

そのダークウルフは俺の右腕に噛み付く。


「くっ!《ファイアボール》」


反対の手から魔法を放つが、魔法が当たる前に離れていってしまう。


「(主、大丈夫か?)」


「……問題ない」


……久々にまともに攻撃を受けたな。Cランクのくせにやるじゃないか。


「ちょっとお仕置きが必要なようだな……」


俺は魔力を練り上げる。


だが、そこで、


「ウオォーーーーン」


再び、リーダー格のダークウルフが吠える。

すると、10頭ほどいたダークウルフ達は一斉に森の奥へと走り去ってしまう。


……いつのまにかリーダー格のダークウルフもいなくなっている。


「逃したか……」


お互い全力を出していないにも関わらず、なんとも鮮やかな引き方で、ランク以上に()()()やつだと感じた。


ヘッジ「カインのアニキって飛べたんすね……」

ティナ「まぁデーモンだしね」

ヘッジ「でも、そこそこ大きな翼っすけど、普段あの翼はどこにあるんすかね?」

ティナ「なんか、普段は背中と同一化してて、魔力込めると生えてくるらしいわよ」

ヘッジ「生えてくるって……」


◇◇◇◇◇◇


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