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丸太を組んでつくられた山小屋は、村人達の家よりもはるかに大きく、森の中にただ一軒、不吉に佇んでいた。ブランは、そこに近づけば近づくほど息苦しくなっていくのを感じていた。


「大丈夫かいブラン。確かに魔力も護符も持たないあんたじゃ、石化うんぬん以前に、ここの邪気に当てられて動けなくなっちまうね」


ブランの異変を察したアリッサが指をパチンと鳴らすと、三人の周りにドーム状の薄い光の幕が張られた。ブランの気分は、かなりマシになった。


「さて、ここで外から拝んでても気分が悪くなるだけだから、とっとと中にはいろうかね」


そうして三人は、アリッサの張る結界内に身を寄せ合いながら、木の扉を開け、山小屋の中に入っていった。

中は真っ暗なので、すかさずアリッサが魔法のあかりをつくる。彼女の手の中に生まれた光球は、天井にほおられあたりを照らし出した。内部もいわゆるロッジの用なつくりで、奥の方に扉がいくつかある以外は、小屋自体が大きなひとつの部屋となっていた。そして…その部屋の中央にそれはあった。


「なんだこれは」


さしもの気丈なナップも、悲鳴じみた声をあげる。そこには、アリッサの身長の二倍程の巨大な岩があった。


「おやおや、こんなにでかくちゃ漬け物石にもならないねえ」


冗談めかしたアリッサの声も、いくぶん緊張をはらんでいるように聞こえる。

この岩は生きている…ブランにはそのように感じられた。いや、事実そうとしか思えないような「動き」が見てとれるのだ。岩の上部は、噴火口のように口が開いており、そこから紫色の煙が規則的にシュウシュウと吹き上がっている。また、岩そのものからも、何か闇の生物の脈動のようなものが感じられるのだ。


「…どうやら、向こうから仕掛けてくる様子はないみたいだねえ」


「アリッサさん!!これは一体何なんですか!?」


ブランの問いにアリッサは一言「さあね」と答えた。


「まあいい、とにかくこいつの上から出てる煙が例のガスなのは確かなんだ」


「それじゃあ、どうするんすか?」


ナップがたずねると、アリッサは不敵な笑みを浮かべた。


「叩き壊しちまおう」


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