第5話 武器
本日3話目!
まだ前話を読んでない方は戻って、読んできてくださいねー。
では、どうぞ!
ウルフの群れに追われた哲也達だったが、街の側まで近付くとウルフ達は諦めたように脚を止めていた。
街の側まで着く前に何回か交戦をしていたので、2人はボロボロだった。1番酷いのは、最後の『呪死』を使い切ったカレルだった。
「うぅっ……、私のローブがぁ」
カレルが着ていた白いローブは噛み跡だらけで、涎が付いていてとても臭くなっていた。身体は小さな傷だけだったので、薬で治しきっている。
哲也は『弱酸』と言う攻撃が出来るようになったので、カレル程に酷い姿ではないが、とても疲れ切っていた。魔力も底に尽きた時はショートソードで応戦していたのもあり、明日には筋肉痛になりそうだなと溜息を吐いていた。
とにかく、戦闘があったが、2人とも大きな怪我は無く無事である。
「ウルフを何体か倒したが、レベルは上がってないな。経験値少なすぎだろ」
「くちゃい、臭い……、早く風呂に入りたい……」
女の子としては、臭い格好で居たくないようで、風呂を求めていた。その姿が哀れだったのか、今日はここまでにすることに決めた。
「また今日と同じ時間にギルドにーーーー」
「ん? あれはテツヤじゃないか」
「え、バロン?」
街の中に入り、明日の集合時間と場所を伝えて解散しようとした所に、ギルドで会ったベテランのバロンに出会った。バロンがこっちへ近付こうとしたらーーーー
「うわっ! 臭っ!?」
臭いと言われ、カレルは涙目になっていた。バロンから離れ、テツヤの後ろに回って小さな声で話し始めた。
「うぅっ……、私は帰っていい……?」
「あぁ、用があるのはこっちみたいだし、いいけど……。あと、明日のことはわかるよな?」
「うん、大丈夫」
明日の件は大丈夫と言い、カレルは手を振って街の中心へ向かって言った。カレルが人混みへ紛れて姿が見えなくなった後にバロンへ向き合った。
「よっ、昨日ぶり」
「さっきの女の子、酷い格好だったが、大丈夫なのか?」
「あぁ、ウルフの群れに会っちゃって、少し齧られただけだから」
「あー、そりゃぁ、臭いわな。見た所、大きな怪我は無いみたいで良かったよ」
「たまたまウルフの群れに出会うなんて、運が悪いよなぁ。レベルも少ししか上がらなかったし」
「む、レベル上げをしていたのか?」
バロンにボブゴブリンを倒すために、レベル上げをしていることを説明した。バロンは成る程と頷き、少し考え込む。
「ふむ………………そうだな、今から少し時間をくれるか?」
「何をするんだ? 言っておくが、さっきウルフの群れに追われたばかりで、魔力も空だぞ」
「大丈夫だ。街の外には行かねぇよ。少し装備と武器を考えた方がいいぞ」
装備と武器かぁ、確かに武器はショートソードで装備は胸当てしかないしな。まだワイシャツにジーパンだから、服も買っておくか?
冒険者らしい服も欲しいと思ったので、バロンの誘いはちょうど良かった。
「わかった」
テツヤはバロンのオススメである武器屋に連れてもらっていた。
「ここは俺が良く行く場所でな、様々か武器があって面白いぞ。それに、裏庭があって武器の試し斬りが出来るから買い物は失敗しないと思うぞ?」
「へぇ、確かに良さそうな店に聞こえるな。予算はいくらがベストなんだ?」
「お前は初心者なんだし、1500ゼニはあれば、自分に合った武器が見つかるかもな」
「え、1500ゼニ? 安すぎないか……?」
因みに、日本円で考えれば、1ゼニ=1円と同じ価値である。宿屋で食事付きの一泊なら500ゼニが相場である。
「親方がサービスしてくれるんだよ。あ、親方はあだ名な」
「ふむ、中に入ればわかるだろうし」
武器屋の中へ入って行くと、バロンが言った通りに様々な武器が並んでいた。
「おおっ!? 手裏剣までもあんのか!?」
「やっぱり、初めて見る者は驚くよな」
哲也は様々な武器に目移りしていて、バロンの言葉を聞いていなかった。
「ん、バロンじゃないか。武器を研ぎに来たのか?」
部屋の奥から現れたのは、ドワーフと呼ばれる種族である親方と呼ばれる者だ。自分で武器を作り、売っている人でバロンもお世話になっている。
「いや、此奴の武器を見に来た。テツヤと言う」
「どうも」
「おう、新入りか。どんな武器が望みだ?」
「わからないから、店にある物を見せてくれ」
自分に合った武器なんて、使ってみないとわからないのが普通である。だが、親方は哲也をジッと見て…………
「だったら、此れを使ってみろ。裏庭に的がある」
そう言われて、親方が探し出して渡された物を見てみる。
「はい? それは……鎖鎌だよな」
「テツヤ、親方の言う通りに裏庭で試してみようぜ!」
なんで、鎖鎌なのかわからないが、取り敢えず言う通りに裏庭へ向かった。鎖鎌の武器は3種類で、鎌、鎖、分銅と言うように『斬』、『縛』、『打』と種類が違う攻撃が出来る。
「ーーと言うように鎖鎌は技術が必要な武器だ。取り敢えず、自分が思うように的へ攻撃してみろ」
「はぁ」
勿論、哲也は鎖鎌を使った事はない。使い方を親方から簡単に説明して貰い、的の案山子に向き合う。
いきなり使えと言われてもな……。
漫画みたいなことをやればいいのかな?
漫画みたいなことと言えば、分銅を回す。
「思ったより重いな? この分銅は」
「そりゃぁ、魔物は人間よりは硬いからな。普通の5倍の重さにして作ってあるぞ」
「5倍!?」
普通なら分銅だけで110グラムだが、渡された鎖鎌の分銅は5倍の500~550グラム。キロ単位に直せば0.5キロだが、スピードが乗った分銅が頭に当てられたら中身が吹き飛ぶ程の威力になる。魔物であっても、当たったらタダで済まないだろう。
重いが、前の世界にいたより力が少し強くなっているからなんとか回せるな。よし、頭辺りを狙ってみるか!
哲也は前に回しており、投げる瞬間に鎖を持つ手を緩める。鎖が伸びて案山子に届く距離になったら、上から分銅を落とすように叩きつける。回してスピードを稼いだ、それに上からの攻撃であったこともあり、凄さ増しいスピードで重さ5倍になった分銅は案山子に向かっていこうとしていたーーーー
ドゴォォォッ!!
分銅が落ち、小さな隕石が落ちたようなクレーターが出来ていた。的だった案山子は…………
「少しズレちゃったのか」
「いやいや! 充分すぎるだろ!?」
頭を狙っていたのに、案山子の右肩になる場所へ落ちてしまった。頭から外れたといえ、アレが人間だったら右腕欠損になっていたぐらいの酷い威力だったとわかる。その威力にバロンがつい、叫んでしまうぐらいに驚愕していた。
「ーー思ったより、力の伝達が出来ているな。アレが魔物だったら、後から楽に処理出来るだろう」
「そうかもしれないけど、分銅が重いから練習が必要だ。それに、この重さだと動く的に当てるのは難しくないか?」
「心配すんな。動く的なら、街の外に沢山いるぞ。がははっ!!」
「実戦で経験を積めってことね…………」
溜息を吐きつつ、少しだけ庭と的を借りて鎖鎌の使い方を考えてみた。分銅は頭に当たれば、一撃になる可能性もあるが、もし外れた後に近付かれても大丈夫なように鎌と鎖を使った戦い方も思索しなければならない。
え、親方に教えて貰わないのかって? 仕事だよ。こっちばかりに構っていられないからな。
だが、バロンも手伝って貰ってくれているので、さっきよりはマシになったと思う。とにかく、動く的に当てられるようにしなければならないーーーー
哲也の武器は鎖鎌に決まった。
主人公の武器が鎖鎌とか、あんまりないんですよねぇ。戦う場面を上手く書けるかわかりませんが、出来るだけ頑張りますのでっ!
では、また明日〜。