過去と涙、そして…
伊舞は幸せそうに父に抱かれ眠っていた。父は「卓人、よく頑張ったな!。明斗、ありがとう。」と言うと俺を撫でて、凛の父親と握手を交わした。 その後、ベッドに寝ている伊舞と凛を起こさないように日武と明斗は卓人に話し始めた。 「卓人、父さんはなぁ、未来が見えるんだ。一種の超能力ってヤツだ。だから卓人がこの携帯電話を買う事を知っていた。そしてこの携帯電話は俺が昔作ったんだ。」「じゃあ、フリマの斎藤さんの事は知っていたの?」父さんは「斎藤に会ったのか。懐かしいなぁ明斗。」凛の父親は「そうだね。大介…斎藤大介かぁ、彼はね。僕と日武の親友だった。よく四人で遊んでてね。あと一人は女の子の夏実ちゃん。
楽しかったよ。でも彼は突然引っ越してしまった。連絡も取れなかったんだ。そのまま数十年が経って彼と会うことは無かった」「オレは大介と別れる時に親友の証として、この携帯電話を渡した」「何で父さんはそんな昔にこの携帯電話を作れたの?」 「オレはその頃から超能力を使って未来が見えた。だからこの 携帯電話が作れたんだ。しかし、この携帯電話を作ってから超能力が使えなくなってしまってな。
オレが死ぬ前に見えた未来が卓人がこの携帯電話を手に入れる未来だったのさ。それを見て、卓人はこの携帯電話を使ってオレを呼ぶと直感したよ。だから遺書を書いた、その後…」「そこからは僕が」凛の父親が話し始めた。「その後、日武が死んでから突然、僕の夢に、日武が出て来てね。数年後に卓人は、オレが昔作った携帯電話を手に入れる。そしてオレを呼ぶだろう、だから、卓人、伊舞はもちろん、お前の娘の凛にも携帯電話の事は秘密にして欲しい…、 と言っていたよ。でもまさか本当にその通りになるとは。親子は似るもんだなぁ。そうそう、大介が引っ越してからは,夏実ちゃんを僕らで取り合ってね。結局、夏実ちゃんは僕じゃなくて日武を選んだ。そして、卓人君がうまれたんだ」そして父は泣きながら話す「夏実は生まれつき体が弱くてなぁ、お前を産んでから数年後に死んでしまったんだ」父は「伊舞をオレの代わりに守ってやってくれ」と涙声で俺に言った。俺は「わかった、伊舞は俺が必ず守るよ」と言うと父は安心したのでだろうか眠ってしまった。 そして凛の父親は「凛、起きてるんだろ?」俺はまさかと思った。父が話始めてから数時間が経過している。凛は確かに眠っていたはずだが?。そして俺は凛の方を見た。 すると伊舞を撫でながら凛は泣いていた。そして俺に「大丈夫、伊舞ちゃんは起きてないよ」と言うと「伊舞ちゃんを私も守るからね」凛は涙声で俺にそう言ってベッドから起きて「お父さん…」と凛は父親の隣りに立った。凛の父親は「分かってるよ」と凛の頭を撫でた。俺は何のことか全く分からず「何のことですが?」と俺は凛の父親に聞いた。すると凛の父親は「卓人君は鈍感だなぁ。日武によく似てるよ」と言って眠っている父に毛布を掛けた。凛は「やっぱり気づいてかなったんだね?」と俺の顔を見て言った。涙目だった。その時俺はやっと分かった。凛が俺を好きだと言う事が。そして俺は「ずっと一緒にいてくれ!」と言って凛を抱きしめた。「やっと気づいてくれたね」と言って凛は嬉し涙を流していた。