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アリッサの部屋は扉が開け放たれ、中には誰もいなかった。ブランは足を踏み入れグルリと見回してみたが、特に荒らされた様子などもない。


「うん、やっぱりそうだ」


彼の中で、点と点だったいくつかのものがひとつの線につながったらしい。ブランは、部屋を出ると宿直室へ行き毛布を2枚取り出し、それを廊下のフリントと表の小屋の警備員にそれぞれかけ、そのまま『太陽の家』から駆け出して行った。


外は相変わらずうなる様な風が吹いている。空には厚く雲がかかり、月明かりもない。街の所々に設置された「魔導灯」が唯一の灯りといえる。そんな深夜の街中をブランはひとりひた走っていた。幸いにしてフィンは、世界有数の治安の良い国家であったので、彼が盗賊やごろつきの類に襲われる心配はなかったのだが、そういう悪漢も含めて、人っ子一人全くいない薄暗い街並みを走っていると、この世界には自分以外の人間は存在しないのではという気持ちになってくる。


(何としても追いつかないと)


ブランは、大通りを西へ西へと進んでいた。城壁に囲まれた首都ヨルムには、東西南北四カ所に外へ出るための門がそなえられている。ブランはそのひとつ「西門」の方へ向かっていた。

西門にほど近い「西門通り」と呼ばれるところで、ブランの足が止まった。誰もいない大通りの中央を、小さな人影がゆうゆうと歩いていくのが目に止まったのだ。ブランはそれへ向かって、迷い気なく声をかけた。


「アリッサさん!!」


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