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何でも屋は女神に頼まれました  作者: 神代零
1章 始まりの街にて
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第6話 再びレベル上げ

はい、続きをどうぞ!

 


 鎖鎌を買った哲也は次に防具屋に行こうとしたが、親方に止められた。


「おい、サービスだ。これをやるよ」

「え、籠手?」

「それだけじゃない。黒い手袋も付いているだろ? 耐熱の効果があるし、鎖鎌を使う時の滑り止めにもなる筈だ」


 この籠手は、両腕に付けることが出来て、黒い手袋とセットになっている。サービスと言っていたが、鎖鎌を買った者に渡そうと思って作っていたようだ。滑り止めがあるだけでも安定感が増したような感じがした。哲也は断る理由がないので、遠慮無く貰っていた。


「そういえば、何故、俺は鎖鎌が合うと思ったのですか?」

「そうだな、お前は戦略で戦うタイプだな? だから、扱いは難しいが、鎖鎌なら様々な使い方があるからピッタリだと思ったんだよ。戦略が広がるのはいいことだろ?」

「はぁ、頭を使って戦うやり方なのは間違っていませんが、どうしてわかるのか知りたかったのですが……」

「勘だッ! がははっ!!」


 勘で選ばれた武器に不安を感じるが、使ってみてショートソードよりは戦略が広くて戦いやすいと思った。まぁ、戦い方は殆どが漫画の真似だが。


 次は実戦で使えるかどうかだな。








 翌日、ギルドで待ち合わせをしていたカレルを連れて森に向かった。草原には昨日のベアウルフがいるから、それを避けてゴブリンの住処である森へ向かっていた。


「ベアウルフよりゴブリンの方が弱いから森に行くのはいいけど……、大丈夫なの?」

「わからん。だが、ベアウルフはウルフ共を呼び寄せるからやりたくないな。ゴブリンならウルフ程に群れて歩かないだろう」


 巣の近くならゴブリンは数十体はいるが、狩りに出てるゴブリンは数体しか群れない。


「此れをやるよ」

「え、ナイフ?」


 カレルに渡して寄越したのは、誰にも使える軽いナイフで、昨日の武器屋でついでに買っておいた物だ。カレルの武器は杖しか持っていないのを見て、ナイフぐらいはあった方がいいと考えてだ。


「俺の武器を買ったついでにナイフも買っておいたから、魔法を使えなくなったら使えばいい」

「あ、ありがとう……」


 カレルはナイフといえ、プレゼントされたことに喜んでいた。顔が赤くなったことに気づいて、慌てて話を続けようとする。


「あ、武器を買ったって、鎌? それに、籠手も付けているね」


 腰に見える部分は鎌だけで鎖と分銅は袋の中に入れているので、買ったのは鎌だと思ったようだ。説明するよりは見せた方がいいと思ったら、近くにゴブリンが2体いることに気付いた。


「ゴブリンを見つけたから、1体は任せたぞ」

「あ、わかった……鎖鎌だったんだ」


 袋から鎖と分銅を取り出して、鎌に鎖が繋がっていることに気付いて、鎖鎌だと理解したようだ。1体はカレルに任せて、分銅を小さく回す。ここは森の中なので、大きく回すと木々に絡まってしまう。それを考え、ゴブリンへ向かって走り出した。

 こっちに気付いた2体のゴブリンは棍棒を振り上げるが、その1体が『呪死』によって苦しみながら倒れる。

 隣で倒れた仲間に気を取られて動きが鈍ったのを見逃ず、分銅を投げて脇腹に打ち込んだ。


「ギゴォ!?」


 脇腹に当たり、骨が折れたようで膝を地に付けていた。そのまま、距離を詰めていた哲也は反撃を喰らうこともなく、首を掻っ切った。首を掻っ切られたゴブリンは血泡を吐いて、前乗りに倒れた。


「よし!!」

「やった!! 凄いね!?」

「あははっ、もっと褒めるが良いぞ。これが、最強へ一歩だッ!!」


 余りにも上手くいきすぎて、調子に乗ってしまう。ショートソードだった時は罠を使わなければ、とてもじゃないが正面から圧倒は出来なかっただろう。






「……ふぅ。まぁ、最強は目指してないけどな。これだけ上手く行くなら、レベル上げを手伝ってやれるな」

「え、私の?」


 すぐ調子を下げて落ち着かせた哲也は次のステップへ進める。自分のレベルもそうだが、カレルのレベルも上げて置きたいのだ。


「新しい魔法を使えるようになる条件はわからんが、レベルアップさせればいいのか?」

「えっと、家族に聞いたら10単位でアップしたら覚えられたと聞いていますわ」

「10単位……なら、あと2を上げればいいか」


 今のカレルはレベル8で、レベル10まではあと2だ。


「そのナイフはトドメに使え。それまでは俺が手足を砕くか斬れば、カレルでも簡単にトドメをさせることが出来るだろう」

「え、わざわざ私のために……?」


 自分の為に、そこまでしてくれて感動で涙が出そうになったが…………




「おう、早く使える魔法を増やして、最後は使えない子から脱するんだぞ!!」




 涙が引っ込んだ。哲也はカレルの為に言っているかもしれないが、カレルは哲也に『最後は使えない子』だと思われていたことにショックを受けていた。心の中でさっきのと違う涙が出そうになっていた。

 前から思っていたけど、哲也は無自覚に相手が貶されていると感じる言葉を良く使うよね……。と、カレルは諦めたような眼で落ち込んでいた。

 顔を伏せていたカレルに、哲也はどうした、お腹でも痛いのか? と的外れな考えをしていたのだった。








「見つけたぞ」

「はい……」


 さっきのことからまだ声が小さいカレルだが、ゴブリンを見つけたので動かなければならない。今回は珍しく1体だけで、『呪死』を使う必要はない。まず、脛を狙って分銅を投げつけた。


「ギッ!?」


 こっちに気付いてなかったゴブリンはそのまま無防備に脛へ分銅を受けてしまい、後ろに倒れた。哲也は当たった分銅をそのまま上へ行くように鎖を操って、振り落とした。次は棍棒を持った手が砕かれた。


「よし、行くぞ!!」

「わかったわ!」


 痛みに動けないゴブリンに向かって走り出し、哲也が無事の手を鎌で地面に縫い付けた。悲鳴が上がるが、それはカレルが首へナイフを突きつけるまでだった。


「や、やった……、初めて魔法以外で倒せた!!」

「良くやった! って、初めてだったのかよ? 自分の手で殺したことを」

「は、はい。パーティに入れて貰ってから、武器で殺すのを沢山見てきましたが、自分が直接にやるのは魔法とは違う感触がありますね」


 思ったより罪悪感や嫌悪悪を感じてないな。魔物は殺して当たり前の日常で育ったからか? …………まぁ、考えても仕方がないか。やらないとこっちがやられるもんな。


 そう納得させ、続けてゴブリンを探して殺し続けた。そして、8体目のゴブリンへトドメをさせていた時、ようやくレベルが10になって『呪痕』を使えるようになったのだったーーーー







続きは21時に!


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