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77.ミミズ大好き

「ねぇねぇ、カイン兄」


「ん?なんだ?」


 ティナが話しかけてくる。なぜかドヤ顔で。若干気持ち悪い。


「アタシ、いい事思いついたわ!ダンジョンコアにつながる道、全部ヘッジ達に埋めてもらっちゃえばいいんじゃない!?」


 どやー


 と、効果音すら聞こえてきそうな自信満々のこの顔。

 かわいい幼馴染だが、ちょっと腹が立つな。


「ダメだ」


「なんでよ!アタシがいい作戦思いついたからって、ひがんでるんじゃないの!?」


 別に競ってるわけでもあるまいし、そんなことでひがんだりするか。


「(ティナのアネゴ、違うんすよ。前に実験したことあるっすけど、大変な目にあったっす)」


「え……なんでよ?」


 ヘッジがフォローしてくれる。

 そうなのだ。それについては以前ヘッジと実験済なのだ。


「以前、話をしたかと思うが、『攻略不可能なダンジョンを創ることは許されない』から、ダンジョンコアのスキルを使って、道を塞ぐようなことはできない」


「それは聞いたわよ。だから、スキルを使うんじゃなくて、ヘッジ達に物理的に塞いでもらったら、って言ってるのよ。ほら、ダンジョンできたばかりの頃、カイン兄も自力でコアを埋めてたじゃない?」


「あぁ、俺もそう思った。だから実験したんだ」


 ヘッジに手伝ってもらってな。


「(でも、埋めた後で勝手に穴が開いたっす)」


「……は?」


 意味が分からないとティナが聞き返してくる。

 いや、分かるぞ、その気持ち。

 俺も、そして多分ヘッジも当時は同じ気持ちだったからな。


「(だから、ダンジョンコアと地上がつながるように穴が勝手に開いたっすよ)」


「埋めたところが崩れたってこと?」


 そうなんだ、困ったのはそこなんだ……。


「いや、違う。全く違うところに穴が開いたんだ」


 試しにダンジョンコアに続く唯一の道をヘッジ達が埋めてみたところ、2日経ったくらいで穴が開いていることに気づいたのだ。それは埋めた場所が元通りの状態になった、ということではなく、これまで何もなかったところに穴が開き、俺が普通に歩けるくらいの、地上までの一本道ができていた。ついでに、ダンジョンコアの魔力はしっかり減っていた。


「なによ、それ……ダンジョンコアが勝手に穴を開けたみたいじゃない」


「しかも、だ。その後も2回ほど実験したんだが、穴の開き方はランダムなんだ」


 最初に実験した時にはダンジョンコアから地上までの一本道ができていたが、そのほかの回では別の通路につながる形で道ができていた。ただし、その道は地上まで通じていたため、結果的にダンジョンコアは地上から到達できるようになったことになる。それに、ランダムなのは穴の開き方だけじゃない。タイミングもまちまちで、3回の実験結果は2日後、1時間後、10日後、とバラバラだ。


「つまり、下手にダンジョンコアまでの道を塞いでしまうと、最悪、冒険者が来たときに、目の前にダンジョンコア直通ルートが開く、なんてこともなくはないわけだ」


「(そうじゃなくても、勝手に道作られたら、こっちの設計が狂うっす))


 ダンジョンを創った当初、俺は自力でダンジョンコアを埋めていたが、あれはしょっちゅう出し入れしてたから、穴が開くタイミングがたまたまなかったんだろう。

 というか、土をざっくりかけて壁があるように見せかけただけだからな。ちゃんと塞いだわけでもなかったから、「埋めた」と認識されなかったのかもしれない。


「なんで、ダンジョンコアはそんなことするのよ?」


「知るか!俺だって困ってんだ……」


 分かることは、『攻略不可能なダンジョンを創ることは許されない』という理はダンジョンコアのスキルを使うときだけに適用されるわけじゃないってことだけ。


 ……俺達はダンジョンコアを守ってやってるのにな。なんでそれを邪魔するんだか……。


「というわけで、道を塞ぐわけにはいかないんだ」


「……じゃぁ、あの冒険者の女に正解の道を知られてるのはやっぱりまずいわね」


「(だから、ダンジョンを色々改造する予定っす)」


 改造する方針については、すでにヘッジと相談して決めてある。


「なーんだ……」


 そう言いながら、ティナが面白くなさそうに去っていく。


 さてと。


「さぁ、そろそろ、やるぞ。まずはダンジョン拡張部隊の強化だ!」


「(あざーっす。あ、モールだけじゃなくて、オレっちと同じ、ディグホッグも創って欲しいっす。これ以上モールが増えてもオレっちだけじゃ管理しきれないっす)」


 まぁそうだよな。すでに10体のモールをヘッジだけであれこれ指示してダンジョンを作り上げているのだ。


「オーケーだ。ディグホッグを2体、モールを追加で20体創ろう。ヘッジは自分の部隊を管理するほか、ダンジョン拡張部隊全体の管理も頼むぞ」


「(おぉぅっす。なんか大変そうっすけど、了解っす)」


 ディグホッグ1体、モール10体のチームを3つ作る形だ。次また冒険者達が攻めてくるまでに急ピッチでダンジョンを改造しなくてはならない。おおがかりなものは無理だろうが、少なくともあの女冒険者が知っているルートは変えなければ話にならない。

 まぁ、最悪間に合わなければ、ダンジョンコアの魔力を使って改造するが。


 俺はダンジョンコアを片手に一気に魔族を創り上げる。


「《魔族創造》」


 予定通り、計22体の魔族が創り上げられた。


 ……残念ながら変異種はいないようだ。

 変異種が必ずしも()()()とは限らないが、トレントの変異種であるウドリーがあまりにも活躍しているので、少し期待してしまった。


「じゃ、あとは話したとおりに頼むぞ、ヘッジ」


「(了解っす!みんな、オレっちの話をよく聞いて、ダンジョン創るっすよ!掘った時に見つけたミミズは食っていいっす。ここのミミズはマジうまいっすよ!!)」


 ディグホッグとモール、大興奮。


 士気の上げ方がなんともいえないが、ヘッジがうまくリーダーシップをとってくれそうで良かった。


ティナ「ねぇ、ここのミミズってそんなにおいしいの?」

ヘッジ「格別っす!外にいるミミズも食べたっすけど、ダンジョンのミミズとは明らかな違いがあるっす。噛めば噛むほどみるきーな濃厚な味わいで、踊り食いで飲み込めば、ちゅるっと軽快なのどごし。たまんねーっす!」

ティナ「……」


◇◇◇◇◇◇


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