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61.【アメリア】魔獣を殺してみせる

 キース達と一緒にダンジョンの存在を確認した後、アタシはセレンの町にいた。

 実は、領都を出る前に教会から指示を受けていたのだ。


「アメリアよ。おまえには、ダンジョン近くにこれからできる町に赴任してもらう。領都にもどってくるのも手間であろうから、待機していなさい」


 ……そのダンジョンが本当にあるかどうか確認するために来たはずなのに、せっかちな話だ。


 赴任自体は悪い話じゃないと思った。

 魔獣は怖いけど、本当は私も妹のイルミアのように魔獣を殺したい。たとえ、自分ができなくても、ダンジョン近くの町にいれば、なにか私にもできることがあるんじゃないかと思ったのだ。


 アタシはダンジョンのある森から南の方にあるセレンの町に滞在していた。新しくできたヴェールの町に教会ができるのは、防壁ができあがってからになるらしい。それまで、アタシはセレンの町で待機だ。

 ……正直暇だ。この町はとっても小さくて娯楽も何もあったもんじゃない。


「あれ、そういえば、この町にも教会があるって言ってたような……」


 領都の教会では、セレンの町の教会の話は一切聞いたことがなかったので、忘れていた。領都の教会で把握できてない教会なんてあるわけないんだけどなぁ。


「おばちゃん、教会ってどっちにあるの?」


「教会に行くのかい?カルロ神父はお嬢ちゃんみたいな敬虔な信徒って感じじゃないんだけど……」


「いいの!アタシがその神父にちゃんとした教会の教えってのを刻みつけてあげるんだから!!」


 それに、暇だしね!


「おやおや、お手柔らかにね」


 苦笑いしながら、宿のおばちゃんは教会の場所を教えてくれた。

 その場所に行ってみると、なにやら子ども達が集まっている。ここの教会も孤児院をやってるのかな?


「ね~神父、だんじょんが近くにできたんだって~」


 どうやら、子ども達が集まっているその中心には神父がいるみたい。集まった子ども達の1人が神父に話しかけている。


「そうじゃの。じゃが、ダンジョンができたのはありがたいことなんじゃぞ?」


 ……何を言っているのかしら?

 神父のくせに魔石が採れるようになったとでも言うつもりかしら?


「え~なんで~?まじゅうがでてくるかもしれないから心配って、ママが言ってたよ」


 また、別の子が声を上げる。


「ダンジョンができたのは、魔族が魔力を管理してくれている証拠じゃ。不安じゃったが、あの地ではもう天変地異が起きることはないじゃろう」


「まぞくっていい人なの?」

「あぶなくないの?」


 神父は慈愛に満ちた目で、これからの可能性を秘めた子ども達を見つめる。


「魔族は我々にはできないことをしてくれる。この世界には必要な存在じゃな」


「違うわ!」


 私はたまらず、その輪の中に割って入る。


「魔族はとっても危ないものよ!きちんと排除しなくちゃいけないのよ!!」


「おやおや、お嬢さんは……」


「魔族は殺さなきゃダメなの!」


「……それもまた正しいのぅ」


 うんうんと神父が頷きながら、アタシの言葉を肯定する。

 は?

 訳が分からない。この神父は何を言いたいのだろうか?


 大きな声を上げて走り込んできた私にビックリしたようで、子ども達は唖然としていた。


「みんな、お客さんが来てしまったから、今日はもう終わりじゃ」


 パンッパンッと手を叩きながらそう言って、カルロ神父は子どもたちを解散させる。


「またねー神父―」

「今度は魔道具の使い方教えてー」


「ほっほっほっ。さて、お嬢さん……」


「なんで、子ども達にあんな嘘教えるの!?」


 神父のくせに信じられない!


「……」


「なによ!」


 神父はアタシの事を可哀想なものでも見るような目で見てくる。


「お嬢さんは、領都の教会からやってきたアメリアさんじゃな?」


「そうよ。この町にも教会があるって聞いたから、来てみたの。でも、本当にあなたは神父なの!?」


 魔族が必要だなんて、教会の者なら絶対に言わない。

 魔族や魔獣はこの世界に巡る魔力を食い散らかす絶対悪だ。山も川も、動物も植物もみんな魔力が必要。それなのに魔族や魔獣が蔓延るとその魔力を吸い尽くしてしまう。そうならないためにもやつらは狩り尽くさなければならない。


「教会の教えはもちろん知っとるよ。あれも一面では正しいし、必要な教えであることは間違いない」


 ……なんだか自分が教会の者じゃないみたいな言い方ね。

 そんな私の思いを読んだのか、神父が言い訳する。


「ワシは教会の中ではつまはじきものだからのぅ」


 ほっほっほっと楽しげに笑う。

 ……全く楽しい話じゃなかったと思うけど。


「お嬢さんは敬虔な信徒じゃの?」


「そうよ!魔族も魔獣も魔石も大嫌い!あんなものなくなればいいのよ!」


「ふむ。じゃぁ、お嬢さんに質問じゃ」


「なによ?」


「魔石を使わずにどうやって、魔族や魔獣を殺すのかの?」


「……」


「魔石を使わないとゆーことは魔道具を使わないってことじゃ。そりゃ、ゴブリンくらいなら、魔道具なしでも大丈夫じゃろうが、高ランクの魔獣を相手に魔道具なしはいかにSランクの冒険者だとて無理じゃろう。まして魔族なんて笑い話にもなるまい」


 アタシは答えられなかった。

 魔獣を殺すのがそんなに大変だなんて分かってなかった。

 そもそも、魔獣を見たのはこないだのダンジョンの視察の時が初めてだった。


「……ちょっといじわるじゃったかのぅ」


「……いいわよ」


「ん?」


「アタシが証明してみせるわ!魔道具なんて使わなくても魔獣は殺せるって。」


「いやいやいや、ちょっと待ちなさい。ワシが話したかったのはそうじゃなくての……」


 神父はまだ何か言ってたみたいだけど、アタシは無視して、その場を離れた。

 いいわ!やってやるわよ!ちょうどアタシも魔獣を狩りに行きたいと思ってたところだもの!


 そのままアタシはセレンの町の冒険者ギルドに行った。でも、ギルドですごい反対にあった。シスターが冒険者をやるなんて無理だって。それでもアタシは諦めなかった。

 ヴェールの町に教会ができて、そっちに移住してからも周りを説得し続けて、やっとEランク冒険者として登録したのだ。たぶん、ヴェールの町の教会がヒマだったのと、ちょっとやらせてみればすぐ諦めるだろうって考えもあったんだと思う。


 そして、アタシは深緑の森に狩りに出て、ボロボロになった帰りに妹のイルミアと再会したのだった。


ヘッジ「なんか、最近、人間の話ばっかっすね」

ティナ「残念ながら、明後日も人間サイドの話よ」

ヘッジ「え〜オレッちの活躍の話はまだっすか〜」

ティナ「大丈夫よ。その次はまたアタシ達の話だから」

ヘッジ「やっとっすか」

ティナ「ヘッジの出番はないけどね」

ヘッジ「!?」


◇◇◇◇◇◇


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