表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
22/32

22

最初の石像を見つけてから村の入り口までは、村人とおぼしき石像が点々と連なっていた。中には犬やニワトリなどの像もある。そして、村の入口に着いた時、二人は思わず息を飲んだ。


「う…」


村の入口は、多数の馬とそれにまたがる騎士達の石像で埋め尽くされていた。言わずとしれた、先発した護民騎士団たちである。すべての騎士たちの表情は、驚きと恐怖に満ち満ちていた。


「アリッサさん、これは一体…なんでこんなむごいことに…!!」


騎兵の石像でできた間をぬって進んでいくアリッサの背に向けて、ブランが悲痛な声をぶつける。


「石化ガス」


アリッサが、ブランに背を向けたまま答える。


「ガス?」


「この村とその周囲一帯に、薄く石化ガスがまかれている、それも遅効性のね。薄いからなかなか感知しづらいが、気づかずに村に入り、一定量以上吸い込むと、足元から一気に石になっていくのさ」


「そんな…」


蒼白な顔になったブランが、ハッとしたようにアリッサに近づく。


「それじゃあ、僕たちもここにいては危険じゃないんですか!!このままとどまると石になってしまうのでは!!」


「あたしらは大丈夫だよ」


アリッサは、再び進み始める。


「どうしてですか?」


「お茶」


「へ?」


「さっきのんだ苦いやつだよ。あれは、石化予防用にあたしが調合した魔法薬なんだよ」


「あの苦いのが??」


「そう。いったん石化した人間を戻す薬は、なかなか材料を集めるのが難儀なんだが、予防薬なら、手持ちの薬草でも結構簡単に作れるのさ」


「でも、なんで石化ガスがあるってわかったんですか?」


「あたしが立ち止まった時があったろ?あの時、前方にガスの存在を探知したのさ」


「そっか、やはり魔法使いっていうのは、常人にはないすごい力を持ってるんですね」


ブランが関心すると


「いいや、基本に忠実なだけのことさ。探査の網をはることは、魔法使いの基本だからね。自分の力を過信するとこうなっちまう」


と言いながら、アリッサは杖で近くをさし示した。


「ああっ!!」


ブランがまたもや悲鳴をあげる。アリッサがさした先には、馬上の石像となった魔女メイシンの姿があった。何か呪文でも唱えようとしたのだろうか、指先は複雑な形に組まれている。そして、メイシンの隣には、やはり動かぬ姿となったトラム隊長が、苦しげな表情のまま固まっていた。


「そうだ…ナップ!!ナップもこの中に!?」


言葉を交わしたことのある二人の石像を見て、ブランは友人の事を思い出した。あたりの石像をひとつひとつ手当たり次第に探し始める。


「ナップ!!ナップ〜!!」


「なんだよ?」


ふいに、道脇の木の後ろから、ナップが現れた。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ