第4話 スキル
本日二話目!
何故か、また一話を書き上げられたので、載せますねー。
続けてよぷよぷを見つけて倒して行った。今のレベルが4になり、新しいスキルが欲しいと思ったので、ある実験をすることに。
それは、魔物もスキルを持っていて、そのスキルを受けたら覚えられないか? だ。
「見るだけなら数十回、受ければ数回……」
時間があるなら、見るだけで良かったが、今は期限もあるから受けるしかない。
「仕方がない。カレル、薬は持ったな?」
「本気でやるつもりなの……? 何でも屋は大変なのね……」
カレルには既に説明してある。何でも屋は便利の反面、取得までが大変だと言うことを。薬はギルドで買った物で、軽い火傷や小さな擦り傷や切り傷程度ならすぐ回復できる。
初めての実験はよぷよぷが吐き出す酸攻撃を受けて、その攻撃を取得出来ないかだ。受けても火傷程度の傷しか負わないから、なんとか出来る実験だ。
「さぁ、来い!!」
見つけたよぷよぷの前に出て挑発をする。どうやら、よぷよぷは眼がなくて、地面から伝わる振動を頼りに居場所を掴んでいるようだ。地面をバンバンと脚で踏み、攻撃を誘う。
よぷよぷはようやく前に誰かがいると理解したのか、口を哲也に向けて酸を発射していた。
哲也はよぷよぷが酸攻撃しか出来ないのをわかっていたので、避けるのも容易。だが、今回は敢えて受けるーーーー
「熱っ! 痛ぇ……」
「薬を!!」
酸攻撃を手の平で受け、皮膚を溶かされていた。カレルが前もって手に薬を持っていたので、火傷の傷はすぐ治っていく。
「跡が残らないとか、ここの薬は便利だな。んー、やはり1回だけじゃ無理か」
1回だけじゃ、スキル欄に登録されないのはわかっていたので、続けて酸を受け続ける。
「クソォ、この痛みに慣れねぇと」
この先、この痛みよりも強いのを受ける可能性がある。その痛みを受けてもすぐに動けるように、少しでも慣らしていくしかない。じゃないと、その一瞬が生死を分ける可能性があるのだから。
酸を6回受けた時、ピロリィ♪とカードが鳴った。
「ようやくか!!」
用済みになったよぷよぷを倒して、すぐカードを確認した。スキル欄には『弱酸』で1ポイントと出ていた。2ポイントで取得出来るので、迷うこともなく選択した。これで、初のスキルをゲットした哲也である。
「弱い酸か。よぷよぷは口から出していたが……」
哲也は人間で、よぷよぷみたいに口から酸を吐き出すことが出来るかもしれないが、なんか嫌だ。だから、手から出すことは出来ないか試してみる。
「『弱酸』!」
スキル名を唱えると、手の手前から水っぽいのが出た。水っぽい弱酸は4~5メートル先まで届いて、落ちた場所は少しだけ草が溶けているのが見えた。
「ほぅほぅ、思ったより使えるかもな」
「魔物のスキルも使えるなんて、珍しい職業ですわね」
「んー、なんか分からないけど体内にあった物が減ったような……?」
スキルを使ったら、力が少しだけ抜け落ちたような感覚を感じていた。その感覚をよく知っているカレルから教えてくれた。
「スキルを使ったのであれば、魔力が減るのは当たり前ではないですか」
魔力! ファンタジーな言葉が出たな。そりゃ、魔法もあるから魔力もあって当たり前か。
新しいスキルの『弱酸』を試せたので、次のステップに進む。
「もうよぷよぷは止めとくか。経験値は少なそうだしな」
「では、次ははぐれウルフを?」
「今度はカレルがやるんだぞ」
「私がですか……、はぐれウルフのレベルがわかれば良いのですが、解析石は貴族でも持っている家は少ないぐらいに希少ですしね」
「解析石……?」
「知らないの!? 数は少ないけど、有名な物なんですが…、そういえば、テツヤさんは何処から来たのでしょうか?」
解析石は何処でも知っている物だったようで、知らないのは珍しいようだ。答えにくい質問をされたが、嘘を言っても仕方がないので、正直に言うことに。
「凄く遠い所から来たんだよ」
「凄く遠いって……、別の国からとか? 名前を教えてくれますか?」
「日本だ。東にある小さな島国さ」
「ニホン? 小さな島国ですか、聞いたことがありませんね。小さな島国なら解析石のことを知らなくてもおかしくないかな?」
「それよりも、はぐれウルフっぽいのを見つけたぞ」
「どこにーーーーッ!?」
突然、カレルに腕を引っ張られて伏せる体勢になった。
「おい?」
「シッ! あれは、ウルフではなく、ウルフが進化した魔物、ベアウルフですわ……。なんで、こんな所にいるかわかりませんがーーーー」
話は続かなかった。何故か、ベアウルフと言う魔物がこっちに向かっているのが見えたからだ。ベアウルフは灰色の毛皮をしているウルフと違って、身体は熊みたいに茶色で白い毛皮が模様のように描かれていた。
「な、なんで、姿を見られる前に隠れたのに……」
カレルは戦いを避けようとしているようだ。つまり、あのベアウルフは強いのだろう。哲也は強さを測る機械があれば、いいのになーと気楽に考えていた。
「狼だし、臭いでわかったんじゃね?」
「で、でも、ここは逃げるしかありませんわ。アレは、ウルフから進化したならレベルが10を超えているはずです」
レベル10。2人はペーペーなレベル4とレベル8である。逃げるのは賛成だが、確実にこっちを捕捉しており、街まで逃げられるとは思えない。
「やるしかないな」
「無理ですわよ!?」
ベアウルフと言っても、大きさは狼のと変わらない。だが、こっちの決定打が『呪死』しかないのはわかりきっている。あとは制限だが…………
「おい、『呪死』は相手のレベルが高かったら、必ず効かないのか?」
「あわわ、か、必ずじゃないわ! 確率が低くなるだけで効く時もあるわ!! ただ、レベルが離れすぎていた場合は、発動自体が失敗するの!」
「成る程。よし、俺が動きを止めるから、止まった瞬間を狙って『呪死』を発動しろ」
哲也は指示を出して、すぐ動き出した。後ろからカレルが何か言っていたが、哲也はベアウルフに集中していた。これからやろうとしていることは、タイミングが大事になるのでベアウルフを睨みつけるように見る。
目前まで近付いてきた所にーーーー
「『弱酸』!!」
ベアウルフの眼を狙い、『弱酸』で目を潰した。当たったベアウルフは眼を酸で焼かれ、叫び声を上げて転げ回った。
「今だ!!」
「『呪死』!」
カレルが魔法を使うが、身体をビクッとさせるだけで死ななかった。効果を発揮出来なかったが、発動は出来ていた。あと2回の内で死の効果を発揮させればいいので、続けるようにと言っておく。
「はっ!」
哲也は見ているだけではない。隙だらけになっているので、『呪死』に頼らずに自分でトドメを刺すことも考えたがーーーー
腹を狙って突き刺そうとしたが、倒れている体勢のまま脚で地面を蹴って避けていた。腕に小さな傷を作れたが、またショートソードで攻撃をしようと思っても、避けられるだけだろう。
なら、『弱酸』が頼りになるだろう。
「む、警戒し始めたか?」
ベアウルフは眼を潰されたことに、『弱酸』へ強く警戒し始めたようだ。距離を取って、こっちの動きを伺うように鼻を鳴らしている。このベアウルフは眼が見えなくなっても、鼻があるので此方の位置などは大体掴んでいると予想出来る。
「今度こそは! 『呪死』!」
2回目の『呪死』を発動したが、ベアウルフはブルッと震えただけで、何も起こらなかった。
そのせいか、ベアウルフはカレルがいる場所を睨んで…………この場から逃げ出した。アオーンと鳴きながら背中を見せて走り出している。
……なんだ? 『呪死』に恐れたか?
もし、効果を知っていたら恐れるのはわかるが、2回当てても効果がなかったから、警戒などはしなそうだが…………
「まぁ、いいか。街に戻ろーー」
ピロリィ♪
「ん?」
「テツヤさんのカードから鳴っていたわよ」
「む? 新しいスキルが登録される要素があったのか?」
その覚えがないと思いつつ、カードを操作していく。新しく登録されたスキルは…………『遠吠え』だった。哲也はスキルの内容を理解すると、ガチッと固まった。横から覗いていたカレルも固まった。
「と、『遠吠え』……」
「な、なんか、嫌な予感がします……」
2人が思い付くことは、さっきのことだ。ベアウルフが逃げる時に何をしていたか、思い出せばわかることだが、哲也達は理解を否定していた。
向こうまで見える広い草原、所々から黒い影が現れるの見えていた。その時点で、哲也は既に次の手は決まっていた。
「なぁ、日本でこんな時に使う言葉があるんだが…………」
哲也はクルリと街がある場所ヘ向いて、カレルもそれに合わせて、こっちに向かってくる狼の影。
カウントダウンはいらない。2人とも既に走り出していたからだ。
「こんなのとやってられるかよぉぉぉぉぉ!!」
「あわぁぁぁぁぁーーーー!!」
2人は振り向きもせずに、街がある方向へ逃げ出したのだった。それを追うウルフ達ーーーー
今度こそ、21時に続きをーーーーまた早く載せちゃうかも……。いや、とにかく続きは書き上げられたら載せるか、21時にキッカリと載せられるのどちらかになりますー。