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31.いいことづくめ

「ゴブリン達は既に俺の支配下にある、手を出すなら黙ってはいられない。コイツらの事は諦めてくれ」


 まずは最低限の約束を交わさせよう。


「(強者が弱者を屠るのは自然の摂理だ。邪魔される謂れはないな)」


「ごもっとも。だが、もし、おまえらがこれからもゴブリンを襲うというのであれば、今ここで、おまえらは屠られる側になるな」


「(……)」


 レオン以外のスノーウルフも俺の言葉を理解しているのだろう。

 池の周りで寛いでいたやつらも含め、みな立ち上がり、臨戦態勢をとる。


「(この数を相手に無事で済むと思っているのか?)」


「おまえも分かっているだろう?戦闘になって困るのはおまえらだぞ」


 レオンは「無事で済むと思っているのか」と言った。自分達が勝てるなどと思っていないのだろう。ただ、「戦闘になれば、一矢報いるぞ」と。


「まぁ、待て。それにおまえらにとっていい話もある」


 ムチの後にはアメをプレゼントだ。


 ティナが「何いってんの」とでも言いたそうな顔をする。

 なんだよ、ほんとにスノーウルフ達にとってもいい話だぞ。


「おまえ達もこのゴブリン達同様、仲間にならないか?仲間になれば、食い物に困ることはなくなるぞ?」


「(……おまえが他の魔獣を用意してくれるのか?)」


 おっ乗ってきた?


「いや、くれてやるのは魔獣じゃない。魔力そのものをくれてやる」


「(魔力?)」


 魔力を知らないか。まぁ、Cランクとはいえ、野良魔獣だもんな。


「俺達もそうだが、魔獣が食い物を必要とするのは魔力を補給するためだ。魔力がなければ生きられない。だが、俺はダンジョンの管理者だ。魔力を直接くれてやることができる。ほら、こんな風にな」


 俺はレオンに魔力を補給してやる。

 こんなこともあろうかとダンジョンコアも持ってきていたのだ。


「(これは……)」


 レオンの体がうっすらと光る。

 レオンは目を見開き、自分の体に何が起こったのかを確認しているようだ。


「(確かに、これなら魔獣などいらないな)」


 伝わったようでなによりだ。

 これはもしかしていけるか?Cランク魔獣、まとめてゲットか!?


「(……さっきダンジョンと言っていたな。ダンジョンとは何だ?)」


「この地は地脈から魔力が異常に溢れる『魔力溜まり』になっていた。そういった場所は様々な異常事態が発生する。だから、俺のようなのが、『ダンジョン』を創り、溢れる魔力にフタをしてやるのさ。この地はそれで安定するし、俺は地脈の魔力をある程度自由に使うことができるようになるってわけだ」


 俺はこの地に起きていた事態について、またダンジョンについて説明してやる。ついでにダンジョンができると人間に狙われることなども。デメリットも隠しませんとも。


「(……その魔力溜まりというのはいつから発生していた?そして、おまえがダンジョンを創ったのはいつだ?)」


「いつから魔力溜まりができていたのかは知らない。ダンジョンを創ったのは……40日ほど前だな」


「(……さっきの光は魔力だと言ったな。ダンジョンがあれば、誰でもできるのか?)」


「ダンジョンコアを扱うには特殊な技術が必要だ。残念ながら、俺以外にはできないな」


 乗っ取りでも考えたか?そもそも戦力的に無理だろ。


「(……)」


 レオンが瞑目する。

 どうするのがいいか考えているのだろう。


 ほら、来ちゃいなよ!


 俺が一気に戦力を拡大できることにワクワクしていると、レオンがゆっくりと目を開け、俺をまっすぐに見据える。

 その目は希望を見つけたような、そんな期待感を感じさせる。


 これは……キタ!


「(ないな。おまえらの仲間になどならん)」


 なにーーーー!

 期待させといて、そりゃないだろーーー。

 俺、がっくり。


「(この群れは俺が率いているが、ボスは別にいる。ボスはおまえらの仲間になることを望んだりはしないだろう)」


 !?

 Cランクのスノーウルフを従えるようなボスだと!?

 ということは、やはりこの森にはBランクの魔獣がいるのか……。


「(安心しろ。だからといって、ゴブリンどもを狙うこともしない。細かいところまで約束はできないが、そいつらをつけ狙うのはやめてやる)」


 ほう……殊勝な心がけだ。

 仲間にはなれなくとも、俺らとやり合うのは得策じゃないという判断か。


「(俺達はもっと森の奥へ行く。ゴブリンどもを相手にしている暇はない)」


 いや、この数日めっちゃ狙ってただろうに。

 暇つぶし程度だったってことか?

 いい迷惑だ。


 仲間にできなかったのは、かなり残念ではあるが、これで当初の目的は達成できた。

 ……ゴブタロウの方もうまくいったしな。

 ひとまず、これでよしとしようか。


 俺は切り上げようかと考えていると、レオンがまだ話しかけてくる。


「(……さっき、人間に狙われてると言っていたな。おそらく俺達は見たぞ)」


「人間の冒険者がこの森に狩りに来ていることは知っている。俺達が脅威に感じているのは、この森の近くに町を作られ、本格的にダンジョンの攻略に乗り出されることだ」


「(いや、狩りに来たようなやつじゃない。2人はかなり戦えるようだったが、もう2人は完全に素人だった。おかしな魔力を感じたから行ってみたが、あれは森の外側で様子を伺っているようだった)」


「!?」


「(20日ほど前だな。その町づくりのために来た人間だったんじゃないか?)」


 おそらくそうだ。おかしな魔力というなら、何か魔道具を使っていたのだろう。

 もしかすると……ダンジョンを確認していた?

 ルークから話を聞いた人間が、魔道具で確認に来ていた?

 だとすると、やっぱりダンジョンを確認する魔道具の有効範囲は大したことがなかったんだな……。


 俺が思考を巡らせていると、レオンは話は終わったとばかりに後ろを向く。


「おい、ちょっと待て。今の話、もう少し聞かせて……あっ」


 レオンがダンジョンの配下から外れた。

 あいつ、自分から切りやがったな……。


 レオン達スノーウルフはそのまま森の中へ去っていく。


 後に残されたのは、俺、ティナ、ゴブリン4匹。


「行っちゃったね」


「あぁ、まぁ当初の目的は達成できたからいいだろう。最後に興味深い話も聞けたしな」


「仲間になってくれそうな雰囲気あったんだけどね」


 ……俺もそう思った。

 レオンはそれなりに頭も回るようだし、魔力の補給を受けられることには惹かれているようだった。

 あいつらのボスは相当気難しいやつなのか?


 ティナとそんな事を話していると、後ろではゴブリン達が騒いでいた。

 どうやら、自分達を守ってくれたゴブタロウを他のゴブリン達が褒め称えてるらしい。


「ゴブタロウもうまくいってよかったね」


「あぁ、ティナも気を使ってくれてありがとな」


 今回、ゴブタロウだけじゃなく、他のゴブリンも連れてきたのは、ゴブタロウの信頼を回復させるためだ。

 ゴブリン達は今回の事でだいぶゴブタロウに対して不信感をもってしまったようだからな。

 これを払拭しておかないと、今後、ゴブタロウによるゴブリン達の統率がうまくいかなくなってしまう。


「最初はなんで他のゴブリン連れてきたのかな~って思ったのよね。でも、スノーウルフ達に囲まれたときに、あ、これかなって」


 隠れていたスノーウルフには襲撃されたが、当然、俺やティナは隠れているやつがいることに気づいていた。

 それを黙っていたのは、ゴブタロウが信頼を回復するチャンスだと思ったからだ。

 うまくいって本当によかった。


 ……Cランクの魔獣を逃したのは悔しいが。


 俺が少し悔しそうな顔をしていると、ティナが笑って言う。


「ゴブリン達の結束は固まったし、スノーウルフの脅威もなくなったし、人間の動向も知ることができたし、いいことづくめじゃない。仲間ならアタシが探してきてあげるから、ドーンと待ってて!」


「そうだな。前向きに考えよう」


 視察に20日ほど前に来たというなら、町ができるまでにはまだまだかかるだろう。

 今のうちにダンジョンの強化に勤しむとしよう。


ティナ「今日から『後書き』始めちゃうよ!」

ヘッジ「『後書き』ってなんすか?」

ティナ「私達のコーナーってことよ!なんかだんだんキャラ増えてきて、出番なくなってきたらね!ここらでアピールよ!!」

ヘッジ「誰にっすか……しかし、スノーウルフ達は残念だったっすね〜絶対ここで仲間が増えるもんだと思ってたっす」

ティナ「そうね。スノーウルフ達が仲間にいれば、一人前とされるCランクの冒険者にも余裕で対抗できるでしょうからね」

ヘッジ「逆にいえば、いま冒険者に襲われたら危ないってことっすよね?前来たのはアホな奴らだったから良かったっすけど、大丈夫なんすか?」

ティナ「不安よね〜そこで明日の話は『【オスカー】看板』よ!」

ヘッジ「冒険者やっつける話っすか!?」

ティナ「そこは明日のお楽しみに!」


◇◇◇◇◇◇

徐々にではありますが、読んでいただける方も増えて来て、ありがたい限りです。

明日、明後日は3話ずつ更新します!


励みになりますので、ぜひ、「ブックマーク」や「評価」をお願いします〜。

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― 新着の感想 ―
[一言] 質問ですが魔物の進化は存在しますか? そしてスライムはよくあるゼリー状のものですか? スライムの用途としてスライムの増殖→毒液等の生成→主人公のスキルで魔力に還元、と言うのはできるんです…
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