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93.【ダットン】潜入捜査

「久しぶりのシャバだぁ!!」


「空気がうまい気がする!!」


「旅行気分ね!」


 俺達は久しぶりに4人でダンジョンの外の草原を歩いている。ここんとこずっと、洞窟か森の中だったから、なかなかに気持ちがいい。いや、案外、ダンジョンの中も悪くないんだけどな。それでも久しぶりに外に出たって気がする。


「で、目の前に見えるのが、ヴェールの町か」


「話には聞いてたが、たしかにこの防壁が一瞬でできたってのなら、とんでもねーな」


 そして、俺らはヴェールの町に向かって歩く。まだ深緑の森を出たばかりだが、町の城壁はここからでも見える。

 ……あんな防壁があるところ、もはや「町」って言うのか?


「おまえら、浮かれるのもそんくらいにしろよ。特にダットン、余計なことしゃべると()()()ぞ」


「うっせーな、ルイーズ。分かってるよ」


 俺らはカインの旦那の指示で、ヴェールの町に行く。別に逃げ出してきたわけじゃねぇ。目的はドワーフのドノバンの捜索だ。旦那達がヴェールの町に入るわけにはいかないからな。その点、俺達はドノバンの顔も知ってるし、うってつけってわけだ。


 そのまま俺達はなんの問題もなく、ヴェールの町へと入る。


「はぁ~中もすげぇな。とてもできて数ヶ月の町とは思えねぇ」


 てっきり、防壁だけは立派で内側はその辺の田舎町程度かと思っていたんだが、全く違った。


「こりゃ、『街』って言わないと詐欺だな」


 防壁の中は多くの人で賑わっていた。

 確かにまだ空き地もちらほらと見えるが、普通に家・店が立ち並んでいる。この辺りは深緑の森方面の門に近いからか冒険者向けと思われる店が立ち並んでいる。

 冒険者ばかりかというとそうでもなく、農家っぽい奴や貴族っぽい奴(が乗っているであろう馬車)も見える。ふつーの()だ。


「セレンの町なんか比べ物にならねーな」


「こんなけ発展してんのも、ダンジョンがあるからってことなのか?」


「なのかねぇ?私じゃ、どうやったらこんな急にこんな街ができんのか皆目想像つかないね」


 俺以外の3人も感心している。

 セレンの町に長くいた、俺達からすると、こんな栄えた風景自体が物珍しい。


「おう、おまえら、さっさと行くぞ。ノロノロして知り合いにでも会ったら面倒……」


「あれ?ダットンじゃないか?」


「「「「!?」」」」


 声がした方を見ると、見覚えのあるパーティがいた。

 セレンの町で活動してた数少ない冒険者だ。確か名前は……


「オスカーか」


「おぅ!おまえら生きてたんだな。ここんとこ全く見なかったんで、おっ死んだかと思ってたぜ」


「……」


 どうする?余計なこと言って怪しまれるわけにはいかねぇ。

「魔族に捕まって、一緒に暮らしてた」なんてバレた日にゃ、人間からもカインの旦那達からもひでー目に合わされるに違いない……。


 俺が悩んで黙ってるとルイーズが喋りだした。


「領都の方に行ったんだが、あの森がダンジョンになったってゆーから帰ってきたんだよ」


 ナイスだ!

 それでいこう!


「おぉ?だったら、ギルドに連絡ぐらい入れてけよな?長期に不在にするなら、当たり前だろ」


 おい、ダメじゃねーか!どうすんだ、ルイーズ!


「はっ、そんなこと知るかよ。どこに行こうが俺らの勝手だろ」


 ルイーズの言葉に少し困ったように、ふっと笑うオスカー。


「……お前ららしいな」


 そうか?俺ららしいか?


「まぁここを拠点として活動すんなら、また今度飲みに行こうぜ」


 そう言い残して、オスカー達はそのまま門の方へと去っていく。


「……あぶねー」


「いや、ダットン、黙るなよ」


「そうよ。私もヤバっとは思ったけど、あそこで黙ったら余計怪しいわよ!」


「わりぃわりぃ。でもルイーズの言い訳も苦しくねーか?」


「いや、苦しくねぇよ。そもそも俺らが深緑のダンジョンに行くとき、ギルドに連絡もせずにそのまま王都に行くつもりだったろうが」


 ……そうだったか?


「まぁ乗り切れたんだからいいだろ?これ以上余計なのに会う前にさっさとドノバン探しに行くぞ」


 ルイーズ達はちょっと釈然としない様子だが、無視して歩き出す。

 さて、魔導具屋は、っと。


「あったぞ。魔道具屋だ」


 まぁここまで町がでかいと、ドノバンのとこ以外にも魔道具屋はいくつかあるかもしれねーが。

 俺達は見かけた魔道具屋へと入っていく。


 店はなかなかに広い。

 少なくとも、5人も客がいれば狭く感じたセレンの町のドノバンの店より数倍広い。

 だが、真っ昼間で冒険者が外で活動している時間帯だからか、客は誰もいなかった。


 ついでに店員の姿も見えねぇ。


「お~い、誰かいないのか?」


「あぁん?客か?」


 不機嫌そうな顔をしたオッサンが店の奥から出てくる。


 低い身長に、もじゃもじゃのひげ、憮然とした表情。


 間違いない、ドノバンだ。


「あんた、セレンの町にいたドノバンか?」


「あぁここに来る前は確かにセレンの町にいたな。……あ~おまえらセレンの出身か?見覚えあんな」


 まぁその程度だろうな。小さな町だったが、俺らレベルの冒険者じゃ魔道具を買う機会なんて大してなかったからな。

 ……しかし、まったくもって人間にしか見えんがな。本当にドワーフなのか?


 俺は少し疑問に感じつつも、余計な邪魔が入る前にさっそく本題に入る。


「あんたにちょっと来て欲しいところがあるんだが……」


「あぁん?客じゃねーのか?だったら帰れ」


「お、おい……」


 俺達が客じゃないと見ると、すぐさま踵を返して店の奥へと引っ込もうとする。

 いや、少しは話を聞けよ。


「ダットン、あれ、出せ」


「おう、そうだな」


 本当は切り札のつもりだったんだがな。

 俺はカインの旦那に預かったものを取り出す。


「一緒に来てくれたら、こいつをやるぞ……っておぉ!!」


 いつの間にか目の前にいて、俺が手に持つものをガン見するドノバン。


「おぉ!これはまさか!!おい!こいつをどこで手に入れた!?」


 効果てきめんだな。

 コイツはカインの旦那が新たに作ったエルダートレントの枝だ。

 エルフのアルノルトの勧めで持ってきたものだ。


「……こいつを手に入れたところに来て欲しいんだが」


「よし連れてけ!ほら!早く道案内せんか!!」


 ものすごい勢いで俺達を店の外へと連れ出すドノバン。

 店にはばっちり「休業」の看板を出してやがる。


「す、すごい勢いね……」


「アルノルトの言うことはマジだったんだな……」


「……ちょろいな」


 みな、ドノバンの極端な様子に呆れかえる。


 だがまぁ、なんとかカインの旦那の頼みに応えられそうでよかった。


ヘッジ「ドワーフ、あっさりゲットっすね」

ティナ「ちょろいわ〜この調子でアタシの魔道具もさくっと作ってもらうわ!」

ヘッジ「でも、ちょっと変わった魔族っぽいっすからねぇ。あっさりいくっすかね?」


◇◇◇◇◇◇


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