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「よお!!ブラン!!」
ノックの主はナップだった。彼もこの宿屋に泊まっていたらしい。
「あ、はじめましてアリッサさん!!ブランの友達のナップといいます。お噂はかねがね」
ナップがへこへことアリッサに挨拶する。
「どうせロクでもない噂なんだろうねえ」
アリッサがじろりとブランをにらむ。
「いやぁ、何かイメージ通りっすね!!うれしいな〜」
ナップは、アリッサに会えて感動しているようだ。
「それよりナップ、勝手にこんなとこに来ちゃって大丈夫かい?」
「大丈夫大丈夫。みんな早寝だからもうぐっすりだよ。まあ、村長の家に泊まる連中はとても落ち着いて寝てられないだろうけど」
「え?そうなの」
ブランがキョトンとしていると、アリッサが意味深な笑みを浮かべて口を開いた。
「メイシンのわがままに苦労してんだろ」
ナップは、その言葉に激しく食いついた。
「そうなんすよ!!あの魔女ときたら俺達騎士の事を召使いかなんかと勘違いしてやがるんだ!!夜中に呼び出したかと思うと、やれ部屋が暑いだの、やれ冷たい飲み物がほしいだの、あいつと同じ宿に当たった騎士がどんだけ迷惑してることか!!いくら美人でも許容範囲ってものがあるんだよ!!でも、評議会から派遣されてるだけに隊長も強く出られないみたいだし…」
「相変わらずなんだねえ」
それを聞き、アリッサは失笑をもらした。
「そういえば、アリッサさんは、あの魔女…メイシンさんでしたっけ。あの方と知り合いなんですか?」
ブランの疑問に、アリッサは我が意を得たとばかり、二人の若者の顔を交互に見交わし、恐るべき一言を口にした。
「メイシンはあたしと同い年だよ」
沈黙。
「ええぇぇぇぇえっ!!」
二人の若者は、絶叫をあげた。