裏をかえせば
「…まあ、たしかに…いじめ以前の問題ですね
って、そんな状態じゃ王妃もないでしょ」
「無口無表情な神秘的美少女で今現在通っているからね。頭は良いし、性格上は対人以外に問題はないさ。」
「それより。
友人も少なく人見知りで意地悪できない気弱な心優しい少女が断罪されるまでに至る経緯と
馬鹿どもだけでなく私までがヒロインとやらに心ひかれる理由を知りたいね。
何かあるかい?」
「ん~…私については、嵌められたとか、取巻きもどき?が私の名をだして勝手にやったとか…『殿下にはローズマリー様がいるのですよ?男爵令嬢ごときが!…』みたいな。」
「あ~ありえそうだね。君は他人の悪意に疎いし、正論振りかざした善人気取りの取巻き希望とかね」
「まあ、王子様の婚約者なんて、大半は嫉妬かおべっかですよね。」
「うん。それを上手に捌けてこそだけれど。
ま、その辺は私が上手い具合にやるつもりだったから。そばから離さなければよいしね。」
「え~…」
「で?ヒロインとやらは?」
「本来乙女ゲームというのは、心優しいヒロインが、様々なタイミングで訪れる数ある選択肢の中からより良い選択をし、攻略対象の心を癒しそばに寄り添うことでハッピーエンドになる…というものなのですよ。殿下だけでなく、他の対象者と思われる方たちそれぞれにストーリーがあり、個別に親しくなることができるんです。
さらに、選択肢によっては全てのメンバーと親しくなれる逆ハーレムモードに。まあこれは、殿下をメインとした取巻き集団的なかんじですかね…。
隠しキャラとよばれる通常では親しくなれない相手だとか…」
「…その対象者だとか…胸くそ悪いね。未来の王が取巻き扱いとかふざけてるのか?国を潰す気?」
うわあ、すっごい嫌そうな顔…
「で、そこまでが原作ゲームの話で、私が読んでいたのはそのゲームをやっていた少女が、その世界の悪役令嬢の幼い頃、今と同じタイミングに転生してしまうという話です。」
「殿下が断罪していてまわりに取巻きもいたことから、殿下ストーリーか、逆ハーレムモードをクリアした段階を設定にしている…と思われますね。で、私はそのやり方を知っているために断罪を避ける方向で動く、または逆に断罪…ざまあをしてやるという流れなのが、転生もの小説ってところでしょうか」
「ふうん……とりあえず例えばなしの予想とはいえ、自分と同一人物の話だとは思いたくないね。
ところで、ヒロインに心を開くとして、そんな簡単に皆が傾倒するものなのか?」
「たいていはトラウマとか悩み事があるんですよ。で、それを癒してって…で、運命的な出会いを果たした愛する人っと。
」
「でもそれだけではないだろう?「ざまあ」が流行るということは、それを読んでいた君を含め悪役令嬢サイドにつくということは、ヒロインにはなにかあるんだろう?」
「これが小説になると…
実はヒロインには魅了の魔法や、精神に働きかける能力、精霊による手助けがあったりだとか
心理的に人を操り、悪役令嬢を悪者にしたてあげていたりするのですよ。」
「…得体がしれない能力ばかりだな。…国家転覆を狙う可能性もあるから、用心するにこしたことはないね。」
「ですね~……」
心優しき乙女が一転稀代の悪女
最悪令嬢が実は悲劇の乙女 …か
殿下にとって、どちらの世界がよかったのかな
会話ばかりですね。
そして確認作業ばかりでなにも進まないという
もう、ざっと読み飛ばしてください、ほんと