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90.その後のダンジョン

 イルミア達に襲われてから、はや2ヶ月が経つ。


 イルミアにやられてひどい状態だったティナも無事回復して、今はすっかり元気にしている。毎日魔力を与えてやったこともあるが、さすがは獣人の回復力と言わざるを得ない。


 ドォーーーーン!


「見た!?カイン兄!」


 目の前で、俺よりもでかい岩が砕け散っている。

 やったのはもちろんティナだ。


「あぁ。こんな岩を素足で蹴り砕いてノーダメージってのはまぁ間違いないな」


「すごくない!?別に魔力使って身体強化してるわけでもないのにこれよ?」


 試していたのはティナのスキル《無音の探索者》だ。イルミアとの戦闘で、このスキルの効果について、新たな側面に気づくことができた。それは、「ティナの行動起因のものであれば、ティナへの影響もなしにできる」ということだ。当初は周囲への影響のみなしにできるものかと思っていたが、そうではないらしい。


 今のように素足で岩を蹴り砕いてもその反動を受けることがない。

 イルミア戦のように魔法で自分を攻撃して加速に使うようなやり方も、ティナのスキルを使えばノーダメージだ。


「地味なスキルだと思っていたが、やたら汎用性の高いスキルだったんだな」


「ついでにアタシの行動によるもの以外でも影響ゼロにできたらよかったんだけどな~」


 いやそりゃねーだろ。そんなことができたら、どんな攻撃も効かない無敵の魔族になってしまうわ……。


「だが、魔道具を使った加速はまだまだスキがある。それはこれからどうにかしなきゃな」


「訓練でどうにかなるところはどうにかするけどね……」


 魔法で自分にもダメージがあることはスキルで解決できた。あとは魔道具のタメの問題や制動をどうするかという話だが、まずは魔道具の扱いに慣れが必要だ。

 ただ、それも限界があるだろうから、どこまで実用的な技になるかは現時点ではなんともいえない。


「(しかし、アニキ。なんで人間を招き入れるようなことしたんすか?)」


 ティナの実験についてきたヘッジが話を変えてくる。


「ん?」


「(だって、協定では『ダンジョンには入らない』ってことになったんすよね?)」


「そうだな」


 厳密にいえば、こっちが立てた看板より奥には入らない、だが。


「(てことは、森の中には入れるってことっすよね?オレっち達はそこに行かなきゃいいだけっすけど、野良魔獣は狩られるっすよ?)」


「あぁ、それな。それはお互いの調整のためって感じだな」


「(調整っすか?)」


「あぁ、人間達だって、魔石を手に入れるために、あんな町まで作ったんだ。防壁作るのにも相当な魔石をつっこんでるだろうし、奴らとしてももうひくわけにはいかないわけさ」


「(???でも、町長が休戦協定結びに来たんすよね?」)


「人間側は一枚岩じゃないってことだろう。あの町長も領主には逆らえない。町長としては休戦協定を結んででも冒険者を助けたかった。だけど、普通に休戦協定を結んで、魔石がとれなくなったんじゃ領主が認めない。だから、場所を限定して、森の浅いところでは魔石を採れるようにしたってことだろう」


「(なるほどっすね。……って、それオレっち達には何もいいことないじゃないっすか!?)」


「いや、そうでもない。俺達としてもその交戦可能な場所は必要だと思う」


 なにせ、人間がダンジョンを攻められないだけでなく、俺らも町を攻められない。そして、この協定の期間は1年間。1年後どうなるかは分からないが、俺達にとって困るのは、1年間で人間側が力をタメて、1年後に一気に襲いかかってくることだ。

 やつらの戦力は冒険者。冒険者を町に留めておくだけ、なんてできないだろうから、町にいる冒険者は森にでてくるだろう。だから、人間側の戦力が過剰に増えないように森の浅いところで、狩ってやればいい。


「(はぁ~色々考えてるっすね……)」


「まぁ1年の間に力を蓄えるのはこっちも同じだ。まずはダンジョンの改変。頼んだぞ、ヘッジ」


「(もちろんっす!モール達と一緒にさらに下層エリアを広げてるっす)」


 ダンジョンに攻めてきた冒険者の一部は送り返してしまっている。下層エリアの情報は人間に渡ってしまったとみていいだろう。

 時間はあるのだ。下層エリアは一新する。


「ねぇ、時間があるっていうのなら、仲間も増やした方がいいんじゃない?」


「あぁそのつもりだ」


 ゴブタロウ達、Eランクのゴブリンでさえ、訓練すればあれだけ戦えるのだ。DランクやCランクの魔族なら、より強くなるのは間違いない。

 これまではあまり時間のない中での魔族創造ばかりだったが、今後は先を見据えて、集団行動できるような魔族などを増やしてやってもいいだろう。


 その第一歩として、シルフ達はルビーのもと、訓練を始めている。魔法主体の部隊として、その活躍には期待している。


 もちろん、頑張っているのは彼らだけじゃない。ウドリーは《同化》を使い、続々とトレントを増やし続けている。といっても森の浅いところで冒険者の襲撃に出てもらっているので、単純に増えているばかりでもないのだが……。

 ミズクには町の偵察にでてもらうだけでなく、最近またもっと遠くの方にまで出かけてもらい、周辺の地図を作り始めている。ゴブタロウはこれまで通りゴブリン軍団の訓練に励んでいるし、スラポン達は新しい役目になった罠の起動の連携を強化している。

 あまり活動していないのはロックリザードくらいだ。どうやらあんまり勤勉な方でもないらしく、普段は洞窟の中でじっとしているらしい。らしい、というのは外には一切出てこないので、ほとんど俺も見かけないのだ。


 ダンジョン自体の強化も当然行っている。まだCランクのままだが、コアが引き出す魔力の7割を強化に費やしている。DランクからCランクに上がるまでにかかった期間を考えると、Bランクに上がるのはまだ先だろうが、この1年の間にはランクアップしておきたいと考えている。


 差し迫った問題のない今こそ、先を見据えて準備をしておくべきだろう。


「そういえば、ちょっと落ち着いたし、また遊びに行かない?なんかまたいい話聞けるかもよ?」


「ん?あぁ、そうだな。紅茶でも飲みに行くか」


ヘッジ「遊びに行くってどこにっすか?」

ティナ「森にいるAランクの魔族のところよ」

ヘッジ「あ〜そういえばいたっすねぇ。オレっちは会ったことないっすけど」

ティナ「なんのこと?って人は64話〜66話を読むのよ!」


◇◇◇◇◇◇


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