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この作品には 〔ボーイズラブ要素〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

【BL】報われない南京錠【二次創作】

作者: ✧*。ゆめまる✧*。

伊吹 葉(17)

嵐組の幹部の1人。紅葉隊隊長。

イメージカラーはオレンジである。

感情表現が苦手で毒舌。


竜田 誠(18)

嵐組の幹部の1人。誠隊隊長。

イメージカラーは紫である。

機械を操るのが得意な、カッコつけの残念なイケメン。

オレは伊吹 葉(いぶき よう)。嵐組の幹部。ただ、それだけの使えないオレンジ野郎です、すいませんね。


そんなオレは好きなやつがいる。好きかどうかは知らないけど、好きな気がする。少なくても嫌いではない。


そいつが目の前にいるコイツ。幹部の竜田 誠(たつた まこと)。カッコつけの野郎。


ま、男を好きになるとか想定内すぎて笑えないね。ゴミを極めしゴミ。


「なんだ、葉。俺に見とれていたのか?なんてguilty guy(ギルティ ガイ)なんだ俺…」


「うるせぇよイキリ野郎。気持ち悪いから勘違いすんじゃねえ」


あぁ、またやっちまった。さすがゴミ。対応もゴミですねすいません。


どーせオレはこうですよ、好きな奴に暴言吐くクズですよ。


ま、誠は慣れたのか、気にせずにカッコつけている。


「どうした、葉。顔色が良くないぞ?」


はい?ほんと誠のやつ、オレなんかに優しくしやがって。


オレとかオレとかオレとかが魅了されちゃったらどうするんだよ誠!ああ、もう最悪。


「あ、誠じゃん。なにしてんの?」


……香。三室 香(みむろ かおる)


同じく幹部の静かなやつ。


「香か!いや、な。何もしてないぞ。なんなら暇を持て余していて」


「あ、そう。ボク忙しいけどね。」


「じゃあ俺が手伝おうか?」


「断る」


見てわかるように、誠は香が好きなんだろう。


オレなんかと違って小さくて可愛いからね。


だから、オレなんかが誠に声をかけられるわけが無い。


「葉、そう言えば用事終わった?」


「まだ」


「あ、じゃあ誠に手伝ってもらったら?」


「な、葉お前まだやってなかったのか?仕方ないな、どれ、俺に見せてみろ。」


な!?なんだこの幸運は!ありがとう神様香様、心ん中でお礼言っとく!


「チッ、お前に助けられたくないんだよ」


「何でだ!?」


「別にオールすれば出来るし」


「オールなんてダメだ!何時でも万事OKな状態にしておかないとダメだぞ?」


はぁ、オカンかよ。


そこが好きなんだけど。


オレはゴミクズだから、コミュニケーション能力は無い。


言葉の代わりに背を向けてオレの部屋に歩き出した。




オレの汚部屋に足を踏み入れると、誠が小さく邪魔するぜと言った。


パソコンラックの上に無造作に置かれた資料の束に視線を落とすと、左手で資料を手に取り、誠は無言で作業を始めた。


さすが株のプロトレーダーかつハッカーかつプログラマー。


得意なのか、こういうの。


パソコンの前に座ると、片手でキーボードを操り次々と言葉を紡ぐ。


画面は一瞬しか見ていないことから、かなり手慣れている。


ふと顔を見て、胸がドキッとする。


いつもニヤけてるカッコつけ野郎が、今、俺の目の前で、真剣な顔して資料を睨みつけている。


鋭く細めた眼。顰めた眉。引き結んだ口元。


何もかもが新鮮で、何だかじっと見てたい様な。


「何見てるんだ」


低音で不機嫌そうな声色が耳に届いて、ぼーっとしていた意識がハッキリする。


誠は、キーボードに触れていない左手で頬杖をつき、瞳だけ動かしてオレを見ていた。


その顔に表情はない。


表情が無いのではないが、不機嫌を丸出しにした顔がオレには無表情に見える。


ヤバい、心臓が、壊れそう。


睨みつけるような視線がゾクゾクする。


くっそ、カッコイイなんて死んでも言ってやんねぇ……!


「べっ、別にっ……」


「そうか」


そして視線を戻して右手の動きを再開する。


どうしようか、顔が熱い。見られたくない。


自らの左手で髪で隠れていない頬を抑えて、頭をブンブンと振る。


このままここに居たらもっと好きになってしまいそうな、そんな気がする。


こういう時はいつもその場しのぎで心に鍵をかける。


沢山の入れ物に、1個1個鍵をつけて、奥の方へ放っておく。


だって、誠には好きな奴がいる。


そんな奴に「好きだ」と告げられる勇気など、ゴミクズには無い。


何より、誠を困らせることなんて出来ない。


酷い事言ったら、言い続けたら、優しい誠もオレの事嫌ってくれるかな。


きっとオレは嫌われても好きでい続けるんだろうけど。


幸い、こういう事は得意だから。


初めてだけど、上手くやれるさ。


「なぁ葉」


「………何?」


思わず声が裏返りそうになった。


喉がつっかえて、上手く喋れない。


喋ろうとしたら嗚咽が漏れそうになって、どうしようもない。


「俺、好きな奴がいる。」


「知ってる」


誠の声は相変わらず冷たい。


やっと言ってくれるのか。


香が好きなんだと。


オレの事は好きじゃないと。


やっぱり本人の口から聞くのは違うな。


「なんだ、バレてたのか」


「……ん」


「上手く隠したつもりだったんだけどな。」


言葉を聞くたび、苦しさがます。


左目から涙が次々流れ落ちて、止められない。


「俺…って、葉、こっち見てみろ。」


勢いよく首を振る。


見られたくないのに、デリカシー無い奴。


「そんなに嫌か?まあいい。俺は、さ」


「な、んだよ……」


「いや、やっぱなんでもない。」


何だよ。


何なんだよ。


「い、言うならちゃんと言ってくれよっ……!」


「え!?葉、何泣いてっ……って、わ!」


もういいや。


涙も、熱く火照った顔も隠すことすら辞め、誠の胸に顔を埋める。


これで、どうか、オレの初恋の人。


オレの事を、嫌ってくれ。


「葉……ゴメンな。」


「何がだよっ……」


「俺が好きなの、葉なんだ」


「………………は?」


ハッとして顔を上げると、誠と目が合った。


困ったように眉を下げ、恥ずかしそうにへらっと笑う誠の顔は、すぐに霞んで見えなくなった。


「あ、悪い。やっぱり嫌だよな、男同士なんて。……でも、言っておきたかった。俺達のどっちも、いつ死ぬかわからないから。」


違う、違うんだ。


でも言葉が出ない。


さっきとは違う、幸せな苦しさが喉を締め付けて、言葉にならないんだ。


落ち着いたら、全部さらけ出そうか。


心の南京錠を、1つ1つ壊していくように。


「オレも、お前がずっと好きだったよ」

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