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コミュ障★戦記。  作者: 巡理 圍
始まりの章
5/11

決戦。そして、始まる物語。

「よ、よぉ...田中。

ソイツらか?お前を...はめようとした奴は」


正直 ビビっているのがバレていないか不安になる演技だが、今の俺にはこれが精一杯だ。

田中を馬鹿にしていた連中は、突然の俺の登場に驚いている。


そりゃそうか...今の俺は、金髪、スカジャンでタバコを燻らすオールバックの男。

地味な田中が連れるには、違和感がある存在だ。


だが、それ故に焦りがハッキリと見えた。


「えっと...」


「ははは...本当 お前は頭良いのな?

でもさ、悲しすぎるぞ?自分 宛に届いたラブレターが偽物だって断言するなんてよ?」


田中とたかしと呼ばれた男の間に入る。

緊張で手には汗が滲み、足の震えは抑えられないぐらい強くなる。


「で、お前ら人の幼馴染み馬鹿にしてくれた責任どう取るつもり?」


「なんだよ...お前w

時代遅れなんすけど...なに?田中君の友達?

調子乗ってると痛い目見せちゃうよ?」


「え...」


男が手を上げると、男が現れた場所から見るからに馬鹿そうな連中がゾロゾロと出てくる。

見たところ、男と女、馬鹿そうな連中は田中と同じ制服を着ていた。


ーーー私学の名門校のエリートヤンキーか...


「謝るなら今のうちじゃね?」


男が俺と田中を馬鹿にした目で見ながら呟いた。

別に、土下座して許しを貰おうとしても良いのだが、如何せん、それじゃ依頼が達成出来ない。


大きく息を吸い込む。


「出てこい、爆乳女!!!!」


「はいっ!!」


まさか呼んで出てくるとは思ってもみなかったが、ちゃんと渡瀬は出てきた。

この子 案外 怖いモノ知らずなのかもしれない。


「な、なんだよ」


「そこの女とうちの爆乳女どっちが可愛い?」


「は?意味わかんねぇこと言ってんじゃねぇよ」


「早く言えよ...お前の態度次第じゃ、この爆乳女好きにして良いからよ...」


我ながら半端無く屑い発言をしていると思う。

味方のはずの渡瀬からは、ゴミを見る様な目で睨まれて、目の前の男からは仲間を見る様な目で見られる。正直 相当 不愉快だ。


「そりゃ...その女の方が可愛いんじゃねぇの?」


でも、俺が勝つ為には屑い方法を取らなければならない。

男なんて殆んど馬鹿ばかりだ。

童貞なんて凄い馬鹿なイメージがあるだろうが、実はヤリ○ン気取りの方が残念な事の方が多い。


ソースは目の前の男。

俺はコイツを人目見た時から馬鹿(ヤリ○ン気取り)だと見抜いていた。それにコイツの連れの女は確かに顔は良いが貧乳...俺ぐらいの年頃の馬鹿(ヤリ○ン気取り)が爆乳好きなことも容易に想像出来る。


なら、今から自分に謝ろうとしている男が爆乳女を好きにして良いと言えばどうするだろうか?

答えは一つ。きっと目の前の爆乳女を取る。


「ちょっと、たかし?

こんな女のどこがいいわけ?」


「黙ってろよ!

んで、好きにして良いのかよ?」


この言葉が決定打になる。

自分よりいきなり現れた爆乳女を取られた女は勿論 憤慨する。そして、連れの男達だって 何故アイツだけ良い思いするんだ?と思うはずだ。


あとは、今回の件が片付けば、女を中心に男の陰口が始まり、馬鹿にする標的は田中から男へとウヤムヤに変えることが出来るだろう。


今、俺がすべきこと...

それは、この現状を煙に巻くことだ。


「嘘だよ...ばーか。

好きにさせてたまるかよ?」


「おい、なに調子乗ってんだよ!!」


俺のヒョロいボディに鋭いパンチが突き刺さる。

一発だけなのに、もう立てない。と諦めてしまいそうなぐらい痛い。これが高校生の平均ぐらいなのだろうが、最底辺にへばりついている俺にとっちゃ重すぎる。だが、これで勝ちは確定した。

略して、勝ち確。


「もう止めとけ...もう一発でも殴ってみろ。

警察にも学校にも行くぞ...良いのか?」


かなり情けない殺し文句だが、これは効く。

テレビを見ている者なら、嫌でも昨今の日本の暴力事件の問題を耳にしているだろう。


私学の学校へ通う奴なら尚更、敏感のはずだ。


「お前...恥ずかしくないのか?」


「むしろ、誇らしいよ...

こんな俺でもプライドを無くせば解決に導ける問題があるんだって思える」


月明かりが俺達を照している。

きっと、俺は全国の高校生の中で一番ダサく情けない男だろう。でも、事態を解決へは導けた。

こんな小さい屑みたいな俺にでも出来ることがある。そう思えただけで自分を誇ることが出来る。


Ⅹ Ⅹ Ⅹ


すっかり夜に変わった帰り道を三人で歩く。

田中の表情も幾分か晴れたが、それでも浮かない顔をしている。

渡瀬も相変わらず、俺の情けない姿を見て、軽蔑したのか口を開かない。


「秀才君...依頼通り、『公園へ来た人をギャフンと言わせる』ことは出来たと思うんだが...

約束の報酬をくれ」


屑に屑を上乗せしたレベルの屑々(くずくず)しいことを言う俺。


「はい...そうですね...ありがとうございました」


きっと、二人の心の中には生涯で出会った一番の屑として俺と今日の記憶は刻み込まれるだろう。

だが、それで良い...

俺は人と接する事を望まない、コミュ障だ。


「じゃあ、俺みたいな屑とは二度と関わるなよ。お前もだぞ?渡瀬」


特定の人間関係なんて望んでいない。

今回は良かったが、次、何か問題が起きた時 俺が解決させられるかはわからない。

それなら、大切な人なんていらない。


「いえ、また困った事があれば相談しに来ますね。本当にありがとうございました」


「は?」


「うん、今回の事件が解決出来たのは私の協力もあったからですよね?私も明日からバイトに来ますんで...それじゃあ!」


「ふぇ?」


やはり、この世界は屑みたいな俺の願いなど無視して、何も無かった様に今日も回るみたいだ。

なんか、内容が屑いですが気にしません。

プライドを無くせば解決に導ける主人公は、どこまで通用するんでしょうか?


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@ittoot123

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