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84.【ティナ】再戦!

「まさか、地上にいるとは思わなかったわ」


「アンタ以外はほぼ片付けたわ。今回は逃さないわよ」


 アタシは下層エリアを抜け出して、大きな落とし穴のある入口広場にまでやってきた女冒険者と話をしている。


「探す手間が省けた」


 そう言って女は双剣を構える。


「今度こそ、きっちり勝ってやるんだから!」


 アタシも小剣を構える。前回とは違う。強くなったアタシを見せてやる!

 アタシは女に向かって突撃する。


「《ファイアウォール》」


 女は魔法を使ってくる。だが、こんな薄く広がった炎でアタシにダメージを与えられると思っているなら、浅はかにもほどがある。アタシはそのまま炎の壁を突っ切る。


「えっ!?って!!」


 キンッ!


 剣と剣がぶつかり合う。


「あんな魔法を攻撃に使うと思ったなら、浅はかにもほどがある」


「くっ!?」


 《ファイアウォール》はただの目くらましだったようだ。って、アンタたちにとって魔石は貴重なものでしょうが!もっと大事に使いなさい!!


 初手をとられて、アタシは劣勢のまま攻撃を受け続ける。

 この女、パワーこそないけど、スピードはアタシと同格だ。それだけなら、どうにでもなるんだけど……


「《ファイアボール》」


 要所要所で魔法を使ってくる。しかもポンポンポンポンと!

 以前、カイン兄が言ってたとおり、連発できるように同じ魔道具を複数持ってるのだろう。ヒットアンドアウェイを繰り返し、魔法と斬撃を巧みに組み合わせて、パワーの差を覆してくる。


 認めたくないけど……強い。


「今日は魔石も十分ある。邪魔されないうちにさっさと片付ける」


 女の目つきが変わった!?何かくる!

 さっきまで決して近距離戦に持ち込まないようにしていた女が急に密着してくる。


「《パイルバンカー》」


「!?」


 巨大な杭が突然現れ、アタシは思いっきり吹き飛ばされる。


「私のとっておき。超燃費の悪い魔道具だけど、威力だけは抜群」


 女がゆっくりと歩いて近づいてくる。


「いくら獣人といっても、至近距離からアレを受けて無事なわけはない。四肢がもげなかったのがむしろ驚き」


 女の言うとおりだ。こんなもの受けて死なない方がおかしい。


 ……以前のアタシなら。


 シュッ!


「!?」


 アタシの小剣が女の腕を浅く斬りつける。おしい!首を狙ったのに。


「なんで……しかも今の動きは……」


「いつまでも同じままじゃないのよ!」


 アタシは()()()()、魔道具を使う。


「《アースニードル》」


「なっ!?」


 土の塊がアタシを押し出し、ありえない瞬発力で女に突撃する。


「くっ!」


 これもおしい。かすっただけで、ギリギリ女に防がれてしまった。


「魔法を自分に向かって撃つなんて正気!?」


「アンタたちとは体のデキが違うのよ!」


 突撃そのまま、女を通りすぎたアタシは宙返りをするようにジャンプする。


「《ウインドボール》」


 今度は上から下に足に風の塊をぶつけて、蹴りを加速させる。


「ぐっ!!」


 剣じゃなく、女はギリギリ片腕を出してガードする。でも、当分あの腕はしびれて使えないだろう。


 さっきの《パイルバンカー》も女が近づいて来た時点で自分に《ウインドボール》を使い、衝撃を和らげたのだ。攻撃魔法の魔道具をアタシの動きを補助するように使うことで、擬似的にステータス上昇を図る。カイン兄には『まだ実用的じゃない』なんて言われたけど、十分いけるじゃない。


「……」


「どう?これでアタシの方が強いって分かったでしょ?二度と人間がダンジョンに踏み込んでこないって約束するなら許してやってもいいわよ」


 ふふん、アタシ一人でも十分やれるじゃない。

 やっぱりアタシはAランクの獣人だけあるわね~。


「人間をなめるな」


 ギン!


「ちょっ」


 女が斬りかかってくる。もう勝負は見えてるって分からないの!?


「魔族が何を偉そうに」


 ギン!!


「お前らがイキテていいワケナイだろ」


 ギン!!ギン!!


「!!」


 女は片腕で剣を振るっている。それなのに、前より速い?力強い?


「マゾクハコロス。ミナゴロシ」


 女の目がおかしい。前以上に表情が抜け落ちたような様子だ。


「ちょっとアンタ!血が出てるわよ!」


 剣を握りしめる手が血だらけになっている。それに、アタシ(獣人)だから聞こえるけど、さっきから踏み込むたびに腱か何かが切れたような音がしている。


「くっ!」


 さらに痺れから回復してしまったのか、両腕で剣を振るってくる。


 それに、さっきから常に接近した状態での剣の打ち合いに持ち込まれている。この状態だと魔道具を使うヒマがない。もうちょっと魔道具使う練習ができてれば……。


「シネシネシネシネシネシネシネシネシネ」


 さっきまで勝っていたはずのパワーも今ではアタシの方が下かもしれない。

 徐々にアタシが防ぎきれずに斬られることが増えてきた。ここままじゃ……


 たまらずアタシは距離をとる。


「《パイルバンカー》」


「!?」


 アタシは咄嗟に腕でガードする。でもそれが精一杯で、さっきのように魔法を使うヒマもない。


 ドッ!!!


 当然、魔法の直撃を受ける……。

 壊れた人形が投げ捨てられたかのように、アタシは吹っ飛ぶ。


グシャッ


「……」


 《パイルバンカー》を受ける直前、少し距離をとってたおかげか、アタシはまだ生きている。

 でも、それだけだ。


「シヌマデコロス」


「意味がわかんないわよ……」


 女が近づいてくる。


 もう……戦えない……


「やっぱり、カイン兄の言うとおりだったね……」


 魔道具と組み合わせた戦闘方法を編み出したはいいけど、まだまだ練習不足だって言われてた。正直、まだあの女に勝てないと言われているようで、カイン兄の言葉とはいえ、受け入れられなかった。


 でもダメだった。


 ちゃんとしてれば、こんな痛い想いしないで済んだはずだったのに。


 カイン兄のいうとおりにしていればよかった……。


ヘッジ「ちょっ!ティナのアネキ、大ピンチじゃないっすか!!これ、大丈夫なんすか!?」

ティナ「……」

ヘッジ「アネキーーーーー!!!」


◇◇◇◇◇◇


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