表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
20/32

20

翌朝、ブランは激しい頭痛と共に目を覚ました。


「アタタタタ…」


窓からの光は、すでに明るくなっている。


「やっと起きたか、だらしないねえ。さあ、さっさと荷物を持ちな、出発するよ」


アリッサは、すっかりと準備を終え、すでに小屋の戸口に立っていた。酒の影響など微塵にも感じさせない。あわてて身支度を整え外へ出ると、宿からすでに人の気配はなくなっていた。ナップら騎士団は、早朝にキリーに向けて出発していったようだ。


「ナップの奴、二日酔いのヘロヘロで大丈夫かな?まっさきに魔物に狙われちゃうんじゃ…」


「なあに、あいつは朝からしっかり目覚めていたよ。誰かさんと違ってな」


アリッサの嫌味にも、ブランは二日酔いのため反論できない。


「それに、どうやらあいつは強力な『護符』に守られてるようだしね…」


アリッサの最後のつぶやきは、ブランの耳には届かなかった。


宿のおかみに見送られ、二人の冒険者は旅立った。幸い、シルドナからキリーまでは、歩いても一日足らずといったところなので、今から出発しても、夕方にはキリーにつけるとのことだった。先発した護民騎士団とメイシン達は、もう目的地に着いているかもしれない。


「キリーには、一体どんな魔物がいるんでしょうね」


なだらかな山道を歩きながらブランがたずねる。


「さあねえ、そこまではあたしにもわからないさ。ま、なるようになるだろ」


「そうですねえ」


そんな、とりとめのない会話をしながら、ブランは久しぶりに『太陽の家』の事を思い出していた。一応ブランは、この旅に出発して最初の宿場に着いた時、事情を説明した手紙を施設長のツールース宛に送った。手紙を読んで、深くため息をつくツールースの姿が目に浮かぶようだ。それに、アリッサのケンカ相手のガンダルガや、いつもおだやかなドロシーはどうしてるだろう…ブランが追憶にひたりこんでいると、急に目の前にアリッサの後ろ姿があり、そのままぶつかってつんのめりそうになった。


「危ないなあ、急に止まらないでくださいよ」


アリッサは、道の中央で止まったまま、ぴくりとも動かない。何やら恐ろしく集中しているようにも見える。ブランは、困惑したままアリッサのそばに立っている。

と、アリッサは急にブランを振り返ると、満面の笑みを向け、こう宣言した。


「それじゃあ、ここいらでお茶にしようかねえ」


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ