~覚醒の証~
TYRANT3~覚醒の証
ここには何があるのか?人間は何を求めるのか。
ここには何も無い。そう、全てが失われる。
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-----旧山梨県-----
-----民間人居住区-----
ここには民間人の居住区があり、ここに住んでいるのは民間人だけである。HUNTERは基地の居住区に住んでいる。ここにはGODが飛来する以前の人々の暮らしがある。
ガヤガヤ…
ざわつく街並み。
「今日の新聞見たかよ?」
「見た見た。ビックリしたぜ。」
「あぁ…。本当かよ?第4部隊が半壊したって。」
「らしいぜ。副隊長含め3人は死んで、隊長さんは大怪我をおって今も意識が戻らないとか。」
「でも相手はレベルSだったんだろ。よく仕留められたな。」
「まったくだ。でもさ、そのレベルSの肉誰が食うんだろうな?」
「そうだな。そこには興味があるな。」
-----旧静岡県-----
-----旧静岡市-----
-----GOD研究所〔静岡支部〕-----
ここは討伐されたGODの肉が送られてきたりGODの生態を研究する場所。
ブロロロロロ・・・
「来たか!タイプ:ビースト・レベルSの肉!」
・・・クレア・サイ・フィールド・・・
35歳・女・GOD研究所静岡支部所長・ロシア人
特殊車両からGODの肉が入ったクーラーBOXが降ろされる。
「GODの肉の引渡しをお願いいたします。」
特殊車両のドライバーが敬礼をしてクレアに言う。
「お疲れ様~。GODの肉。無事引き取りました。」
GODの肉を引き取るとクレアはあっという間に研究所内に入っていった。
-----研究所内〔第二ラボ〕-----
タタタタッ!!!クレアが喜びを響かせながら第二ラボに飛び込んできた。
「見て見て見て~~!!届いたよ!!タイプ:ビースト・レベルSの肉~~!!」
「も~。知ってますよ~。所長…お願いですから少し静かにしててください!!」
・・・コニシ・ユウナ・・・
22歳・女・研究員・日本人
「そんなこと言うなよ~小西~。お前も分かるはずだぞ~!この喜び!」
「分かりません!!」
一刀両断されるクレア。そんなことはお構いなしにギャーギャー騒ぐクレア。
ギャーギャー…
ギャーギャー……
そんな騒ぎを我慢していた1人の男がついに……
「うっせーんだよ!!!ロシア人!!!!ロシア人は普通~陰気で根暗そんで悲観主義って決まってんだろうが!!!」
・・・ワン・タイロン・・・
45歳・男・研究所副所長・中国人
大爆発…。ワンさんは滅多に怒らない。
怒ったワンさんにクレアが言い返す。
「なんだ~!この~!いい、ロシア人にも明るく活発で楽観主義もいるの!そういう偏見やめてよね!!それに私にはあんたと同じ中国の血も入っているんですけど~!!」
舌を出しながらワンさんに言い返す。
それも見たワンさんが真っ赤な顔をして
「クッソ~アマ~!!!もう怒った!!!今日という今日は中国4000年の歴史世界最強拳法をお見舞いしてやぞ!!!!!!」
バババッ
変な構えをするワンさん。
「はっは~ん♪やれるもんならやって見なさいよ~♪こっちだってね~ロシアに伝わる超最強拳法があるんだかね!!!」
ギャーギャー………
子供の喧嘩……
1時間続く……
-----翌日-----
「え~と、今日は昨日届いたGODタイプ:ビースト・レベルSの肉を当事者に食べさせます。無事成功すれば新たに
HUNTERが一人生まれます。しかし、失敗すれば当事者は死にます。それだけではなく不測の事態も発生する可能
性もあります。十分注意して準備を進めて下さい。」
朝のミーティングでクレアが研究員たちに通達する。
「捕食は14:00から第一実験室で行います。一部の研究員を除いて13:30までに帰宅をお願いします。…みんな…今日はうまくいったら飲みいくぞ~!!」
イェーイ!!!
-----研究所第二ラボ-----
「あと1時間か…。ドキドキするな~クレア。」
ワンさんがクレアに話しかける。
「そうね~。でもうまくいくよ。きっと。」
二人が何気ない会話をする。
プルルルッ
電話が鳴る
ガチャ
「はい。第二ラボ。…はい…わかりました。」
「所長~。HUNTERの皆さん到着したみたいですよ~。」
ユウナがクレアに言う。
「OK~。よし。お出迎えに行くか。」
スタスタ
-----静岡研究所・セントラルホール-----
カッカッカッ
「お待ちしておりました。所長のクレア・サイ・フィールドです。」
敬礼をする一同。
「今日、護衛第6部隊隊長アルベルト・レオンです。」
敬礼するレオン。
「捕食開始時刻は14:00からとなります。…っておい~!久しぶりだな~レオン!!!」
肩を組むクレア
「あぁ。何時以来だ?久しぶりだな。クレア。」
「ふふふふ。あのヒヨッ子も今じゃ隊長か~。」
クレアがニヤつく
「え!?何ですか隊長!?隊長もヒヨッ子時代があったんですか?」
灯がニヤニヤしながら聞く。
「うるさい…。余分なこと言うなよ。クレア。」
レオンがクレアを睨む。
「いいじゃないの~隊長。みんな生まれたばかりはヒヨコだよ~。」
ディーノがニコニコしながら会話に入る。
「ガハハ!違いない違いない!!!」
優斗が笑う。そんな状況にレオンはため息をつく。
-----研究所内〔第一実地室〕-----
-----時刻14:00-----
「14:00になりました。捕食実地を始めます。」
緊張が実地室に走る。
クレアが今日の捕食実地内容を説明する。
「今回のGODの肉は第4部隊が討伐に成功したタイプ:ビーストレベル・Sの肉です。当事者はミシェル・クアトロ・14歳・女・フランス人です。」
一同に説明するクレア。
「タイプ:ビースト・レベルSか。また凄いのが手に入ったな。」
優斗が灯に話す。
「ええ。でも、第4部隊は半壊したらしいじゃないですか。隊長の南 空だって意識不明の重体だって聞きましたよ。」
「空…。アイツも変わらないな…。」
二人が会話をしている間もクレアの説明は続く。
「それで、不足の事態が起こることも予想されます。なによりこの実地は人一人の命がかかっています。私達は彼女のサポートを全力でし、実地を成功させることに全力をささげます。なので、各自最大限の緊張感を持ってお願いします。」
「了解。」
一同が敬礼をする。
「ではみなさん。実験を始めます。ワン副所長当事者を入室させてください。」
クレアが実験室の二階から下にいるワンに指示を出す。
プシュー…
ドアが開いて、色の白い小さな女の子が実地室に入ってくる。
女の子は震えている
「こ…このたびはよろしくお願いします。ミシェル・クワトロです。」
挨拶をするミシェル
「はい。よろしくね。ミシェル。私はここの所長クレア・サイ・フィールド。私たちは貴方がHUNTERになれるよう全力でサポートするから安心して。」
クレアがミシェルを落ち着かせる。
そんなミシェルを見てレオンが研究員のユウナに尋ねる。
「あの子…。ずいぶん幼いな…。大丈夫か?」
「そうですね…。でもきっと大丈夫ですよ。あの子はサラブレッドですから。」
「あ?サラブレッド?」
灯が不思議そうに尋ねる。
「そう、サラブレッド。彼女の両親は二人ともHUNTERなんです。両親がHUNTERの場合GODの肉を食べて死ぬことは少ないんです。だから、必ず適用できますよ。」
ユウナが何の迷いもなく語る。
「……ふ~ん。サラブレッドね~。」
灯が目を細めてミシェルを見る。
「じゃあ、ミシェル。今から捕食実地を始めるけど今回貴方が食べる肉はタイプ:ビースト・レベルSのGODの肉。
だけど何も緊張しなくていいわ。普通にお肉を食べるように食べてくれればいいから。あっ…、でも、お肉は生だから
ちょっと食べにくいかも。」
クレアがミシェルに告げる。
「分かりました。わ…私頑張ります。」
ミシェルもそれに答える。
「よし!いい子だ。それじゃワンさんお願いね。」
クレアがそう言うとワンがミシェルの前に真っ赤な肉の塊を置いた。
「じゃあ、ミシェルお願いね。頑張って。」
「ハイ」
一同に緊張が走る。
パク…モグモグ…
生の肉。獣の強烈な臭いに涙を浮かべながら必死に喰らいつくミシェル。ミシェルが肉を食べるのにそんなに時間はかからなかった。
「はい。そこまででいいわよ。」
半分ほど食べたところでクレアが声を掛ける。
「はい…。」
気分が優れないのだろう。白い肌がさらに白さを増す。
「ご苦労様。ミシェル。今はまだ変化はないから少しそこのベッドで休んでいて。」
「う…。はい…。わかり…ました…。」
バタッ
ミシェルはやっとのことで返事をすると床に倒れこんでしまった。
「ワンさん。彼女をベッドに運んであげて。」
「了解。」
「…頑張ったわね。エンジェルちゃん。今はゆっくりお休み…。次に目覚めた時は夢すらも見れない地獄にたっている。それと引き換えにとてつもない力を手に入れる。」
クレアがボソッとしゃべる。
チチチチ
何時間たっただろう。2時間?3時間?そんな時間が流れたとき突然けたたましい音が
実験室に響いた。
ドドーン!!!!!!
「なっなに!?」
実地室に目を向ける一同。煙が充満している一階の実地室に微かだが獣の姿をみた。
「おいおい!!なんだあれ!!!今GODの姿が見えたぞ!!!」
灯が叫ぶ。
「ああ。俺も確認した。これは、まさか…。」
レオンもGODの姿を確認したようだ。
「そ……そんな…。な、中にはまだワンさんとミシェルがいるのよ…!!!」
ユウナが焦る。
「そんなことはわかってるよ。でも、この煙が引かないと僕達も中に入れない!!」
ディーノが言う。
「どうなってんだ!!!クレア!!!説明しろ!!!」
優斗が怒鳴る。
「私にもわからない…。でも、ここの施設にGODがいるはずがない!!。」
クレアも同様を隠せない。
「じゃあ、どういうことなんだ!!!」
灯も怒鳴る。
「侵食…。」
レオンが口を開く。
「侵食?何ですか隊長侵食って…?」
「いいか、一人前のHUNTERになるためにはGODの肉を食べなければなれない。それは知っているだろ。
GODの肉を食べて自分に適用できればGODと戦うための強靭な肉体と身体能力を手にし、適用できなければ死ぬ。しかし、ごく稀にGODの肉を食べ、自分自身がその肉に侵食されてしまう。結果、侵食された人間はGODになっちまう。そういう事さ。」
息を飲む一同。
レオンが続ける
「俺たちHUNTERがこの実地に付き合うのは当事者が侵食されGODになった時、速やかに排除するためだ。まあこのことは世界政府のごく一部の奴しか知らないけどな。」
「じゃ…じゃあ、今のGODはミシェル…!?」
ユウナが目に涙をためてレオンに尋ねる。
「あぁ…。そうゆうことになるな…。残念だが彼女を排除しなきゃ……。」
レオンが冷たく言い放つ。
「ダメ!!!絶対ダメ!!!!まだ子供です!!!何か助ける方法があるはずです。」
ユウナがレオンの襟をつかみ叫ぶ。
「所長!!!!所長も何か言ってください!!!!ここの責任者としてあの子を助けないと!!!!約束したじゃないですか安心していいって。」
ずっと黙っていたクレアが口を開く。
「ユウナ…。確かにあなたの言う通り私はここの所長です。だから…第6部隊隊長アルベルト・レオン以下隊員の皆様。今あの実験室にいるGODの排除を依頼します。」
クレアがGODの排除をレオンたちに依頼した。その言葉を聞いた
ユウナは激しく動揺する。
「なんで…。なんでなんですか…?ひどいです…。いくらGODだっていったてまだ子供なんですよ。人間なんですよ…。」
泣き崩れるユウナに灯が一言。
「あのな…。酷な事をいうがGODはGODだ…。俺たちがアイツを排除しないとあんた等みんな死ぬぞ。それに、彼女を助けたいのなら今ここで殺さなくちゃ…。」
ユウナの肩に手をかけて灯が言う。
「…そんなの…綺麗ごとです…。」
口に手を押さえて涙を流すユウナ。
「……。」
返す言葉がない灯。
そんな中煙がフッと晴れてきた。
「仲原…。話は後だ…。戦闘態勢に入れ。」
優斗が言う
「ラジャー。」
そう言うとユウナの頭を軽くたたいて灯が立ち上がる。
そして…
「見えたぞ……。あれが今回のターゲット。タイプ:ビースト・レベル不確定。お前ら死ぬなよ。」
レオンが戦闘命令を出す。
そこには少女の姿を失った醜い獣の姿があった。
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