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プロローグ
「強大な闇が迫っておる・・・」
薄暗い部屋の中で水晶を覗く老婆が呟いた。
水晶を挟んだ反対側で、その呟きを少女とも女性ともとれる年頃の女が拾った。
「・・・魔を統べる者が現れるとでも?」
「恐らく、そうであろう」
老婆は断定はしなかったが、そうであると確信しているような響きで答えた。
「・・・封じる術を持つ者はどこにいるの?」
女は眉間に皺を寄せ顎に手を当てながら思考を巡らせているようだった。
老婆は水晶を覗きながら、何かを呟く。
「・・・よく、わからん」
老婆は水晶を女に翳し、女も水晶を覗き込んだ。
そこには俯瞰した映像が映し出されていた。広い草原。ただそれだけ。どこの草原かもわからない。そして、生き物は何ひとつ映ってはいなかった。
この後の話との落差が激しすぎるかも知れない。
なお、婆さんはここでしか出番のない占い師。