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100.園芸とティナの魔道具

 ダークウルフの襲撃を受けてから、俺達はダンジョンに戻ってきた。

 ダンジョンに戻ってきてみると、ティナ達もすでに戻ってきていた。リスケッタの花はティナ達が無事、手に入れたらしい。ついでにゴブリンの死体も抱えていて……


「ちょっとヤだけど、このゴブリン、リスケッタの花食べてたから……」


 ……なるほど。リスケッタの花を栽培しよう、と。

 だが、ティナの話じゃ、リスケッタの花は花が咲くと同時に低級野良魔獣が集まってきて、たちどころに食べられてしまうらしい。置き場所はちょっと考えなきゃならんな。

 下層エリアなら安心だが、まさか日の光が当たらない場所に置くわけにはいかんだろうし。


「ん?ゴブリンルームならいけるか?」


 あそこはダンジョンの機能を使って、地下にも関わらず、光が指すようになっている。ダンジョンの光が日光と同じかどうかは分からんが、外に置くよりは安全だろう。


「……ゴブタロウ達は大丈夫かしら?」


「(ティナ、呼んだ~?)」


「呼んでないわよ。アンタ達がリスケッタの花食べちゃわないか不安だって話」


 ……そりゃそうか。ゴブタロウ達は成長したといっても低級魔族であることに変わりはない。身内に食べられてりゃ世話ないな。


「(だいじょーぶ。食べちゃダメって言われたもの、ゴブリン、食べない)」


「……リスケッタの花ってたしかに甘い匂いがして、美味しそうといえば美味しそうなのよね。見つけたときも、野良のゴブリン、我を忘れたようにかじりついてたし」


「(……だいじょうぶ……だと思う?)」


 おい、随分不安な「大丈夫」だな。なんか疑問形じゃなかったか?


「ふつーに大空間の方でいいでしょ」


「まぁそうか。あっちには今ダットン達とトレント、ロックリザードくらいしかいないからな」


 トレントが花を食うとは思えないし、ロックリザードはCランク。いくらなんでも大丈夫だろう。


「そういえば、スライム達は大丈夫かしら?」


「……どこにでもいるから忘れてたな。スライムもリスケッタの花の餌食になるなら、ダンジョンエリア内に安全地帯なんかないぞ」


 いたるところにいるからな、スライム。ダンジョンの配下になっているスライムはともかく、そうでないスライムも含めたらもはや数など分からん。だが、1,000は越しているであろうことは確かだ。


「まぁ、やってみるしかないか」


 結論から言うと、大丈夫だった。

 ダンジョンの機能の光でもリスケッタの花は育ったし、スライム達も花に興味を示さなかった。

 花が咲いたときに、試しにスラポンをそばまで抱いて連れて行ってみたが、


「(きれーだねー)」


 だそうだ。

 もしかしたら、スライムには嗅覚がないのかもしれない。リスケッタの花の特徴である甘い匂いを感じ取ることができない魔獣であれば、食べようって気にならないんじゃないだろうか?


 ともあれ、無事、リスケッタの花の栽培には成功した。

 その後、ダットン達が世話を担当し、定期的に採取できるようになったのはまた別の話だ。


 さて、リスケッタの花を手に入れた俺達は、またヴェールの町にダットンを使いに出し、ドノバン呼びに行った。


「おう!来たぞ!」


 再度やってきたドノバン。今回はなにやら荷物をたくさん持っている。

 自分だけでなく、ダットン達にまで持たせているようだが、魔道具を作るための道具か?


「リスケッタの花、ちゃんと採ってきたわよ」


「よくやった!これでティナの魔道具は作ってやれるぞ!」


「ほんと!?やったぁ~」


 ドノバンの言葉を聞いて、あらためて喜ぶティナ。


「それで、どんな魔道具なんだ?魔族に身体強化はできないんだろ?」


「……そういえば聞いてなかったわね」


 俺達はダンジョンの洞穴の中の一画にドノバンを案内しながら話をする。

 ドノバンはその部屋に、自分の荷物を下ろし、ダットン達に持ってこさせたものをあれこれ指示しながら、配置していく。


「あぁ、基本的にはティナがこれまでやってたのと同じだ。魔法を擬似的に身体強化に使う」


「リスケッタの花は何に使うの?」


「そもそも、リスケッタは特殊な植物でな。周囲にある魔力と苗床にした魔族の魔力を糧にして成長する植物なんだ」


「……まぁ変わってるわよね。魔族に()()()植物なんて」


「そこじゃねぇよ。重要なのはリスケッタが魔族の魔力と周囲の魔力の2種類両方を吸収してるってとこだ」


 ふむ。なんとなく分かったぞ。


「リスケッタは違う種類の魔力を合成するような力を持つってことか?」


 ニヤッと少し嬉しそうにドノバンが笑う。


「正解。といっても、リスケッタがやってるのは合成なんて大それたもんじゃねぇけどな。だが、リスケッタを材料にしてやれば、それも可能になる」


「アタシも魔石の魔力を纏って、身体強化できるってこと!?」


「そりゃ、無理だ」


「なんでよ!!」


 俺もちょっと思ったが、それは無理だって、最初にドノバンも言ってたからな。


「それをやるには、魔道具じゃなくて、ティナ、おまえが2種類の魔力を扱えなきゃならん」


「つまり、2種類の魔力を魔道具に扱わせるってことか?」


「そういうことだ」


 満足そうにドノバンが頷く。


「それって、アタシの魔力と魔石の魔力、両方使うって意味?」


「それもある。魔石に頼ってると、魔石が切れたときに使えなくなっちまうからな。ティナの魔力で補ってやるようにして継戦能力を高めてやる。これも狙いの1つではある」


「1つってことは?」


 ここでまたニヤッとドノバンが笑う。


「2種類の魔法を同時に使えるようにする。1つの魔道具でうまいこと制御してやってな。例えば、風魔法を推進力に使うにしても、もう1つの風魔法で方向を変えてやって自由に動いたり、加えて土魔法で足場を作ったり、火魔法で瞬発力を得たり、……な」


「なるほどな」


「いいわね!とゆーか、2つどころかもっと欲しいわ!」


「ひとまずは2つにしとけ。使い方慣れるのも大変だぞ」


 ふむ。なかなか面白そうな魔道具が作れそうだな。だが、


「随分使い勝手がよさそうだが、人間は似たようなの使ってないのか?身体強化はともかく、2種類の合成魔法が使えるってことだろ?」


「……なくはない。が、ほぼないな」


 理由を聞いたところ、原因はコストらしい。

 確かに強力な魔法が使えるようにはなるが、もはや過剰な域らしい。魔石もガンガン消費することになるし、よっぽどの高ランクでないとそんなものは使わないらしい。


「まぁ、どうなるかは俺も分からん。ひとまず作って、ティナに使ってもらいながら調整する感じだな」


「うん!楽しみにしてる!!」


ティナ「祝100話よ!」

ヘッジ「なんだかんだで来たっすね〜」

ティナ「まだまだ続く予定だから、これからもよろしくね!」


◇◇◇◇◇◇


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