Lv.6
魔獣に追いかけられながら火を吹かれている袋の俺です、こんにちは。
じゃねー!
おい、火!危ねーよ!燃えるじゃねーか!!
現在の俺は背負い袋。
レベルが上がったのは目出度い事だが、背負われて火に吹かれるなんてけしからん!
数分前。
俺は自分のステータスを確認していた。
―――
背負い袋(Lv.6)
スキル:テレパス
容量:120種400個
―――
初めて外向けのスキルが覚えられた!
このテレパス、所持者と意思疎通が図れるスキルのようだ。
しかし、使う気になれなかった俺。
なぜ袋生で初めて会話するのが男なのか。ありえんだろう。ダンマリで決めさせてもらうぜ!
って数分前まで思ってた。
《おい、レーヴェ!てめぇ俺を燃やす気か!?死ねコノヤロー!》
はい、テレパス使いました。
俺死ぬ。マジ死ぬ。体がチリチリしてきた気がする!
「えっ!?」
レーヴェは逃げ足そのままにキョロキョロ視線を動かしている。
《てめぇの背負ってる袋だよ、このすっとこどっこい!炭にするぞコノヤロー!》
「どうしたのレーヴェ!?」
レーヴェより前方を走っているイリスが声を上げた。
「い、いや、なんでもないよ!」
《チッ。おいどうすんだよ!》
このままじゃ俺炭化する未来しか見えない!
何故こうなったのかと言うと、レーヴェが罠を踏んだからだ。しかも、最悪なことにレーヴェ達では手に負えないレベルの魔獣が召喚されたのだ。俗にいう召喚罠だな。
三つ首の狼のような魔獣。ケルベロスっぽい。名前は違うと思うけど。
さて、長々と状況を追っても退屈だろう。
結果から言えば撃退に成功した。失ったものは、俺の体の一部だ。炭化したんだよ、コノヤロー!
俺は惰眠スキルで不貞寝することに決めた。