5話
衣装替えをしたかったのだけれど、ドワーフの服はどれも小さくってなんかやだった。
だから街にいる亡命した人の服をもらった。
ついでに能力ももらった。
「はあ、真面目だよなあ、俺……行く先々で神経質なぐらい能力盗みまくってる……これだけ誠実で努力を欠かさず目標にひたむきなのに、なんでみんな、俺のこと認めてくれないんだろう……?」
まあ、それもきっと、魔王を倒すまでだろう。
魔王さえ倒せば、みんな俺を認めてくれる。
でも、一人の力じゃ魔王に勝てない。
だからみんなの力を合わせて、俺は魔王に打ち克つんだ。
これが――絆の力だ。
旅は続く。
なんとなく魔王は東にいそうなので、東に向けて旅をしていく。
途中いくつかの魔族の街があった。
そのたびに俺は会話相手と荷物持ちを求めたのだけれど、やっぱりどこでも似たような展開になって、俺は傷つき、悲しみ、心にささくれを作っていく。
人の世界じゃなくて、魔族の世界ならあるいは、俺を信用し、俺に優しくし、俺の努力に報いてくれるような、そんな出会いがあるんじゃないかと思っていた。
……でも、どうやらそれも、抱くべきじゃなかった希望らしい。
裏切られ続けた。
そのたびに心を引き裂かれるような痛みを味わい続けた。
……ああ、もういい。
もう、報われなくってもいい。
そうあきらめてしまおうとするのだけれど、心の根っこが折れてくれない。
いつか、きっと。
あきらめず旅を続ければ、誰かと痛みや悲しみをわかちあい、喜びをもわけあえるかもしれない。
来るはずのない未来を描き、一人で歩き続け――
そしてついに。
魔王の城へと、いたった。