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何でも屋は女神に頼まれました  作者: 神代零
0章 女神に頼まれた
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プロローグ

新たな小説を書きました。

微妙な仲間に出会い、一緒に魔王を倒しにーーーー行かないかも。いや、行くかも…………。

というように、そんな日常を過ごす哲也の物語になります。

さぁ、どうぞっ!!

 


 ーー白い部屋にて


 白い部屋の中心には綺麗な女性が立っており、前には座布団に座っているパッとしない男。パッとしない男は何が起こったのか理解しないまま、目の前にいる女性が話を始める。




『ーー初めまして、器用貧乏の大塚哲也おおづかてつやさん。私は女神のアネックスと申します。調子はどうですか?』

「え、あ? 元気ですが…………って、おい!? 器用貧乏とか初対面の人に言う言葉じゃないよな!?」


 何が起こったのか理解出来ない男だったが、綺麗な女性であっても見逃せない言葉があり、ツッコミを入れていた。


『え、他に特徴が……』


 それに対して、女神アネックスは困ったような表情になっていた。その表情から悪意を持って言ったわけでもないとわかった。だが…………


「ええ、無くて悪うございましたね!? 個性がない男で!」

『すいませんでした。では、個性がない大塚哲也さんにーー』

「おい、ワザとだよな? なぁ?」


 またとしても、哲也を貶す言葉にイラっとするが、それもワザとではないのがタチが悪い。これでは、話が進まないので、黙って話を聞くことに。少しは落ち着いたお陰か、周りを見る余裕が出来た。


「え、真っ白?」

『はい、真っ白ですよ』

「いや、それは質問に答えてないよな? 俺が知りたいのは、何故俺がここにいるのかだ。さっきまで何をしていたか思い出せんが……」


 思い出そうとしても、頭がズキっと痛む。今日のことは思い出せなかったが、昨日までの記憶はあった。なんとか今日のことを思い出そうとする哲也だったが、先に目の前の女神から説明してくれた。


『ですよね。バラバラになった身体を繋ぎ合わせて、崩れそうになった魂を修復させたばかりなので、そのせいで今日の分をすぐに思い出せないのは仕方がないと思いますよ』

「…………は? ば、バラバラに?」

『バラバラでしたよ~。繋ぎ合わせるの大変でしたから。まさか、トラックに轢かれて、更に大量の車にピンポールのように跳ねまくってしまうとは思いませんでしたよ』

「……思い出さないほうがいいな」


 何も知らないほうが幸せだと感じ取った哲也は無理に思い出そうとは思わなかった。無惨な死に方をしたなら、誰でも思い出したくはないだろう。まさか、身体がバラバラになって酷い死に方をしたなんて…………




『でも、轢かれそうになった少女を助けたのはカッコよかったですよ』

「え、あ、そうだったのか」


 女性の笑顔が可愛かったことに顔を赤くなる。それに、轢かれた理由が人助けだったことに、心の中で安堵する哲也だったがーーーー


『助けなければ、無傷で済んでいたけどね…………でも! 自分の身を犠牲に他人を助けたのは、普通に出来ないことですよ!』

「ーーーーおい、ちょっと待て!? 助けなければ、無傷で済んだとかどういうことだよ!?」


 目の前にいる女神はどれだけツッコミを入れさせないと気が済まないんだよ!? 無傷って、どういうーーーー




『えっ? 哲也さんが出てこなかったら、トラックは少女の前で止まる予定でした。でも、哲也さんが現れたせいで、驚いてブレーキを掛け損なったんです。少女は哲也さんに突き飛ばされたせいで、脚の擦り傷と手首が全体重が乗って骨折という結果になりました』

「すいません! 怪我させてすいませんでしたぁぁぁぁぁ!!」


 何処かわからない方向に向けて、土下座をする哲也。女神アネックスは苦笑して、顔を上げさせる。


『とにかく、私はそんな貴方に頼みたいことがあり、ここへ呼び寄せたのです』

「頼みたいこと……?」

『はい! 剣と魔法の異世界へ行き、世界の害悪となっている魔王を倒して欲しいのですよ!!』


 哲也は成る程と思った。2度目の人生をあげる代わりに、魔王を倒して欲しいと頼むテンプレってわけだ。

 大塚哲也は生きていた頃、雑務を頼まれることが多く、色々なことをやってきた。雑務とは違うストーカーを排除して欲しいなどの危ない仕事を頼まれたりもした。それらを受けている内に、『何でも屋』と呼ばれるようになっていた。


 そして、今は女神から魔王を倒して欲しいと頼まれた。哲也の答えはーーーー






「ごめんなさい。無理です」






 哲也は断った。断られると思ってなかったのか、女神アネックスは呆気に取られていた。


 だって、何でも屋をやってきたといえ、世界規模に害を与えるような化け物を倒せと言うのは無茶だろ…………




『え、えっ!? ちょっと待って!? 剣と魔法の世界は男の夢じゃないの!?』

「えっと、確かにそうですが……、何もないまま行くのはちょっと……」

『あ! 説明が足りなかったのですね。勿論、そのままで行けとは言いません。ちゃんと力を与えますよ』

「おっ」


 哲也の表情に期待が伴ったことがわかったのか、女神アネックスは嬉々と話を続ける。


『あ、そうだ! 異世界の様子を少しだけ見せますね!』

「おー、行く前に見せてくれると助かるな」

『うんうん、画面通信機よ出ろ!』


 ポンと煙が現れたと思ったら、中には昔のテレビが現れた。上にアンテナが付いている奴。


「これは随分と古いテレビだな……」

『いえ! これは画像度が高く、3Dにも対応している最新の技術が込められた画面通信機です!』

「見た目を裏切るハイスペックだな!?」

『まだ驚かれては困りますよ。驚くのはこれからですよ! えいっ!!』


 アネックスが指を鳴らすと、画面が映って向こう側で手を振っている女性がいた。背中に羽が生えており、頭には輪っかがあった。つまり、画面に映っているのは天使だった。


「天使?」

『はい、私の部下である天使に頼みました。この画面通信機は片方が異世界へ行って貰わないと駄目なので。それよりも、異世界の風景はどうでしょうか!?』

「ふむ、草原か? あ、街も見えるな」

『はい。綺麗な場所でしょう? あ、空を見てください! ドラゴンが飛んでいます!』

「おおっ! ドラゴンかぁ、ロマンだ……。生で見てみたいなぁ」

『そうでしょう! この世界は様々な種族がいて、その人物と交流してみるのもいいかもしれませんよ』

「ふむふむ、…………え、さっきのドラゴンがこっちに向かってねぇか?」

『え?』


 古いテレビへ眼を向けると、哲也の言う通りにこっちへ向かってきているのが見えた。そして、火を吐いてきた!? 向こうにいる天使が慌てて逃げようとするが…………


『キャァァァ!! なんで、こっちに!? ……あ、私の輪っかを! 熱っ、熱い! ザザァァ……、た、助けーーーーザザァァ…………ブツッ!』

「…………」

『…………』


 画面から何も映らなくなり、無言になる。女神アネックスはまた指を鳴らして、画面通信機を消した。


『さて、異世界へ送りますね!』

「おいっ!? さっきの天使を助けてやれよ!!」

『いえ、天使ですからこの程度では死にませんよ。あ、もうこんな時間!? すいませんが、時間が押していますので、送りますね!!』

「待て! 力は…………って、やっぱり異世界には行きたくなーー」

『問答無用です!!』


 女神アネックスが手を振ると、哲也の足元に魔法陣が現れる。魔法陣が光りだしーーーー


『力は既に与えております。哲也さんの才能を強化させました! 簡単に言えば、脚が速い人なら敏捷が突出し、力自慢なら筋力が上がります。詳しくは異世界へ行ったら、確かめて下さいね』

「勝手に異世界へ送るなーークソアマッ!?」

『聞こえませんーー』


 光に包まれ、哲也はこの場から消えた。完全に消えたのを確認したアネックスは、ホッと溜息を吐いていた。


『無理矢理なやり方でゴメンね。神の加護がありますように…………って、私が女神じゃん! 神が神に祈ってどうするんだか……、あ! 次の仕事をやらなくちゃ!!』


 女神アネックスは次の仕事へ移っていく。哲也は内心で『また会ったらドロップキックをぶち込んでやる!! 女神だろうが、関係ねぇぇぇぇぇーーーー!!』と叫びながら、異世界へ送られてしまうのだった。









無理矢理に異世界へ行かされた哲也だが、どう生きていくのか、続きをどうぞ〜。

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